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正しい理解を持ち、CBDを健康な未来を創る味方に。

佐藤 均 氏(昭和大学薬学部教授)

佐藤 均 氏(昭和大学薬学部教授)

東京大学薬学系研究科(製剤学教室)修士課程修了
金沢大学薬学部助手、富山医科薬科大学付属病院薬剤部助手、アメリカ国立衛生研究所(NIH)・ガン研究所(NCI)奨励研究員、スイス・バーゼル研究所客員研究員を経て、東京大学医学部助教授に着任。
2000年より昭和大学薬学部教授(臨床分子薬品学教室)。
現在、同大学の基礎医療薬学講座薬物動態学部門を担当。

健康や美容の分野で注目を浴びながらも、大麻由来であるがゆえに懐疑的な目を向けられることもあるCBDについて、日本におけるCBD研究の第一人者である佐藤教授にお話を伺いました。

大麻草由来の健康素材、CBDとは?

―佐藤教授がCBDの研究を始められたきっかけを教えてください。。

10年ほど前に、知人からアメリカでCBDが注目されていて、副作用もほとんどなく市民権を得ているという話を聞きました。当時日本ではCBDのことを知っている人はほぼおらず、調べるうちに医薬品に近い存在だということがわかったので、ならば医薬品開発の視点、薬学的な視点からこの物質について日本でも研究・調査する必要があると興味を持ったことがきっかけでした。

 

―CBDとはどのようなものか、改めて教えてください。

CBDとは、大麻に含まれる生理活性物質カンナビノイドの一種です。自律神経、つまり副交感神経と交感神経のバランスを調整する働きがあります。高すぎるものは低くして、低すぎるものは高くする、という調節機能です。細胞間の伝達物質はさまざまありますが、それらのメッセージを円滑にします。例えば、てんかんをお持ちの人は神経伝達を調整することにより発作を抑えられますし、アレルギー症状が表れる人は高すぎる免疫を抑えられることにより炎症が治まります。
数々の研究発表や論文が出され、どんどんエビデンスが蓄積されているところです。臨床試験も世界で300件以上進行中ですから、臨床的に効果が証明されれば、医薬品として新たな適用が認められる可能性が高いですね。

 

―「大麻」と聞くと、つい身構えそうになります。あえてお聞きしますが、CBDは摂取して本当に大丈夫なものですか?

はい。適切に摂取すれば安全な成分です。物質としての規制はされていません。健康に良く副作用がほとんどないというレポートも2019年にWHOから出されています。


ですが、薬剤師でもCBDに対する反応には人によって大きく差があるくらいですし、大麻に含まれる危険な物質だと思っている人には抵抗があるのは当然だと思います。
カンナビノイドの成分には、CBD以外にもTHC(テトラヒドロカンナビノール)という有名な成分があります。こちらは精神的にハイになってしまう精神活性作用などがあるので、日本では麻薬成分として規制されています。CBDにはそういった精神作用はありません。両方とも構造的にも非常に似ていますから、最初は混同してしまうのも仕方ありません。

 


CBD(カンナビジオール)
大麻からとれるカンナビノイドという成分の一種で、麻(大麻草)の成熟した茎や種子から抽出される成分。CBDには精神活性作用がなく、抗炎症や自律神経の調整、抗不安、抗てんかんなどの効果が認められ、約200の疾病への有効性がWHOでも認められている。

 

―CBDの摂取方法と、摂取にあたっての注意点があれば教えてください。

全身に効かせるには舌下吸収が一番効果的です。食品成分では掛け合わせていけないものはないので、舌下吸収に抵抗がある方はお茶やコーヒーに入れたり、ヨーグルトに混ぜたりして摂取するのも良いでしょう。短時間で100℃以下なら熱しても問題ありません。ただし、消化管吸収率は舌下吸収率の半分以下です。

皮膚からの吸収率は比較的高いので、アトピーなど特定の部位に塗布すれば局所的に効かすこともできます。リラクゼーション目的ならば、0.1%くらいの濃度でマッサージオイルやクリームに混ぜて使うのも効果的かと思います。生理痛など女性特有の症状にも有効です。

注意すべき点は、医薬品と同時に摂取することは避けることです。医薬品の代謝酵素を阻害してしまいますから、医薬品の作用が強まって副作用が出てくる可能性があります。それから、1日の摂取量が100mgを超えないようにしていただけたらと思います。栄養物質ではなくメッセージ物質なので、摂取量が少なくても効きます。多く摂取し過ぎると免疫抑制が強くなってしまう危険があるので。基本的に疾病の予防目的・健康維持の目的であれば、1日量20〜40mgくらいの少ない量で摂取するのが良いと思います。

 

薬剤師の正しい理解が、適正なCBDの摂取につながる。

―薬との併用については知らずに摂取しまう方もいると思います。薬剤師が関わる必要性を感じますね。

できれば薬剤師の方には、医薬品を処方するときにCBDを含むサプリを摂取しているかどうかを患者にヒアリングして、先に話したような注意点や相互作用を回避するためのアドバイスをきちんと説明してほしいと思います。患者がどういったものを医薬品と同時に飲む可能性があるのかを常にチェックしないと、思わぬ副作用が出てしまう可能性があります。薬剤師がきちんとCBDを理解したうえで患者とコミュニケーションを取ってくれることが、適正なCBDの普及につながると考えています。それがなく事故が起こってしまうと、たちまち「CBDはとんでもないものだ」と言われ、規制の対象にもなりかねません。

 

―さまざまなCBDの商品を誰でもネットで購入できますが、購入するにあたって気を付けたほうがいいことはありますか?

まずは「販売元がどの程度CBDについて解ったうえで販売しているのか?」ということが大事です。そもそも日本は大麻の栽培が禁止されているため、CBDについてはもっぱらアメリカやヨーロッパから輸入して製品化している会社が大半です。欧米のラベルを貼ったまま輸入される商品や、ラベルを日本向けに貼り替えただけで流通されている商品にTHCが入っていたとしたら、微量であったとしても日本では違法です。
ほかにも、大麻は土壌からヒ素や水銀、鉛などの微量元素を効率的に吸い上げてしまう植物なので、それらが入ってしまっていると健康被害が起こってしまいます。きちんと安全性に関するデータを持っていて、それをきちんと提供してくれているかどうか。違法物質が入っていないことをきちんと開示していること。栽培、製造、加工がそれぞれどこで行われているかといったトレーサビリティがとれている販売会社が安心だと思います。特に薬のプロである薬剤師は、そういうところまで考えないといけないと思います。

 

―CBDについて、これから薬剤師に期待することを教えてください。

CBDは久しぶりに見つかった新しい健康素材だと言われています。パーキンソン病や認知症、ほかにも数多くの加齢に伴う疾病はカンナビノイドが不足していくことで起こるということが解明されてきています。それらの予防にCBDを活用することができれば、日本人の健康寿命を延ばして医療費の抑制につなげられると思っています。


ただ大麻から採れた成分というだけで「CBDは怪しいもの」と思い込まれてしまうのは、とても惜しいことです。大麻の成熟した茎や種から抽出されたCBDは大麻取締法に違反していません。


現在日本に流通しているものは法的に安心して使用できるものが大半ですが、ごく一部にそうではない商品があるがために、「CBDは怪しい」というイメージが多少なりともついて回っているのも事実です。
その怪しい例は毅然とした態度で取り締まるべきですが、正しく分析されて正しく流通している商品については安全性に問題はないので、そこをうまく見分ける目(薬剤師的判断)が必要になると思っています。薬剤師の皆様には、CBDについて正しい理解を持ってもらえることを期待しています。


 

佐藤教授監修のCBDクリーム。

成分詳細、商品に関するお問い合わせはCFS株式会社サイトより。