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カウンセライダー日並のこみコミ通信

第16回 刑務所見学その3

昼食後に場所を移動して、合同面接会がありました。企業は6社、建設業・運輸業・飲食業です。事前に求人票を見て自分が受けたい企業を3社まで決めて、受刑者が順番に企業ブースを訪れ面接を受けるというものでした。受刑者は11名でしたが、ほとんどの人が3社の面接を受けていました。企業とのやりとりは個人情報の問題で聞くことは出来ませんでしたが、真剣な表情で企業の人と話をしている様子が見て取れました。

受刑者をこれほど間近で見たことは初めてです。私を含めて一般人が最も興味を持つところだと思います。どんな人か、どんな顔か、どんな雰囲気か…。
まじまじと見たわけではありませんが、ほんとに人それぞれです。一番気になったのは目でした。目は口ほどにものを言うといいますが、いわゆる“目つき”がそれぞれなのです。私はカウンセラーという仕事上、数多くの人と近い距離で会ってきました。その時に目つきを見れば、何らかの判断がつきます。言葉で表現すると非常に難しいのですが、ずっと一緒に居ても大丈夫かどうかということです。何人かは『危ないな』という目がありました。逆に危なさを全く感じない目もありました。

これから企業と受刑者を橋渡ししていきます。企業は人を見て判断する経験を多く積んでおられます。採用か不採用かを決める理由はそれぞれですが、少なくとも目を見て話をした時に感じることは概ね同じだと思います。出所して社会に戻ると目つきや雰囲気は変わっていくのかはわかりませんが、課題は多くありそうだと思いました。

刑務所内の建物の入り口には必ず職員の方に向けて鏡があり、【容姿を整えよ】とありました。だらしない恰好をしていると受刑者との距離感が保ちにくくなり、秩序が乱れてくるからです。私は刑務所を見学して、秩序という言葉を再認識しました。秩序とは 物事を行う場合の正しい順序・筋道、その社会・集団などが、望ましい状態を保つための順序やきまりです。刑務所に最も必要なことですね。この秩序を守るためのひとつが容姿を整えることです。

これは一般社会でも大切なことだと思います。仕事が出来るから見た目は構わなくてもいいわけはありません。むしろ初対面では見た目で判断するしかないこともあります。見た目を整えることは、コミュニケーションを円滑にするための第一歩でもあります。清潔感のない人、見た目が散らかっている人と積極的に関わりたいとは思わないですよね。

カウンセラーも第一印象が大切です。「この人なら50分間話をしてもいいなあ」とまずは思ってもらえるように、容姿を整えます。