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奨学金アドバイザー久米忠史の奨学金返済のススメ!

第5回 薬剤師の収入モデルと奨学金を賢く返済するポイント

奨学金セミナーを通して、若手薬剤師の方々に持った印象は「真面目にコツコツと取り組むタイプの人が多いなぁ」というものでした。

薬剤師を目指す学生の最大の目的が国家試験に合格することなので、あたり前と言われればそうですが、日々の学修姿勢も世間一般の文系学生とは違うだろうと想像します。

1000万円以上もの学費と6年間という長い時間を費やし、ようやく国家資格を得たのだから、その後の待遇はより良いものを求めるのは当然のことだと思います。

厚生労働省の平成27年賃金構造基本統計調査によると、薬剤師の平均年収は611.8万円(従業員規模10~99名/平均年齢43.1歳)と報告されています。

また、ネットで検索すれば薬剤師の年収に関して様々な情報を目にすることができますが、初任給も一般の大卒平均額よりも概ね高水準であることが推察できます。

しかし、みなさんのほうがご存知でしょうが、薬剤師を求める分野が昔よりも広がっているうえ、働く業種や地域によっても給与待遇が異なってきます。

そこで、総合病院、調剤薬局、ドラッグストアの3業種で、入社初年度の平均年収を比較してみました。

◆明らかに業種で異なる給与水準

病院→薬局→ドラッグストアの順に給与が上がっていくことがわかります。
初年度は夏の賞与が満額出ないので、2年目以降の年収はより高くなると考えてください。

それにしても、病院とドラッグストアの年間60万円もの違いは、奨学金の返済を抱える若手薬剤師にとっては無視できない金額です。

病院でも国公立か民間か、あるいは企業規模によっても待遇が異なるでしょうし、大手製薬会社の営業職(MR)ならば年収1000万円以上も珍しくありません。

薬剤師にとって総合病院は人気の就職先ですが、人手不足かそうでないかが、待遇に反映される基本的なポイントといえるでしょう。そういう観点から考えると、都市部と地方エリアとの違いも見逃せません。

◆奨学金の返済額を考える
奨学金の返済は大学卒業後の7か月目から始まります。つまり、新社会人となった10月から毎月一定額が引き落とされるとイメージしてください。

では、毎月の返済額はいったい幾らぐらいなのでしょうか。
日本学生支援機構奨学金を私立大学で6年間借りた場合の返済月額の目安を整理しました。

第二種奨学金の月額10万円を6年間借りると、その返済額は月々3万円以上、最高額の14万円では4万5000円を超えてきます。さらに第一種と第二種の両方を借りた場合、毎月の返済額は7万円近くにもなります。

しかも、その返済は20年と長きにわたって続くのです。比較的給与の高い薬剤師といえども、奨学金の返済が大きな負担になることは間違いありません。

昨年(2016年)、奨学金の新制度に関する有識者会議が文部科学省に設けられました。そこで議論された課題のひとつに、奨学金の返済額を“所得の9%”とするという要件がありました。

裏を返せば、所得の10%以上になると、奨学金の返済負担が大きく、その後の社会生活の障害になりかねないという意味にもとれます。

自分が望む職場で働くことが理想ではありますが、奨学金の返済額を考えて就職先を選択することも負担軽減のための現実的な対策といえるでしょう。

◆繰り上げ返済すると返済期間を短縮される
日本学生支援機構奨学金の月々の返済額と返済年数は借りた総額により決められます。

「早く返済を終えたいので、決まった金額よりも多めに返したい・・・」
時々このような相談を受けますが、残念ながら勝手に返済月額を増やすことはできません。

しかし、一般のローンと同じように奨学金も繰り上げ返済することができます。

繰り上げ返済すると、その後の返済月額が小さくなるのではなく、返済期間が短縮されると理解してください。また、有利子奨学金であれば、繰り上げ月数に相当する利息分も節約されることになります。

さらに、一般のローンとは異なり、奨学金の繰り上げ返済の手数料は無料です。

◆年に1回まとめて繰り上げ返済がオススメ
日本学生支援機構奨学金を繰り上げ返済するには「インターネット」「郵送・FAX」「電話」の3つの方法がありますが、やはりインターネットが一番便利でお勧めです。

機構の専用サイト「スカラネットパーソナル」に登録すれば、PCだけでなくスマートフォンからも各種手続きがおこなえます。

繰り上げ返済は、年に一回まとめてすることをお勧めしています。

また、貯まったお金を全額繰り上げ返済に充ててしまうと、突然の出費に対応できなくなります。

例えば、1年に60万円貯まったとすれば、40万円を繰り上げ返済し20万円を手元に残しておく・・・ そうすれば、借金を40万円減らしながらも貯金を20万円増やすことになります。

これからは、給与面を含めた現実的な待遇とキャリアアップの2つをあわせて考えた将来設計が必要な時代になったといえるでしょう。

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