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カウンセライダー日並のこみコミ通信

第14回 聖なる言い訳

「仕事だから」「仕事が忙しくて」「急な仕事が入ったから」「ここんとこ仕事がハードで」
皆さんも一度は口にしたことがあるのでは?私は年中口にしてます(笑)
この言い訳ってほとんどの場合、相手は納得してくれます。むしろ「大変ですね」と労ってくれたり気遣ってくれたりします。おそらく仕事が忙しいということはいい事だと思っているので、それを妨げるのは良くないことだから、みんなが認めてくれるのだと思います。まさに聖なる言い訳ですね。

個人的な経験ですが、仕事は本当に辛い出来事があった時に自分を助けてくれます。人生には時々、自分の力が及ばないような事が起こります。そんな時に“とにかくやらなければならないこと”があるのは本当にありがたいことだと思いました。例えば、自分の大切な人がどうしようもない事態になった時、それが自分の力ではどうにもならない時、人は無力感に苛まれ自分を責め何もかも嫌になり何もやりたくない気持ちになります。でも仕事は待ってくれません。今日やらなければならないことを突き付け、いつもと変わらぬ日常に引き込んでくれます。

でも、仕事に向きあうと自分ではどうにもならない現実を束の間だけ忘れることができます。その分時間が経過します。日にち薬と言いますが、辛く悲しい記憶は消えてしまう事はないけど、時間とともに自分の心の奥深くに閉じ込めておくようになれます。何も出来なかった自分だけど、仕事だけはやれたと言う聖なる言い訳だと思っています。

私はこの14年間、仕事に就くことが困難な人を主に支援してきました。仕事がない、明日の朝起きた時に何もすることがないのは人間にとってとても辛いことだと思います。仕事は大きなストレスになることもありますが、予期せぬ出来事が起こった時、自分を支えてくれることもあります。だからこそ人間は何か仕事に就くべきだと思いますし、そう思えるからこそこれまで就職支援を続けてきました。

“仕事が忙しいから…”せめて聖なる言い訳が言えるように。