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薬剤師が奨学金返済のために知っておきたい12のこと

第6回 多くの若手薬剤師が勘違いしている奨学金の利息

日本学生支援機構の奨学金には無利子の第一種奨学金と有利子の第二種奨学金がありますが、第一種奨学金は貸与月額が最大64,000円と限られているため、多くの薬学生は有利子の第二種奨学金を利用しています。

<第二種奨学金>
月額 3万円、5万円、8万円、10万円、12万円 から選択
また、私立大学・薬学生が12万円を選択した場合は更に2万円の増額が可能

つまり、私立大学の薬学部に進学すると3万円から14万円の中から貸与月額を選択することになります。

薬学生に限らず、進学に際して奨学金を考えている多くの学生・保護者が、有利子である第二種奨学金の利息に不安を感じています。

しかし、不安を感じながらも、奨学金の利息について誤解している人が意外に多いのです。

日本学生支援機構の奨学金の利率の上限は3%と規定されています。
これは、“市場金利がどれだけ上昇しても奨学金の利息は3%を超えない”という意味であって“利息は3%”ということではありません。

しかしながら、各種メディアによる奨学金報道で3%という数字が強調され過ぎたためか、「奨学金の利息は3%」と思い込んでいる人が数多くいます。

日本学生支援機構の奨学金は無利子、有利子ともに実質は学生ローンですが、特に有利子奨学金の利息の仕組みは一般のローンとは大きく異なります。

それでは、奨学金の利息について詳しく考えてみたいと思います。

■奨学金の実際の利率は?

日本学生支援機構の有利子奨学金を申し込む際には、返済利率の算定方式も選択しなくてはなりません。

算定方式には「固定方式」と「見直し方式」の2種類があり、固定方式は全ての返済を終えるまで同じ利率が適用され、見直し方式では5年ごとに利率が変動する可能性があります。

例えば、返済期間が20年とすると、固定の場合は20年間同じ利率であるが、見直しでは、「1年目~5年」「6年目~10年」「11年目~15年」「16年目~20年」と4回利率が見直されることになります。

ただし、必ず変動するわけではなく、見直し方式でも結果的に10年間同じ利率が適用される可能性もあります。

奨学金の返済利率は貸与終了時点に確定します。つまり、大学卒業まで借りるとすれば、卒業時の3月に利率が決まります。

2017年3月貸与終了者を見ると、固定方式0.33%、見直し方式0.01%となっており、上限利率である3%よりもはるかに低いのが実情です。

実は、奨学金の利率について2016年に大きな制度変更がありました。

上限利率が3%であることは先に触れましたが、下限利率も決められており、それが0.1%でした。つまり、奨学金の利息は0.1%~3%の間で決定されていたのです。

ご存知のように現在は、超低金利時代に入っています。そのため有利子奨学金の利息も見直されることになり、2016年10月からは利率の最下限が0.01%まで引き下げられました。

したがって、現在奨学金を利用している人の利息は、0.01%~3%の範囲で決められることになります。

そこで、上限である3%と2017年3月貸与修了者の利率(固定0.33%/見直し0.01%)とでは、支払利息額がどれだけ違ってくるのかを計算してみました。

■支払い利息総額の比較(返済期間20年)

月額10万円の奨学金を6年間で総額720万円借りた場合
<3%>
20年間の利息総額/2,489,270円
年間支払利息/124,464円
月間支払利息/10,372円

<0.33%>
20年間の利息総額/252,746円
年間支払利息/12,637円
月間支払利息/1,053円

<0.01%>
20年間の利息総額/7,493円
年間支払利息/375円
月間支払利息/31円

一目瞭然だと思いますが、実際に適用された利率と上限の3%とでは、驚くほどの大きな開きがあることが分かります。

見直し方式は5年ごとに利率が変動するリスクがあり、固定方式よりも常に利率が低いという保証はありませんが、それにしても奨学金の利息自体は心配するほどのものではないことを感じて頂けたのではないでしょうか。

最新利率は日本学生支援機構のホームページで確認できるので、ぜひ参考にしてください。
奨学金の最新利率ページ

もう一点、有利子奨学金の特徴を挙げたいと思います。
これは、薬学部を志す受験生の保護者、あるいは、奨学金と教育ローンを併用している家庭に知ってほしいポイントです。

■奨学金と教育ローンの利息の仕組みの違い

日本学生支援機構の第二種奨学金は有利子ですが、在学中は利息が発生しません。

つまり、大学の6年間、毎月お金を借りているのだが、その間は1円たりとも利息を支払う必要がありません。

一方、教育ローンをはじめとする通常のローンは借りた翌日から利息が発生します。

先に触れた実際の利率に加えて、この利息の発生時期も有利子奨学金の大きな特徴と言え、これらを理解することでトータルの支払い額を節約することにつながると考えています。

では、国の教育ローンと奨学金とを比較してみましょう。

<日本政策金融公庫・国の教育ローン ※2018年1月現在>
利息の発生時期 → 借りた翌日から
返済利率1.76%(母子父子家庭等は1.36%)

<日本学生支援機構・第二種奨学金 ※2017年3月貸与終了者>
利息の発生時期 → 卒業後から
返済利率0.33%(固定)、0.01%(見直し)

教育ローンの中で最も利息が低いといわれる国の教育ローンと比べてみても、奨学金の利率の低さは際立っています。これが利率の高い信販系教育ローンなどと比べるとその差はさらに大きなものとなるでしょう。

利率もそうですが、一般学部生と異なり修業年限の長い薬学生にとっては、在学中に利息が発生しないという奨学金の特徴は見逃してはならないポイントだと思います。

文部科学省の調査では、2016年度に入学した私立大学生の初年度納付金が過去最高額となったことがわかりました。

年間の授業料が高かった学部の順番を同調査からみると、歯学部(3,167,038円)、医学部(2,736,813円)、薬学部(1,437,492円)とのこと。

医療系学部は施設設備費や実験実習費など授業料以外の費用も高額です。しかも、6年という修業年限を考えると、学生や保護者の学費負担は大変なものになってしまいます。

薬学部を志している受験生や奨学金を利用中の薬学生とその保護者には、有利子奨学金の特徴を正確に理解して、賢く活用して欲しいと思っています。

久米忠史 先生
久米忠史 先生
久米忠史 先生

奨学金アドバイザー
株式会社まなびシード代表
http://www.shogakukin.jp/

1968年生まれ 和歌山県出身
奨学金アドバイザーとして2005年から沖縄県の高校で始めた奨学金講演会が「分かりやすい」と評判を呼び、 全国で開催される進学相談会や高校・大学等での講演が年間100回を超える。
「奨学金なるほど!相談所」では、無料メール相談も行っている。

【著書】奨学金 借りる?借りない?見極めガイド
【著書】子どもを大学に行かせるお金の話
【連載】All About(オールアバウト)「大学生の奨学金」

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