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黒川眞妃子先生の薬膳レシピ 10 気不足便秘に…じゃが芋と大根すり流し汁

材料(4人分)
じゃが芋・1 個、大根・2cm、シメジ・1/2 袋、白木耳(乾燥)・8g、タタキ梅(梅干し・1 個 鰹節・2g)、大葉(せん切り)・2 枚、酒・大2、出汁・800㏄、塩、醤油・少々
作り方
  • じゃが芋、大根は皮をむいてすりおろしておく。シメジは食べやすい大きさに切る。
    白木耳は水で戻して軟らかく茹で、食べやすい大きさにちぎる。
  • 鍋にじゃが芋、出汁200㏄、酒を入れて木べらで混ぜながら弱火~中火にかけ、まったりとトロミがついたら残りの出汁を少しずつ加えて伸ばし、シメジ、白木耳、大根を加えてシメジが煮えたら塩、醤油で調味する。
  • [2]を器に注ぎタタキ梅と大葉を添える。
効能
お腹を強めるじゃが芋、消化を促進する大根、腸を潤す白木耳を合わせ、スムーズな排便に役立つ一品です。

「便秘の食養生」

「一日一便す、乃ち常度なり」と中医学の古典に記載があるように健康を保つには毎日排便があることが大切であると考えます。しかし実際には1日数回又は2~3日に1回など、排便には個人差があり便秘の定義はとても難しいものです。毎日排便がなくても、お腹の張りや残便感がなくスッキリとしていれば便秘とは言えず、逆に毎日排便があっても排便時に困難や苦痛、残便感などの不快を感じたりする場合は便秘と言えるでしょう。
中医学では便秘を「熱結」「気滞」「冷え」「血不足」「気不足」の5つのタイプに分類して対策を考え、薬膳もそのタイプ別に適応した食材を選んでお食事を組み立てます。

「熱結タイプ」は熱体質や各種熱性病、辛いものの過食で体に熱がこもって大腸が渇き、便が硬くて出にくいのが特徴です。キュウリ、レタス、白菜、アロエ、バナナ、スイカ、ウリ科の野菜で熱を冷まして腸に潤いを与えましょう。

「気滞タイプ」はストレスや運動不足で気の巡りが悪く、腸の働きが不安定になって、便意はあるのにスッキリ出ない、腹部脹満、便が細いのが特徴です。軽い運動も取り入れてストレスを上手に発散し、柑橘類、蕎麦、大葉、玉ねぎ、セロリ、春菊など香りの食材で気を巡らせましょう。

「冷えタイプ」は虚弱体質、冷え症、加齢などで体を温める力が不足して腸内が冷え、腸の動きが弱く便が出にくいのが特徴です。ぬるめのお風呂にゆっくり浸って体の芯を温め、お食事は胡椒や山椒、韮、シナモンなどの食材でお腹の中を温めて下さいね。

「血不足タイプ」は貧血症、月経過多、慢性出血、産後などの血液不足で腸を潤せず、便が硬い、便がコロコロしているのが特徴です。目や脳は血液を多く使う所です。夜中のパソコン仕事は避け、しっかり睡眠をとり、法蓮草、人参、小松菜、牛肉、クコの実、棗、アーモンド、ベリー類などを積極的に摂りいれましょう。

「気虚タイプ」は老人性の体質虚弱、疲労、病後などのエネルギー不足で腸の働きが弱く、便が動かず排便に時間がかかる、排便後に疲れるのが特徴です。じゃが芋、薩摩芋、豆類、蜂蜜などでお腹に力をつけて下さいね。

体の消化器官は副交感神経が強くなることで活発に働きます。便が作られるのは副交感神経が一番よく働く眠りの時間。しっかり睡眠をとり、朝起きたら朝食を食べ、食後には便意がなくてもトイレに行く習慣も大切です。

お薬に頼るだけでなく、ライフスタイルの見直しや自分の体質に合った食養生で根本的に便秘を改善して行きましょう。

黒川 眞妃子氏プロフィール
黒川 眞妃子 氏

経歴

おばんざい料理店経営のち、国際中医薬膳管理師、国際薬膳調理師を経て国際中医師に。現在医療学院薬膳講師の傍ら「関西薬膳びと」「国際ウェルネス薬膳協会」を立ち上げ市民大学講座、鍼灸学院薬膳セミナー、企業様薬膳研修セミナーや薬膳調理実習会、産科病院での産前、産後食セミナー、幼稚園での薬膳給食献立。その他飲食店 薬膳メニュー開発、薬膳コラム執筆など。食べることは生きること・・・食卓に昇る「おばんざい薬膳」普及に奮闘中。

資格

国際中医師、国際中医薬膳管理師、国際薬膳調理師、中医薬膳指導士、食育インストラクターSecond Grade

執筆

大阪人「祭りのときの食養生」、フェリエ「キッチンからのラブレター」連載、ママ育コラム連載、「お出かけ帖」料理ページ担当など多数。

メディア情報

TV:朝日放送 おはよう朝日です/ 大阪テレビ なにしょ
ラジオ:原田伸郎 のびのび金曜日