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バルト三国「ラトビアの誘惑」 第1回 バルト三国「ラトビアの誘惑」

HANDMADE SOAP STENDERS

バルト海の真珠とも称される、ラトビアの首都・リガ。中世のたたずまいを今なお残す美しいこの街で、手作りの石けんと保湿入浴剤の専門店、ステンダースは生まれた。アジア1号店、日本総代理店のステンダース・ジャパンオーナーの谷本瑞絵さんに取材し、まだあまり知られていないラトビアのライフスタイルと共に、2001年の創業以来、ヨーロッパを中心に世界20カ国、180店舗を展開し、世界で愛されるステンダースの魅力をうかがった。

  • ヨーロッパ調のシックなお店に足を踏み入れると、色とりどりの石けんやドライフラワーがあふれ、見ているだけで心が浮き立ちます。

    ありがとうございます。当店は、ラトビアの手作り石けんをはじめ、保湿入浴剤やスクラブといったバスアイテムを取り揃えています。ラトビアから白樺の作り付け家具や什器、小物類を輸入し、ステンダース本社のデザイナーと家具職人を呼び寄せ、現地の雰囲気を忠実に再現しました。ヨーロッパ北部に位置するラトビアは、厳寒期にはマイナス30にもなる寒冷地。初めて訪れた際に、果物をスライスして室内に置いているだけでドライフルーツになるのを目の当たりにして、これほど乾燥しているのかと驚いたことも。それと同時に、だからこそ保湿効果のあるアイテムが生まれたんだなと納得もしました。例えばバスボールという炭酸保湿入浴剤。ラトビアでは1個が1回の分量なんですが、日本では十分すぎるほど発汗を促すので、2、3回に分けて使えると案内しているくらいです。さらに保湿オイルがたっぷり入っていて、お肌の水分を閉じ込めてくれるので、お風呂上がりにボディクリームがいらないほどしっとりします。

  • 厳しい気候から生まれた知恵が詰まっているんですね。この時期、クーラーが原因の乾燥や冷えからも守ってくれそうです。ミツバチの巣やヘチマが丸ごと入っている石けん、砕いたコーヒー豆がトッピングされた石けんなどインパクトも十分。石けんだけで40種類近くあると、選ぶのに迷われる方も多いのでは。

    石けんには一つ一つテーマがあります。シミの改善や美白といった効能で選ぶのか、香りで選ぶのか、プレゼントとして意外性を演出したいのか……スタッフにご相談くだされば、ご要望に合わせて提案いたします。「リフレッシュしたい」「気合いを入れたい」「リラックスしたい」などその時の気分によって使い分けるのもオススメ。必要な分だけカットしますので、少しずついろいろな種類を揃えるのも楽しいですよ。この夏は、“バイオレット・サマー”をテーマに、ラトビアが最も生命力にあふれる季節をイメージしたちょっぴりお得なギフトセットの販売も行っています。初夏の朝を思わせる香りのライラック、夏の訪れを知らせるコーンフラワー、万能のハーブ・ラベンダーなど、ラトビア人にとって大切な花々をモチーフにしたアイテムを詰め合わせました。香り文化が発達しているヨーロッパの中でも自然が豊かなラトビアに住む人々は、人工的な香りより自然本来の香りを好み、感度も優れている。そのため花や果物本来の香りを驚くほどそっくりに再現します。ロン石けんはあまりのリアルさに皆さん「かじりつきたくなる!」とおっしゃいますし、ローズクリーム石けんは、ローズガーデンで働く人が「葉の青々しさも含め、咲いている時のローズと同じ香りがする」とおっしゃるほど。

  • 玄関や部屋に置いてルームフレグランスとして使う方や、タンスに入れて移り香を楽しむ人がいらっしゃるのも納得です。そういえば、ほとんどのアイテムが自然、中でも植物をテーマにしていますね。

    都心部は別として、手つかずの豊かな自然が残り、彼らは自然を愛し、自然と共に生きています。日常生活の中に自然の力を取り入れることにも長けていて、風邪気味だと思ったら、森や庭で殺菌・抗菌力に優れたペパーミントを摘んで来たり、発熱時には発汗作用のあるリンデンブロッサム(菩提樹の花)のハーブティーをたっぷり飲んで汗と共に毒素を出したり。ステンダースの石けんマイスターの秘伝のレシピも、自然の素材がふんだんに使われています。ラトビアの人々が日常取り入れているカモミール、リンデン、コーンフラワーなどのハーブや精油が入った石けんは男女を問わず人気。これからの季節ですと、ペパーミントとユーカリの葉を練りこんだ「ペパーミント・ユーカリ」もいいですね。この2つのハーブには、殺菌や消臭、制汗作用など、夏に嬉しい効能が。また、スッキリした香りで、気分転換したい時や汗をかいた後に使いたくなるさっぱりした使用感の石けんです。

  • フィンランドサウナやロシアのスチームサウナなど、ヨーロッパ北部ではサウナ文化が盛んだとか。

    ラトビアでも重要な文化の1つで、週末になると家族や友人と連れだって森の中にあるサウナ付きのゲストハウスに集まります。サウナの中には、白樺や樫、リンデンなどの若枝の束があり、水に浸して体を叩くんです。悪い物を払い清めるという精神的な意味と、葉からしみでるオイルの効果やマッサージで血行を促進するという実際的な意味を持ちます。枝の組みあわせはいろいろ種類があり、皆さん好みや体調に合わせて選ぶようです。体があたたまった後は、なんと全身にハチミツを塗ります。これは、美容法と言うよりも老若男女がよく行う健康法という感じ。乾燥から身を守るため、発汗で開いた毛穴からハチミツを浸透させて保湿し、保護するんです。熱さに耐えきれなくなったら、湖や川にそのままドボン! ラトビア人はサウナハウスを所有するのが夢で、ボートと一体になった移動式サウナもあるんですよ。

  • ステンダースにもサウナハニーという商品がありますね。

    はい。日本の文化に合わせて、ご自宅のお風呂で楽しむ方法をお伝えしています。湯船で十分あたたまった体にサウナハニーをのばし、5分程マッサージ。99%が上質なハチミツで、あとは精油などが入っているだけのシンプルな成分なので、フェイスパックや、ヘアパックなど頭のてっぺんから足の先まで全身に使えます。洗い流さず、湯船でサウナハニーを落とせば、ハニーバスが楽しめて一挙両得ですよ。また、ラトビアは酪農が盛ん。食生活の中でも乳製品は重要な位置を占め、共同オーナーのガティスは「海外旅行をする際に、乳製品が手に入るかどうかが気になる」というほど。ヨーグルトやチーズだけでスーパーの一角を大きく占め、いずれも日本とは比べものにならない多くの種類が売られていました。中でもサワークリームが一番大事で、日本のお醤油のような感覚でいろいろな料理に使われています。それほどラトビア人の愛する乳製品。ステンダースの商品にもしっかり使われています。一部の石けんに入ってるのはもちろん、「ボディヨーグルト」というそのままのネーミングのヨーグルト配合の美白保湿剤や、天然のミルク成分でできたバスミルクという保湿入浴剤もございます。サウナハニーとバスミルクをまぜると、私たちが「もちもちパック」と呼ぶ、最強の保湿パックができるんですよ。

  • サウナハニー成分のほとんどがハチミツという贅沢なボディケアアイテム。(各5,724円)

  • バスボール炭酸、海塩、グレープシードオイル配合の炭酸保湿入浴剤。(各842円)

  • ラトビアの気分を感じながらバスタイムが楽しめそうです。

    冬の厳しさから一転、春から秋のラトビアは恵みに満ちた季節です。春は白樺の森で樹液のジュースを飲み、夏には森を散歩しながらベリーやハーブを摘む。秋はご飯の前にお使いに行く感覚で、森へキノコ摘みに行くことも。小さい頃からお母さんと森を歩いているから、どのキノコがおいしくて、どのキノコに毒があるか、自然に覚えるんですね。毎年訪れるのですが、私にとって、ラトビアの暮らしはまさに驚きと発見の連続。お店では、この自然豊かなラトビアを感じていただける“非日常”を提供したいと考えています。まだあまり知られていないライフスタイルや日本とは違う価値観を紹介し、お客様に新しい発見をしていただきたい。そのため、商品知識だけではなく、ラトビアの歴史や文化なども含めて紹介できるスタッフの育成に力を入れています。

  • 異国文化を体感できるコアなお店がオフィス街にあるのは意外でした。

    ラトビアという私たち日本人にとっての“非日常”をどんな方に提供したいかと考えた時に一番に浮かんだのが、働く人々でした。本当に疲れていると、わざわざ繁華街まで出向いて買い物をする気になりません。職場の近くに、日常から切り離された時間を過ごせる場所があれば理想的だなと、オフィス街に出店を決めました。仕事に追われて余裕のないときでも、よい香りの石けんで手を洗うだけで気分転換になることもあります。お店を通じて、いつもがんばっている方が元気になれる一端を担えればこんなに嬉しいことはありません。当店では皆様に、ラトビアをより一層感じていただきたいと、毎年その文化を体験できるイベントを行っております。石窯で焼いたラトビアのライ麦パンに森で取れたハチミツを付けて召し上がっていただいたり、20種以上のハーブや植物を調合した薬用酒「バルザム」を試飲していただいたり、ラトビア語が書かれたフォーチューンカードで引き札をしたりと毎年趣向を凝らし、ご好評をいただいております。また、今後はステンダース以外のブランドも導入し、更に充実していく予定です。どうぞご期待ください。

  • 手作り石けん
    かかと美人を目指すならヘチマがまるごと入った石けんはいかがですか?見た目のユニークさだけではなく、ソープを濡らして気になる部分をやさしくこするだけで角質ケアができるという実力派。「チェリーバニラ」「グリーンアップル」「レモン」「グレープフルーツ・マルメロ」の4種類。(1,836円/100g)

  • シュガースクラブ・アプリコット
    夏の隠れた人気商品が、お砂糖と保湿オイルで出来たこのシュガースクラブ。体を洗った後、かかとや肘、膝などザラつきが気になる箇所を優しくなでて、洗い流すだけの簡単ケア。夏の紫外線で痛んだ髪にも潤いを与えます。スクラブ、スカルプケア、マッサージオイル、ボディクリームと1粒で何度もおいしい。「ストロベリー」「カモミール」「アプリコット」「チョコレート」の4種類。(4,104円)

interviewe&writer/久保佳子

プロフィール
谷本 瑞絵さん

ステンダース・ジャパン 代表
谷本 瑞絵 さん

  • ○輸入商社、インテリア、化粧品、海外赴任者専門の引越会社など10社にて貿易業務に携わる。
  • ○2005年、ヘッドハンティングを受けヨーロッパ最大のNATO空軍ドイツ基地にて、米国車とハーレーダビッドソンの営業販売を行う。小さい身体で地道に努力する姿から、当時のあだ名は“リトル・サムライ”。
  • ○ラトビア空軍大尉ガティス・ガイリティス氏(現在共同オーナー)と出会う。寒さに震える小さなアジア人を見かねて、「これで温まりなさい」とバスアイテムをプレゼントされたのがステンダースとの初めての出逢い。敏感肌のため無香料の石けんしか使えなかったのに、美しい香りに誘われて試してみると、ガサガサになっていた肌がもちもちに!商品の素晴らしさに感激し、日本にステンダースを紹介することを決意する。
  • ○2007年大阪でステンダースの実店舗とオンラインショップを立ち上げる。
  • ○メディア実績:TV/なるトモ!(読売テレビ)、プリプリ(毎日放送)
吉野 慶一さん

ステンダース・ジャパン大阪本店

  • 大阪府大阪市中央区内本町2-3-1
  • 交通 地下鉄谷町線・中央線「谷町四丁目」地下鉄堺筋線中央線「堺筋本町」より徒歩5分
  • 営業時間 火曜日~金曜日 11:00~20:00、土曜日 11:00~15:00
  • 定休日 日曜日、月曜日、祝日、年末年始、GW、お盆
  • TEL・FAX 06-6941-5060
  • HP www.stenders.jp