コラム |
女性薬剤師のつくる ”桑の葉茶「TEA&EAT(ティート)」” 開発秘話
西井 香織さん(NEWRON株式会社 代表取締役CEO)
1992年生まれ。2年間の休学を経て2019年近畿大学薬学部を卒業。
産官学と商品開発や販促支援を行うNEWRON株式会社の代表を務め、
美味しくヘルシーな食品の開発「ヘルシーラボ」、近畿大学非常勤講師、
薬剤師のジョブケーション「旅する薬剤師」などさまざまな事業をスピーディーに展開している。
今回は、そこから開発に至った"桑の葉茶"について話を伺った。
甘いものは大好き。けどダイエットもしたい……。
等身大の女性起業家が着目した”桑の葉茶”とは?
過去に菊芋を使ったお菓子を開発・販売したことがあり、そこで経験したさまざま苦労から、今回はお茶の開発に至ったという。
「私自身糖質制限ダイエットをしているのですが、もともと甘いお菓子は大好きです。
以前はフロランタンを作っていたのですが、砂糖よりもGI値の低いメープルシロップを使用したところ、値段が10倍近く跳ね上がってしまいました。その結果、1個1,000円という高級フロランタンになってしまったため、ギフト市場を狙って百貨店で販売したものの、そうすると顧客に日常的には食べてもらえないし、食品ロスを減らすために受注販売を行っていましたが一回に作れるロット数が少なく、余計に単価も上がってしまって……苦労しました。
世の中には美味しそうなお菓子が溢れていて、街を歩けばどこにでも甘い誘惑があります。そんな中、ヘルシーなお菓子を地道に一つずつ作っていても食べたいものを我慢しなくてはいけないことには変わりない。じゃあ、食べたものをなかったことにしてくれる、α-グルコシダーゼ阻害薬のようなお茶を作れないだろうか? という考えに至りました。
健康面はもちろんのこと、賞味期限も長く保存しやすいですし、送料などの経費を考えてもお茶はビジネス的におもしろいと感じました。」
サプリメントなどではなく、お茶にした理由は一体何だろうか?
「お茶にした大きな理由の一つは、” 楽しめる”と思ったことです。例えば、健康サプリメントは好んで食べるものではないですよね? 食べる(飲む)ことが義務感になってしまったり、苦くて食べられない(飲めない)のは違うなと思いました。その点お茶はお菓子を食べるときにペアリングする楽しみがある、飲むだけではなくてお菓子作りや料理にも使える……など、いろいろとイメージが膨らみました。
私と同じような20代~ 40代くらいのダイエットを頑張る女性に向けた商品を作りたいと思いました。」
機会を探っている中でついに出会った桑茶。きっかけは「旅する薬剤師」(以下旅薬)のビジネスコンテストで訪れた山梨県だったそう。
「食事処に置いてあった桑茶や桑茶アイス、さらには居酒屋で飲んだ桑ハイボールもすごく美味くて驚きました。薬学生時代は生薬の研究室に所属していて、桑そのものに糖の吸収抑制があることも知っていたので「これだ!」と思いましたね。すぐに店長に仕入れ先を尋ねて、ある桑農家さんに出会いました。」
気に掛けることがいろいろ。一筋縄ではいかない商品づくり。
「桑農家の方と一緒に具体的な成分やブレンドの配合を考え、桑100%のサンプルと、玄米とイヌリンをブレンドした2種類のサンプルを作っていただきました。周りの人たちに試してもらいましたが、ここは頭を悩ませたポイントでもあります。
実は今回この桑茶を販売するのには、桑を知らない若者に、桑が体に良いものだということを知ってもらうという裏の目的があります。桑そのものの味を知って好きになってもらうほうがいいんじゃないか……とかなり悩みましたが、とにかくまずは飲んでもらうために、飲み慣れた感覚に近づけるために玄米をブレンドすることにしました。玄米は、女性からも飲みやすいという意見が圧倒的に多かったです。
そして、そもそも女性ダイエッター向けのお茶でもあるので、より糖の吸収と血糖値の上昇を抑えるための水溶性食物繊維イヌリンもブレンドすることにしました。イヌリンにはマスキング効果があるので、お茶の味が隠れてしまわないように微調整を繰り返しました。」
もちろん、成分や味だけを気にすればいいわけではない。どこで目に触れ、興味を持ってもらい、手に取ってもらえるか。そして継続して飲んでもらえるのか。長く愛飲してもらえるための導線を考えることも大切だ。
「個包装よりも粉末の大袋タイプのほうが単価も抑えられたのですが、気軽に持ち運んでもらえるようにしたいのと、この桑茶パウダーをお菓子や料理にも活用してほしいので、一包あたりのグラムが決まっているほうが使いやすいと思い個包装タイプを採用することにしました。
販売はネットより卸売りに力を入れるつもりで、中でもパーソナルジムや薬局に置いてもらえるよう掛け合っているところで、すでに数件決まっています。薬局は、地域によっては高齢者の患者さんが多いなどターゲットとはちょっと逸れているところもありますが、若いママさんがよく来るところを意識して探しています。
景品表示法の関係で表現に制限がかかるからこそ口コミが効果的だと思い、店頭でトレーナーや薬剤師が商品説明をしてくれると、信頼度も上がりますよね。そういう意味でも意外とネットより対面販売のほうがいいんじゃないかなと思います。そのため、サイトよりも店頭POPの作成に注力しています。
ネーミングとパッケージデザインにもかなり頭を使いました。
本当はダイエット向けのお茶だということが一目でわかる商品名にできれば良かったのですが、薬機法に引っかかる表現はできないので、効能が謳えないなら飲むシーンを伝えようと思いました。
そして周囲の人やオンラインでもたくさん意見を頂きながら、「TEA&EAT」と名付けることにしました。
キャッチフレーズは"Before EAT, Be SMART."(食前に飲んで、スマートになる)です。並びのとおりお茶(TEA)を飲んでから食べる(EAT)という飲用方法が由来になっています。」
真ん中のハートは、桑の葉がハート型をしていることから着想。 六角形は、桑に含まれるDNJの構造式をモチーフにし、茶室のような幾何学模様 を採用している(障子・畳・丸窓)。価格は公式オンラインストアをご確認ください。
自分起点でサービスや商品を考えることが楽しい。
さまざまなサービスや事業を作られる西井さん。サービスではなくお菓子やお茶という形があるものを作ることは、苦戦と気づきの連続だった。それでも「楽しい」と笑顔がこぼれる。
「前回はレシピ開発から全部自分でやってみて、商品開発の大変さやOEMという任せられる場所がある有り難みを実感することができたので、いい経験になりました。製造はプロにお任せして、自分たちは販路や販促、見せ方を考えることに注力したほうがいいなと感じたので、今はその分担が上手にできていると感じています。
また、「旅薬」のように、サービスをわかりやすく一言で表現することは得意な方ですが、モノは全然違うなあと感じました。商品名を見ずにパッケージの可愛さだけで買う人もいるじゃないですか。ビールや食パンなどでも、一見全然意味のわからない商品名のものがありますよね。それにもきちんと意味や意図があるので、考案している人はすごいなと、世の中の商品を見る目が変わりました。
どうしても商品に関連する、連想できるワードしか思い浮かばなかったので大変でした。でも、メインでやっているアイデアソン事業の中で、いろんな人とディスカッションして考えることで良いアイデアがひらめくということを常日頃から感じていたので、出会う人みんなにこの桑茶のコンセプトを話して相談しまくっていました。それでもなかなかいいネーミングが思い浮かばず、頭を悩ませる日々が数か月経ったある日の会話の中で、遂にこの「TEA&EAT」という名前がふっとひらめきました。
例えば「旅薬」は薬剤師向けのサービスなので、万人には使ってもらえないですよね。今回のようにお茶という形のあるものだと、「飲んでみますか?」と誰とでもコミュニケーションを図れるツールにもなるので、それが嬉しいですね。今回は自分がダイエットしていることがきっかけでお茶を開発しました。自分が欲しいと思うサービスや商品を考えることは楽しいですし、起業家だからできる醍醐味でもあると感じます。」
「TEA&EAT」を販売するヘルシーラボ公式オンラインストアはこちら
https://healthy-lab.square.site/
*商品モニターを募集します*
「TEA&EAT」を試してみたい方10名へ、現品(30包入り・15日分)をお送りします。
ご希望の方はファーネットマガジン編集部(magazine@univ.co.jp)まで以下の内容をお送りください。
件名:「TEA&EAT モニター応募」
本文に「氏名・フリガナ・年齢・TEA&EATを試したいと思った理由」をお書きください。
応募期限:2022年4月28日(木)12:00まで
※応募多数の場合は抽選とさせていただきます。
※当選者の方へは商品お試しの前と後に簡単なアンケートにご協力いただきます。
※当選者の発表は当社からの連絡をもって代えさせていただきます。