タオルと聞くと必ず思い出すものがあります。
それは学生の頃、「ハーローの実験」について聞いた、心理学の授業。柔らかい布で覆われたワイヤー素材の母猿人形と、ワイヤー素材のみの母猿人形があるケージの中に赤毛猿の赤ちゃんを入れて恐怖を与えたとき、どちらの人形に飛びつくか、という実験である。
実験の結果は皆さんのご想像通り。赤毛猿の赤ちゃんは、柔らかい布で覆われた人形にしがみつき、しばらくしがみついていると恐怖が薄れ、刺激を受けた辺りに目をやったり、確かめに行くことすら行った、という結果でした。一方、ワイヤー素材だけの人形があるケージに入れられ、同様に刺激を与えられた赤ちゃん猿は、ずっと隅にうずくまっているだけだったそうです。
このことから心理学者ハーローは、「やわらかい感触・接触」は安心感や恐怖心を和らげ、社会動機の親和や擁護の基礎となる「愛着」を形成するとても重要なものだと立証したそうです。
その講義を聴いて以来、身につけるもの、ファッションや寝具などの肌触りは気になりつつ、果たしてその柔らかさが生み出される秘密はなんだろう?と気になっていたので、その謎がついに解き明かされる?と楽しみに今治タオルを取り扱っておられるグランフロント大阪の「伊織」さんへ伺いました。
店内はカラフルで様々なタオル地の商品が魅力的で目移りしてしまいますが、まず様々な触り心地を体験させていただきました。
ブランド商品である今治タオルを始め、どれも柔らかく触り心地が良く、思わず頬が緩んでしまうのですが、実は柔らかさにも色んな段階がありました。竹の素材も入っているもの、二重ループという織になっているもの。さらに染めの色によっても若干柔らかさが違ってくるとか。
その使い心地を実際に試してみたい、と竹の素材が入ったものを使わせていただくことになったのですが、タオルってしばらくするとゴワゴワするものだと思っていたので、この商品の良さはどのくらいの期間持続するんですか?と伺ったところ、「質の良いタオル、高級タオルでも何年も使えば多少ごわごわとして参ります。ただ、最初から柔軟剤を使用すると、パイルの表面にコーティングを施してしまい、今治タオルの持つ吸水性を損ねてしまう恐れがございます。特に竹の繊維を使ったタオルは、吸水性が抜群に良いところが特徴となります。極力柔軟剤のご使用は控えて頂きたく、お願いを致しております。また、柔軟剤のコーティングにより、パイルが滑りやすくなり、パイル抜けがひどくなってしまうことがございます。その点においても、柔軟剤のご使用はおすすめではありません。」とのこと。素材によっては柔軟剤を使わない方がいいそうです。
店内にはタオルの他、様々なサイズのハンカチ、寝具、女性へのプレゼントに人気だというタオル地のフェイスパック、女性のための冷え取りパットなど私たちの日常生活を柔らかく優しく心地よく包んでくれそうな商品がたくさん☆
どれも魅力的で目移りしてしまうので、お店の方に「一番の人気商品はなんですか?」と伺ったところ、贈り物としてのベビー用品がとても人気だそうです。確かに、考えてみればこの世に生まれた瞬間、私たちの身体をくるみ、いの一番に私たちの肌に触れるものがタオル。生まれて初めて触れる世界が、柔らかくて優しいものであれば、この世の中への安心感も変わってくるのではないかと思います。
「この柔らかさは赤ちゃんだけでなく、敏感肌の方にも安心ですね」と感心していると、「柔らかさだけでなく、過去3年間、農薬を使わずに育てたオーガニックコットン素材の商品もございますので、安心してご使用頂けるかと思います。」とのこと。
最近、仕事柄食品が心と体に及ぼす影響に関する勉強を始めたところなので、安心な食べ物については関心があったのですが、身につけるものに関してもそのような商品があったなんて!!
赤ちゃんに安心感をプレゼントしたいのはもちろんですが、おとなだって一日の疲れを柔らかいタオルに癒されたり、そろそろ肌寒くなってお肌が乾燥してくる秋の夜にはフワフワに包まれたいですね。
日常生活に欠かせない存在のタオル。今年の秋は、ふわふわとほっこりとした気持ちにさせてくれるタオルに、身も心も優しく包んでみてはいかがでしょうか。
Editor/朝野れいこ