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カウンセライダー日並のこみコミ通信

第4回 キャリア・プランニング・プロセス ~就職・転職には覚悟が必要~

キャリア・プランニング・プロセスは、就職・転職をする場合の活動の順序のことです。ステップ1から7まであり、概ねこのステップに沿って活動を進めて行くことになります。
最初のステップ1が『意思決定の必要性の自覚』です。人は必要性を感じない限り、何か新しい行動を起こそうとは思わないと言われています。就職・転職をするには、本人がしっかりと決断をして、自分で決めることを自覚することが重要です。世間体を考えると就職しなければならないとか、周りがするから自分もするしかないとか、条件がいいところがあれば転職しようなどと考えるのではなく、何故仕事をするのか、何のために馴染んだ会社を辞めてまで転職するのかをしっかり考えることは非常に重要です。
ここで自分の意思をはっきりとさせ、決断することを自覚出来ていないと、次のステップ以降で躓くことになります。特に初めての就職をする新卒者の場合、ここを自覚できていないまま就活を始め、行き詰まり、思うように結果を出せず心が折れてしまう人がたくさんいます。ステップ2では自己の再評価をします。興味・関心、能力(出来ると思うこと)、価値観を見直す段階ですが、ステップ1の『意思決定の重要性の自覚』が出来ていないと、出来ることがない、価値観がわからない、興味・関心を持てることがないという状況になってしまいます。これには正解がありませんので誰かに教えてもらうことも出来ません。過去の経験を棚卸ししてその中から、自分が興味を持てるものは何か、キャリアの芯は何かを見極め、自分の価値観を決めるしかないのです。このステップで納得した結果が見えていないと、ステップ3の職業・仕事の特定に進むことが出来ません。就職に苦労する若者の多くはこの状態にあります。『自分に向いた仕事がわからない』『自分がどんな仕事をすればいいかがわからない』という悩みを抱えて動けなくなるのです。
就職支援機関や大学のキャリアセンターでの就職支援は、大概ステップ2からスタートします。そもそもステップ1は就職活動を始める時点でクリア出来ているはずですし、就職支援機関のセミナーやカウンセリングで何とかなるものでもありません。家庭生活や学生生活の中で自然に培っていくものです。
では、なぜ出来ていないのかというと…理由は複合的で様々な要因が重なり合っています。最も影響があるのは学校教育だと思います。就職活動時期が来るまでに、『働く』ということを真剣に考え、同じ環境にいる仲間と話し合う時間を経験していません。今の教育はひたすら正解を求めるための手段を教え、多く正解することが評価されます。ところが就職活動には正解がありません。全員が同じ方法で正解を導き出せるものではないし、全員が同じ答えを求めているわけでもありません。正解がない就職・転職活動の中で、自分で自分の正解を導き出していくためには、まず『自分で決める』という覚悟をすることがとても重要なのです。