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WEBコラム

成功者に聞く 薬剤師の独立開業って?

第8回 松下 祐季子さん(有限会社オフィスサービスあだち(ゆずりは薬局)管理薬剤師)

2002年 第一薬科大学卒業
2021年 5月 サンコー調剤薬局(大阪府豊中市)を事業譲渡にて開局
2021年 11月 ゆずりは薬局(奈良県奈良市)をFC契約にて開局

POINT
・さまざまな案件のデータを見て、自分の選定基準を定める。
・開業後も固定費の見直しや管理はとても大事。
・処方元の医師や近隣の薬局、卸会社など幅広く良好な関係を築いておく。

―松下さんは以前にご友人と薬局を起業したのちに売却され、もう一度お父様
の会社の薬局部門として独立開局されています。再度の独立の理由やきっかけについて教えてください。

売却後も主婦をしながら勤務薬剤師として働いていました。自宅近くの調剤薬局でそれなりに楽しく働いていましたが、当時子どもがまだ小さかったこともあり保育園のお迎えや体調不良時には退勤しないといけないなど、就労時間が限られていました。また当時は、一生懸命頑張っても女性よりも男性の方が優遇・期待される社会の風潮もありました。

それでもキャリアアップしたい気持ちが強かったので主人や両親に家事・育児を協力してもらい、エリアマネージャーになることができました。エリアマネージャーを約10年、さらにスーパーバイザーも経験しましたが、次は自分自身で薬局を経営したいと思ったことが独立のきっかけでした。
父が文具の会社を経営していることもあり、せっかくなら父の会社を継いで何か始めたいとも考えていたところタイミング良く事業再構築補助金支援の募集がされていたので、そちらを活用しました。父は現在も文具の部門で、ゆずりは薬局の施設内の住宅型有料老人ホーム(株式会社チャーム・ケア・コーポレーションが運営。以下チャーム。)に文具を卸すなど協力してもらっています。

 

―2店舗オープンするにあたって、税理士などの士業は活用されましたか?

薬局経営に詳しい税理士の方を頼っています。事業再構築補助金の事業計画書の作成時にも助言していただきました。
書類には自社の歴史や事業内容、会社の強みや弱みなどを細かく記載したうえで、当社の場合は文具の卸売業と薬局運営がどう結びつくのか、融合することで事業が成り立つまでのストーリーを書かなければなりませんでした。書類作成には苦労しましたが、改めて親の会社について知ることができる良い機会だったと思います。
当社は有限会社ですが、現在有限会社は新設できませんし、それなりに信頼と実績がなければ有限会社として名乗れないということを知り、親の会社のことをより好きになりました。

 

―譲渡で薬局開局をするにあたり、ご自身で店舗の選定基準は設けていましたか?

以前友人と経営していた薬局は門前の医師が多額のキックバックを求める人だったこともあり、今回はそのようなことがないよう規模の大きい病院門前や面対応の譲渡案件を探していました。また、京都での勤務経験があったため、最初は京都府内で探していました。
結果として奈良と大阪になりましたが、エリアマネージャーの経験から車移動することには慣れていましたし、良い案件を紹介していただけたのでその案件に合わせる形で独立の準備を進めていきました。

 

―現在、チャームや門前の病院とのお付き合いの状況はいかがでしょうか?

ゆずりは薬局は、ニューロンネットワークのFC契約の店舗です。薬局自体はチャームの施設にテナントで入っているですが、新規開局までに紆余曲折あり……。そのときにチャームの方と一緒にトラブルを乗り越えたことで絆が深まり、それがきっかけで施設の方やチャーム本社の方に目をかけていただいています。

当社が文具の会社であることもご存じなので、文具の営業でチャーム本社への訪問もお声掛けいただいたり、新施設のテナントとして薬局入店の話を頂いたりしています。通常、大きな企業だと営業に行けても決定権を持っている方にお会いできることが少ないので、繋がりがある分話が進みやすいので有り難く思っています。

 

―勤務薬剤師の頃と、独立して雇用する立場になった現在とで心境の変化や感じたことはありますか?

細かな話ですが、電気のつけっぱなしが気になるなど、勤務薬剤師のときには気にも留めなかったことに目が行くようになりました。また当薬局は新規の患者様が来局されることが多く、扱ってない薬の処方を受け付けることも多いのですが、薬の手配やお届けに対しても「どこでもお伺いします!」という気持ちになりますし、”次に繋げたい”という気持ちがより強くなったと思います。

また働くスタッフに対しても、以前は踏み込んだことは気になりませんでしたが、雇用する側になってからはスタッフの家族のことまで気になりますし、体調不良などで休みをとっているときは心配で連絡を取ってしまうこともあります。
前職から引き抜いているスタッフもいるので、家族ごと引き受けるくらいのプロポーズに近いような気持ちですね。より強く責任を感じています。

スタッフにも上辺だけでなくこの薬局のことを本当に好きになってもらいたいですし、それがより質の高い仕事に繋がるのではないかと思っています。スタッフ同士が同じモチベーションでポテンシャルを上げていくにはどうしたらいいか、長く働き続けてもらうにはどうしたらいいのか、といったことを常に考えるようになりました。

 

―複数のスタッフを雇用されていますが、具体的に配慮されていることや心掛けていることがあれば教えてください。

私自身、勤務薬剤師の頃に子どもを見てくれる人がいないときに勤務先に「連れて来てもいいよ」と言っていただけて助かったことがありました。子育てに関しては自分が通ってきた道なので、お子さんがいるスタッフには特に配慮するようにしています。

2店舗とも子育て世代の男性スタッフもいます。例えば、お子さんのことで早退したい場合は、店舗が落ち着いてれば男性スタッフも早退して迎えに行っていいと思い先回りして声を掛けるようにしています。奥さんやお子さんのことも大事にしてほしいと思いますし、ただ働くだけではなく雇用側からも具体的にフォローすることでより良い仕事をしてもらえるのではないかと思っています。

 

―ゆずりは薬局は施設への在宅訪問や入居されている患者様の来局も多いと思いますが、この環境ならではの取り組みは何かありますか?

全国のチャームの施設の中でも、入居者一人ひとりの部屋に訪問して直接薬をお渡ししたり管理したりするのはここが初めての試みです。
施設在宅では施設に薬在庫室があり、薬剤師が薬をカートにセッティングしてそれを施設のスタッフが配るケースが多いのですが、以前誤薬するアクシデントが起こってしまったそうです。誤薬の原因がヒューマンエラーならば、直接管理に切り替えてしまえばその危険も無くなるだろうとこの取り組みを始めました。
また、訪問時に飲食物などの買い物を頼まれたら買いに行きますし、傍から見たら利益にならないようなことまでしているのではと思われるかもしれませんが、それがこの薬局の個性ですし、次の仕事に繋がるきっかけとも思っています。
店頭にお菓子や日用品を置いているのも施設の入居者様の希望です。足腰が不自由で買い物に出かけるのが難しい方が多いので、少しでも役に立つことができればと来局時に要望があったものは必ず置くようにしています。それができるのも、当社が大手文具メーカーと販売店契約をしていることで仕入れ販売のノウハウがあるからです。当社ならではの強みですね。

 

―苦労や試行錯誤を経て安定した経営基盤を築かれた今感じられることや、今後の展望について教えてください。

過去に、訪問時にミスをして患者様を困らせてしまったこともありましたが、普段から真摯に対応して患者様が満足されていることを施設の方が見てくださっていたので、施設の方も一緒に頭を下げてくださりました。そのように患者様や施設の方とも信頼関係を築け、任せていただけていることに感謝しています。初めは3~5店舗までと思っていましたが、今は10店舗まで増やしたいと思っています。
伝手がなければ在宅を獲得することはなかなか難しいですし、エリアマネージャーとして一生懸命営業していたときに獲得した案件でも、「出費がかさむので月1回の訪問で大丈夫」などと言われることも多く苦労していたので、今施設在宅を任されていることが夢のようです。

 

―これから独立を目指される方に、ご自身の経験を通して思ったことや伝えたいことを教えてください。

エリアマネージャーを経験していたので売上管理や基本的な数字の見方は分かっていたのですが、もっと経営の根本的な部分を勉強していれば良かったなと思いました。実際に管理してみて思っていた数字と違うこともあったので、できればより細かく数字を追うスキルを身に着けることをお勧めします。

まずは1店舗開局してみたら、おのずと道は開けるのではないかと思います。独立したいと思いながらも二の足を踏んでいる人と、どんな店舗であれ自分の薬局を持っている人とでは雲泥の差があると思います。
挑戦しさえすればいろんな話が舞い込んできますし、信頼感も得られるのではないかと思います。私も今回開局するにあたってユニヴに譲渡や交渉の相談も沢山しましたし、周囲とのお付き合いが大事であることを改めて痛感しました。行動してみて初めて見えてくることもありますので、是非とも挑戦してほしいと思います。

*ゆずりは薬局ホームページはこちら
 

 

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