本日はお忙しい中、インタビューに応じていただき有難うございます。早速ですが本日のテーマである「薬剤師さんへのアドバイス」を伺います前に、ご活動のアウトラインをお話下さい。
私は心理カウンセラーとして、お話をお伺いしたり、コミュニケーション能力UP関連の講座を開催させていただいたりしております。その中で、現役の薬剤師さんとご一緒する機会が多く、特にスキルアップを目的に参加されている心理カウンセラー養成講座では、 傾聴のトレーニング中や雑談の中で、リアルなお悩みをお伺いする事があります。そんな時は、具体的にお話を聴き、明確化する事で問題解決の糸口など「気づき」を得ていただくようにしています。
やはり薬剤師さんの悩み、といえば「人間関係」ということになるのでしょうか?
多くは「職場環境」に対する悩みですね。でも実は、じっくりお話を聴くと最終的には「人間関係が上手くいってない」に繋がる事が多くあります。例えば、環境改善についての意見も、良い関係が構築出来ていれば伝えやすいし、改善の可能性が広がりますよね。もちろん、「効果的な伝え方」もぜひ修得していただきたいですね。
職場環境の悩みとは、どんなものがありますか?
例えば、薬剤師さんは、「就職後も勉強したい」と思われている方が多くいらっしゃいますが、残念ながら「日々の仕事が忙しくそんな余裕はない!」というのが現状です。そこで、「こんなはずではなかった。。。」という思いが生まれ、様々な悪循環を招き、更にストレスは大きくなっていきます。「仕事量が多い」⇒「大変」と感じられる方がこのような悪循環に陥ってしまわれます。そんな時は、根源的な所に立ち返り「なぜ薬剤師になろうと思ったか?」「どんな薬剤師になりたいか?」を突き詰めると「人の役に立ちたい」という想いが蘇ったりして、「仕事量が多い」⇒「頑張ろう」に変わったりします。また、日々の仕事や「勉強」に対する意識の変化から、悪循環を断ち切ることも出来る事がありますね。
「対人関係」もストレスの大きな要因でしょうか?
例えば、複数の方が従事する職場では相性の悪い人がいる事もしばしばあり、「Aさんさえいなければ。。。」と考えてしもうことさえあります。Aさんのいない職場に転職しても、新たなAさん登場で結局「以前と変わらない!」というケースもよくあります。もちろん、Aさんに何かしらの問題がある場合もありますが、実は自分がAさんを作り出している場合もあるのです。そこで、自分自身を振り返り、見つめ直すと、コミュニケーションの癖に対する「気づき」があります。良い癖もあれば、改善した方が良い癖もあります。完璧な人はいませんから当然です。ただ、次の段階に進むためには改善すべき点に気付けた事はとても重要ですが、同時にご本人にとっては落ち込むほど傷つくこともあります。これらを肯定的に自己受容するには柔軟性が必要ですね。
「柔軟性」は大切なんですね。
私が考える「柔軟性」というのは「コミュニケーション能力が高い」と言えるのかもしれません。例えば喧嘩をすることが悪いとは考えていません。むしろ上手な喧嘩は最上級のコミュニケーションだと考えます。喧嘩の本来の目的は自分の意見や想いを伝え、相手の意見や想いを知る事ですが、お互い感情的になってしまい、相手への配慮が無くなり、言い過ぎてしまうことで傷つけ合い不快感しか残らないという結果を招いてしまいます。とても難しいのですが、一度深呼吸をして、「自分は何を伝えたいのか」「なぜこの感情が湧き上がっているのか」を整理し(これも意識して「気づく」ことですね)、落ち着いて伝え、相手の立場に立って聴くという柔軟さがあれば、上手な喧嘩になるのですが。。。例えば、子育てにおいて紹介される事がある「怒る」のは感情優先、「叱る」は「しつけ」要素が強く、何が理由で、どういう想いで「叱る」のかを理解してもらえれば、子供にも伝わるという事に近いかもしれませんね。理性的なコミュニケーションを心掛ける事で双方が感情的にならず本意がつたわりやすい「Iメッセージ」の交換ができるようになるのです。正に「愛メッセージ」の交換ですね。
「自分が変わる」ということについてもう少しお話いただけますか?
私が一番難しいと考えるのは「私は私」と頑なに殻に閉じこもっている人を変えることですね。例えば職場でその人の存在が大きな負の影響を及ぼしている場合、周囲の人はその人を変えようと一生懸命アプローチします。が、残念ながら失敗に終わることになります。誰しも他人からの言葉で自分を変えようとはしませんよね。特にそんな時は否定的な言葉で伝えられていますから。。。そう、自発的に変わってもらうしかないのです。結論から言うと「相手に変わってもらいたければ、自分自身が変わる」つまり「自分が変われば結果的に相手が変わる」という事なのです。
本日は有難うございました。次回は「行動」を通じて「気づきを行動に移す」をテーマにインタビューを連載していきたいと思います。
(聞き手 : 本誌 阪井)
・日本マリッジカウンセラー資格認定協会 理事長・講師
・BSPA(Best Smile Partners Association)代表
・心理カウンセラー
・シニア(上級)マリッジカウンセラー
心理カウンセラー養成スクールにて資格を修得後、2002年から心理カウンセラーとして活動を開始。また、後輩の育成を目的とした「心理カウンセラー養成講座」の開催や『心のトラブルは予防出来る』との思いから、コミュニケーションスキルやカウンセリングマインドを伝えるためのセミナー、ビジネスマナーやモチベーションUPセミナーなど、講師としても活動。2014年からは、日本マリッジカウンセラー資格認定協会 理事長としてマリッジカウンセラーの育成に携わる一方、結婚後の様々な問題でお悩みの方へのカウンセリングも提供している。同時に、早期離婚がもたらす様々な社会的な影響を危惧し、婚前カウンセリングや婚前教育にも力を注いでいる。