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黒川眞妃子先生の薬膳レシピ

かんたん薬膳 うまうまレシピ「柿の白和え」

黒川 眞妃子氏

黒川 眞妃子氏

資格:
国際中医師、国際中医薬膳管理師、国際薬膳調理師、中医薬膳指導士、食育インストラクターSecond Grade

執筆:
大阪人「祭りのときの食養生」、フェリエ「キッチンからのラブレター」連載、ママ育コラム連載、「お出かけ帖」料理ページ担当など多数。

メディア情報:
TV:朝日放送 おはよう朝日です/ 大阪テレビ なにしょ
ラジオ:原田伸郎 のびのび金曜日

おばんざい料理店経営のち、国際中医薬膳管理師、国際薬膳調理師を経て国際中医師に。現在医療学院薬膳講師の傍ら「関西薬膳びと」「国際ウェルネス薬膳協会」を立ち上げ市民大学講座、鍼灸学院薬膳セミナー、企業様薬膳研修セミナーや薬膳調理実習会、産科病院での産前、産後食セミナー、幼稚園での薬膳給食献立。その他飲食店 薬膳メニュー開発、薬膳コラム執筆など。 食べることは生きること・・・食卓に昇る「おばんざい薬膳」普及に奮闘中。

【材料】4人分

 

・柿 1個
・木綿豆腐 1/ 2丁
・春菊 50g  

・しめじ 1/ 2パック
・白胡麻 大さじ2

・A: 砂糖 小さじ1  
薄口醤油 小さじ1
塩 少々

 

作り方

キッチンペーパーを2枚引いて、豆腐を崩す。

 

①の上にさらに2枚のキッチンペーパーをかぶせ、くるくる巻いて豆腐の水分を拭き取る。

 

柿は、皮をむき食べやすい大きさに切る。春菊は、サッと茹でて2cmの長さに切り、軽く水気を絞る。しめじは、房をはずしサッと茹でて細くさく。

 

すり鉢に胡麻、豆腐、Aを加えて滑らかになるまですり、③ を加えて混ぜる。

 

効能

肺を潤す柿と口の渇きによい豆腐を組みあわせ、秋の乾燥対策に嬉しい一品です。

 

 

「柿のススメ」

しっとりとした橙紅色、どっしりとした存在感、農家の庭先に実る柿に懐かしさを感じるのは、日本の風土に根づいた秋を代表する果物だからでしょうか。


柿の旬は9月~ 12月の秋から冬にかけてです。

「西村早生」・「刀根早生」などを筆頭に「太秋柿」・「平核無柿」・「富有柿」・「次郎柿」などにバトンタッチしながらさまざまな品種が出回ります。


柿の原産地は中国で、日本へ伝来したのは奈良時代以前と考えられています。
平安時代中期に律令の施行細則をまとめた法典『延喜式』によると祭礼用の供え物、天皇の菓子として熟柿や干し柿が記されており宮廷内果樹園でも栽培されていました。


日本現存最古の『本草和名』にも「加岐」という名前で登場し、古くから親しまれていた果物であったようです。

 

柿の果実にはビタミンC・β‐カロテン・タンニン・カリウム・食物繊維など様々な栄養素が含まれ、その中でもビタミンCの保有量はミカンの約2倍、柿1個で1日の推奨摂取量が摂れると言われています。「柿が赤くなると医者が青くなる」という諺があるほど風邪予防・美肌効果・浮腫み予防・生活習慣病の予防効果も期待できる果物です。


薬膳では柿は生食すると体内の熱を冷まし、津液を作り出す作用があり、口の渇き・乾燥の咳・便秘・二日酔い予防に良いとされます。また柿のヘタ「柿蒂」はしゃっくりやゲップの改善に使われ、干し柿の表面の白い粉「柿霜」や、これを加熱して飴状にしたもの「柿霜餅」は咽頭痛・乾燥咳・口内炎などの改善に用いられています。

 

柿は色々な料理法で楽しめる果物です。柿なます、柿の白和え、柿の生ハム巻き、柿とチーズのトーストも美味しいです。渋柿に衣をつけて中温の油でゆっくりと揚げた天ぷらは、渋みが抜けまったりとした独特な味わいを楽しめます。

 

柿は体を冷やす「寒性」の性質を持っています。冷え症の人や消化力の弱い人は食べすぎに注意が必要です。自身の体質と相談しながら秋の恵みを楽しみましょう。