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薬剤師 吉田節子が教える!アロマテラピー

第8回 基材を学んでアロマを上手に使いましょう ― その3

今回は精油の基材についてのラストとなります。ちょっとおさらいしますと、精油は原液のままでは非常に濃い濃度の有機化合物の混合体ですので、それを引き伸ばし、使いやすい形にするために必要なのが基材でした。基材の種類は3つに分けることができ、①親油性 ②親水性 ③その他 となります。今回は最後の③その他の基材についてご説明しますね。

エタノール
エタノールはアロマテラピーにおいて欠かせない基材の一つです。エタノールは精油を水にも油にも溶かすことができる優れた媒体です。ここで注意すべきは濃度です。濃度の高いアルコールでなければ、精油を完全に溶かしきることができません。一般的にはアルコール濃度が40%以上のものであれば、精油を均一に溶かすことができると言われています。
ドラッグストアでお勤めの方は出会ったことのあるシチュエーションかもしれませんが、若い女性がカウンターに来られて「無水エタノールをください」と言われることがあります。一体何に使うんだろう?と思い聞くと、「アロマのスプレーを作りたいんです」などと答えられることがあります。そんな時、香水でしたら無水エタノールに溶かして濃度計算をパーフェクトにして、その上でアルコールを飛ばす作業が必要ですが、自宅でアロマスプレーを作るのであれば、普通の消毒用エタノールなどで十分であることを教えてあげてほしいと思います。値段も大分違います。
・無水エタノール/エタノール99.5vol%以上
・エタノール/エタノール95.1~96.9vol%
・消毒用エタノール/エタノール76.9~81.4vol%
エタノール濃度が80%前後のものが最も消毒効果が優れています。なのでもし、お掃除用のアロマスプレーを作る場合であれば、無水エタノールでわざわざ溶かして精製水を入れるよりも、消毒用エタノールに直接精油を滴下してしっかりシェイクした方が早いしお徳だと思います。
あと余談ですが、ウォッカで40%濃度を超えているアルコールでしたら、こちらも使えますよ。もちろん飲用は厳禁です笑

グリセリン
植物由来のグリセリンはグリセリドですから精油を溶かすことができます。アロマテラピーではコスメを作る時に保水性とある程度の皮膚軟化作用をねらって使うことが多いです。

ミツロウ・はちみつ
ミツロウはビーワックス。つまりミツバチが作る動物性のワックスです。少し湯煎して温めると液体になりますのでそこに精油を滴下します。固まると固形になりますので、アロマキャンドル作りや、アロマハンドクリームなどを作る時に使います。
精製されたものは色も白く余計な香りがありませんし長持ちしますが、私は未精製のものが、自然な風合いと香りがあって好きです。ミネラル分も豊富に含んでいる感じがします。
はちみつはとろりとした使用感がほしい時に、パックの基材やハンドクリーム作りに混ぜたりといろいろ使えます。自然由来のはちみつは抗炎症作用もありますので手作りコスメには重宝します。安く売られている精製済みのはちみつには残念ながら抗炎症作用は認められないそうです。


塩はなんといってもアロマバスソルト作りには欠かせません。大さじ1杯の天然塩と好みの精油があれば、それだけでアロマバスを楽しむことができます。精油成分の小さな油滴が水面に浮かんでくるので溶けていないのでは?と疑問を持たれる方もいらっしゃいますが、少なくともまんべんなく水中に攪拌させることができます。
精製された食塩でも基材となり得ますが、やはりここは天然塩を使ってほしいところです。天然の粗塩は種類を選ばなければ100円ショップでも手に入ります。また、塩にこだわりたい!という方はヒマラヤ岩塩など様々な種類が出回っていますので試してみてください。自然由来で色のついた岩塩は、それだけ多くのミネラルを含んでいるということですから、発汗作用などが高い可能性があります。

クレイ
粉末状で売られている粘土です。皮膚収斂作用がありますので、主にパックの基材となります。有名なところではカオリンやモンモリロナイトがあります。採取地によっていろいろな色と使用感のものがありますので、試すととても楽しいですが、敏感肌の方はかなり注意が必要です。刺激を感じない濃度で、まずはお試しください。

以上、基材論を語るのはとても楽しいですが、一つ一つ実践の積み重ねで使用感の違いを五感で感じることが一番大切です。ぜひとも精油をいろいろな場面で実際に作り、体験してほしいと思います。お気に入りのレシピが出来上がっていくのも、アロマテラピーの醍醐味の一つだと思います♪

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