薬が効いてくるとき
4半減期経過すると薬は体内から消失しますが、これは薬を服用するときにも同じ考え方をします。
要は、4半減期かけて薬が体内から消失していったのと同じように、「薬は4半減期かけて定常状態に達する」ということです。
定常状態を有する薬の場合、薬による明確な効果を得るためには「定常状態にまで達する必要がある」と考えられています。
薬を1回投与するだけでは薬物濃度は有効域に届きにくく、薬の効果を十分に得られないからです。
そのためには薬を連続投与しなければなりません。要は、定常状態のある薬は「少しずつ効いてくる医薬品」であることが分かります。
アムロジンは定常状態がある
アムロジン(一般名:アムロジピン)の半減期は約36時間です。1日1回投与の薬なので、投与間隔は24時間です。
ということは、「半減期(36時間)×4 >薬の投与間隔(24時間)」になるので、この薬は定常状態のある薬であることが分かります。
体内に薬が残っているときに薬を追加服用するため、服用のたびに薬物濃度は上昇します。
したがって、薬の効果が最も表れるためにはある程度の時間が必要になります。繰り返しますが、定常状態に到達するためには「半減期×4」の時間の経過が必要です。
つまり、この薬は理論的には「36時間×4=144時間(6日)」かけて定常状態に達する薬です。
この薬を開発したメーカーの資料にも、「投与6〜8日後に定常状態に達した」と書かれています。
これくらいの時間をかけて薬の効果が徐々に増大し、やがて最高値に達するようになります。
ここから分かるのは、アムロジンは「徐々に効く薬」だということです。
このような、「徐々に効く薬」であるアムロジンの投与を中止すると、体内から薬が消失するにはどれくらいの時間が必要になるのでしょうか。それは、薬の効果と同じ時間です。
すなわち、「36時間×4=144時間(6日)」となります。
そのため、もしアムロジンによって副作用が出たとしても、使用を中止した後に薬が完全に体内からなくなるには、薬の効果が表れる時間と同様、144時間(6日)もの時間が必要になるということです。
アムロジン(一般名:アムロジピン)の薬物動態