まずは(株)メインステージでのお仕事をお教え下さい。
親会社の(株)日本和装は和服の販売を展開する会社なのですが、日本の伝統的な着物生産者さまたちと協力し、文化継承を目指して広くニッポンの着物に親しんでもらおうという願いから「無料着付け教室」を展開しており、着物が着られる事を楽しんでいただくと共に、やはり多くの女性ができるだけたくさんの方々に注目される機会をのぞんでいらっしゃることに着目し、海外への発信も視野に入れた「着物モデル事業」を展開しております。このモデル事業を受け持つのが(株)メインステージの役割です。これまでもテレビCMや映画、国際イベントなどに着物モデルを提供し、より多くの方々に「ニッポンの着物」を発信してゆきます。
市会議員になろうと思われた経緯をお聞かせ願えますか?
私が社会に出たのは男女雇用均等法が施行された時代なんですね。女性の社会進出、という言葉が一般的になりましたが、ちょうどその頃に長女を出産し、働きながら子育てをすることになるんです。そこで子供を保育園に受け入れてもらうことにとても苦労したんです。2人目、3人目と、やはり本当の意味での「女性の社会進出」には壁があるんだなと痛感したんです。そこで普通の人なら自分が苦労してそれが済んでしまえば終わりなんですが、私の周りでは同様の主婦の方が多く、その経験をお話しする機会があったんです。これは社会でも必要な事なんじゃないか?そう考えたんです。気がつけば市会議員に立候補し、周りの力添えもあって3期を務めさせていただく事になりましたが、常に私の施策は本当の意味で女性が社会で活躍できることを願ったものが多かったですね。
選挙の時だけ「子育て」を謳うのではなく、神戸市には無かった「中学校の給食」を実現するための施策など、具体的に「働く女性のため」ということに取り組んできました。
ファーネットマガジンは薬剤師さん向けの雑誌ですよね?
はい、女性が7割という「女性が多く働く業界」です。
実は議員時代には薬剤師会の先生方ともおつきあいがあったんです。多くの女性が働く現場ではありましたが、執行部や経営者の皆様は男性が多いのですが、市への要望や連絡会などでは男性が多くいらっしゃいますが、現場は日々の仕事をこなす女性の力で支えられています。男性と女性の適性など、やはり気を配っておられる様子が感じられました。仕組みを構築したり、新しいことを創りあげたり、という分野では男性の能力を活かすとうまくいく場だと思いますが、内容を深めたり効率を良くしたり、という面では女性の力は大きいと思うんです。薬剤師会の先生方はそのあたりの適性を良く研究されており、良い現場作りに取り組んでおられるのだなと感じました。やはり女性が居ないと立ちゆかない世界であると認めておられ、ご理解されていたのだと思いますよ。そう言う意味では先進的な取り組みをされている業界かと思いますね。
「働く女性」についてもう少しお考えを聞かせていただけますか?
神戸市のように都市部で働く女性にとって、「働く」ということは2つ意味があると思うんです。「稼がなければ生活が立ちゆかない」場合もありますし「今の生活に少し余裕が欲しい」と考える場合もあるでしょう。都市部では後者のスタンスで働いていらっしゃる方も多いと見受けられました。私は働く若いお母さんたちに対する支援を手厚く考えたいのです。ひとくちに社会進出といってもいい加減な気持ちで無責任に社会に出ることは社会にとってマイナスになりかねません。浮ついた気持ちで働くのではなく、しっかり責任を持って働く方々がプライドを持って家庭や子育てに取り組んでいっておられますね。
薬剤師の世界では仲間同士の連携や運営側の方々がその点をよく理解されていると見受けました。先輩などからの参考意見や業界の仕組みなど、縦の関係が重要だと思いますね。これは男性・女性に関係なく社会にとって普通に大事なことだと思うんです。そもそも「女性の社会進出」なんて言ってること自体、それができていない、ってことなんですよね(笑)。
昨年、修了した明治大学の修士論文でも「女性の社会進出」に関して書いたのですが、その論文への取材のなか商工会議所の会頭さんがおっしゃったことで「女性は言い訳する、泣く、戻るところがある」ということが話題になりました。社会に対する責任、影響などを考えた「社会進出」なのかどうかをシビアに考えられる人のために語られるべきだと思いますね。政治の世界の人はそこに着目して欲しいです。
今の社会は「何でも良いから働けばいい」に流れている、ということでしょうか?
社会が成熟すると「サービス業」が増えますよね。そうなると多岐にわたるサービスによってより働く現場が多様化します。働く時間帯も子育てとは両立しにくい環境も増えてゆきますよね。そんななかでひとくちに「女性の社会進出」と言っても難しい面が増えてきているんです。立場によっては家庭で主婦が必要とされる時間帯に家にいられない、そんな機会が増えていると思うんですよね。そこには工夫が必要ですし、社会や現場だけでなく、国を挙げた取り組みの中から良い循環が生まれてくるんじゃないかと思うんです。薬剤師さんのお話はそう言う意味でも社会にとってひとつの大きなヒントにもなりますよね。資格を取ってキャリアを積む、というスタイルはこれからの「働く女性」のモデルとして参考になると思います。
あと、女性へのアドバイスなどをいただけますか?
私は「言葉」って大事だと思うんです。自分の発した言葉によって自分がマインドコントロールされる、という面がありますから、ネガティブな言葉を発すると本当にそうなってしまう。それは数値データ的にも実証されていますね。だから、たとえば「キレイになりたい」という言葉を口にすると不思議なことに女性はどんどんキレイになっていくんです。それは何も勝手にそうなるのではなくて、その「キレイになりたい」という言葉に導かれて、知らず知らずに行動が「キレイになるため」のものを積み重ねていくんです。それは言葉に限ったことではなく、「イメージ」することなんですよね。そして客観的に現実を知ることで目指す物に近づくための具体的な努力ができると思うんです。水面上では優雅に見える白鳥も水面下では努力してもがいている、昔から良く言われている「普通の努力」に繋がっているんですよね。
政治的な話をすると世界的に見て女性が社会に出る、これは平和の象徴なんですよね。これは男性が作る社会においては男性に大いに期待することなんですよね(笑)。
それが今のお仕事に繋がっているわけですよね?
幸いなことに、私どもの会社ではその女性が楽しく明るく過ごせる場をご提供できていると自負しています。そう言う意味では私の今までのキャリアやライフワークの集大成であるとも思えるんです。着飾って美しく輝くのではなく、内面から輝くことで「品」っていうものを身につけていってもらえる、誰からも「キレイ」という憧れを持ってもらえるような存在になっていってもらいたいな、そう思います。それは清潔感であったり、品格であったり、オーラを持ったり・・・毎日の生活にも「選択」の積み重ねですから、家庭用品ひとつ選ぶときにも「何でも良い」ということを言わず、意志やこだわりをもって日々生活をする、その心がけが絶対必要だと思うんです。
ある意味では「美しくあること」って、女性の責任だと思うんですよ。
何か秘訣などありましたら・・・?
やはり「経験」だと思うんです。なるべく多くの経験を積むことで「オーラ」は身につきます。スポットライトを浴びて注目される、そういう経験を積んだ人はまったく違うんです。私もモデルとしてランウェイを歩く経験はまだなのでスタッフからは是非経験して、と言われていますよ(笑)。誰かをお手本にするのではなく、自分の内面から輝いてゆきたいですよね。誰にでも「性格」っていう才能があるわけですから、そこを輝かせるための努力や環境は必要ですよね。それはどんどん用意していこうと思っています。
実を言うと、今でも写真を撮られることには慣れていなくて、そんな会社の代表である私がそんなことではダメなんですけどね(笑)
本日はお忙しい中、有り難うございました。とても印象的なお話しで勉強になりました。
こちらこそ有り難うございました。
(聞き手 : 本紙 高山)