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薬剤師が奨学金返済のために知っておきたい12のこと

第2回 薬剤師としてのライフプランと奨学金の返済

数年前から奨学金の返済問題がメディアで取り上げられる機会が増えています。

また、昨年から選挙権年齢が18歳に引き下げられたこともあり、奨学金制度の見直しが重要政策のひとつとして認識されるようになりました。

現政権では、イギリスやオーストラリアで導入されている本格的な「所得連動返還」制度の創設が検討されています。

これから大学に進学する学生にとっては朗報かもしれませんが、現在貸与中の学生や既に社会人として働いている人に対して、どれだけ恩恵があるのかは不透明な状況です。

多くの薬学部生が利用した日本学生支援機構(旧日本育英会)の奨学金は、返済が必要な貸与型です。経済的に厳しい人に対して一定期間返済を待ってもらえる猶予制度はありますが、返済が帳消しになる免除制度は無いので必ず返済しなくてはなりません。

そこで今回は、薬剤師としてのライフプランと奨学金の返済について考えてみたいと思います。

■薬剤師の収入と奨学金の返済額の目安 奨学金の返済額は借りた総額により決められます。
薬学部で6年間借りた場合の貸与総額と返済月額を見てみます。

第一種奨学金(無利子)
    貸与月額 6年間計 返済月額 返済年数
国公立大学 自宅生 45,000円 3,240,000円 14,210円 19年
自宅外生 51,000円 3,672,000円 15,300円 20年
私立大学 自宅生 54,000円 3,888,000円 16,200円
自宅外生 64,000円 4,608,000円 19,200円
第二種奨学金(有利子) ※返済利率1.0%で計算
貸与月額 6年間計 返済月額 返済年数
30,000円 2,160,000円 13,846円 14年
50,000円 3,600,000円 16,629円 20年
80,000円 5,760,000円 26,606円
100,000円 7,200,000円 33,259円
120,000円 8,640,000円 39,910円
140,000円 10,080,000円 46,696円

次に、厚生労働省の「平成28年賃金構造基本統計調査」から、薬剤師の収入データを見てみましょう。

薬剤師の年間収入(年齢別平均)
  25~29歳 30~34歳
男性 女性 男性 女性
給与 342,770円 314,300円 401,170円 334,270円
賞与 591,920円 595,750円 786,870円 686,520円
年間収入 4,705,160円 4,367,350円 5,600,910円 4,697,760円

気になるのが、女性が多い業界でありながら、男性に比べて収入が低いという点です。
表の金額は税込み収入なので、税金や社会保険料等が引かれた実際の手取り額の目安を見てみます。

毎月の手取り額の目安
年齢 性別 月給 税・社会保険等 手取額
25~29歳 男性 342,770円 -72,209円 270,561円
女性 314,300円 -66,351円 247,949円
30~34歳 男性 401,170円 -89,593円 311,577円
女性 334,270円 -71,173円 263,097円

※住民税等は地域により異なるので、税・社会保険料控除額は目安とお考えください。

第一種奨学金ならば最大の返済月額でも2万円以下なので、無理なく返済できる金額だと思いますが、第二種奨学金の10万円以上となると返済額が3万円を超えてきます。

金額もそうですが、何といっても20年と長期にわたる返済期間が問題です。
薬剤師としてのキャリアを24歳でスタートしても44歳まで返済が続くのです。
その間には、結婚や出産など人生の大きな転機を迎え、生活環境が大きく変わってしまう人も多いはずです。

■結婚、出産、住宅ローンの平均データ それでは、結婚や出産年齢など、人生に大きく影響するデータを見てみたいと思います。

結婚と出産の平均年齢
  男性 女性
結婚の平均年齢 31.1歳 29.4歳
第一子出産時の年齢 32.7歳 30.7歳

出所:厚生労働省「人口動態調査2015」

この調査によると、結婚出産ともに女性の平均年齢は30歳前後となっています。
奨学金の最長返済期間であれば、結婚してからも約15年間返済が続くことになります。

15年と言うと、子どもは既に中学生になっています。高校や大学進学を考え学習塾などの教育費負担が大きくなってくる年頃です。

中には、25年や30年など長期のローンを組んで住宅を購入している家庭も多いはずです。
住宅ローンは完済すると財産になるので奨学金と単純に比較はできませんが、それにしても住宅ローンと奨学金の返済が長期間続くのは家計にとって大きな負担でしょう。

では、住宅ローンの平均返済額はどれくらいなのでしょうか。
下表は住宅ローンに関する調査データです。

住宅購入に際しての借入額と返済額
平均借入額 2,627万円
平均返済月額 95,000円
返済負担率 20.4%

出所:住宅金融支援機構調査(2016年度)

ネットで色々と検索してみると、家賃や住宅ローンが収入の25%を超えると家計が苦しくなるようです。

この統計から負担率25%の金額を算出すると約116,000円となり、つまり奨学金の返済月額が20,000円を超えると家計が苦しくなるということです。

①奨学金・・・・薬剤師になるための自分への投資
②教育費・・・・子どもの将来への投資
③住宅・・・・・家族の幸せのための投資

薬剤師になるために投資した奨学金が、家族や子どもの将来の幸せの足かせになってしまうとすれば皮肉な話です。

結婚や出産までに奨学金を上手く繰り上げ返済し、その後の返済負担を小さくするのかがポイントです。特に女性薬剤師ほど、現実と将来の両方を見据えたライフプランが大切だと考えます。

久米忠史 先生
久米忠史 先生
久米忠史 先生

奨学金アドバイザー
株式会社まなびシード代表
http://www.shogakukin.jp/

1968年生まれ 和歌山県出身
奨学金アドバイザーとして2005年から沖縄県の高校で始めた奨学金講演会が「分かりやすい」と評判を呼び、 全国で開催される進学相談会や高校・大学等での講演が年間100回を超える。
「奨学金なるほど!相談所」では、無料メール相談も行っている。

【著書】奨学金 借りる?借りない?見極めガイド
【著書】子どもを大学に行かせるお金の話
【連載】All About(オールアバウト)「大学生の奨学金」

奨学金アドバイザー久米忠史先生 無料メール相談

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