「気づき」トレーニング最終回は『「気づき」が成長につながる』をテーマにお話頂きます。
前回お伺いしたように人間関係改善に向けて「気づき」を行動に移したにも関わらず、状況が悪化してしまうこともあるのでしょうか?
行動に移して状況が悪い方に向かったというお話は、あまりお伺いしたことがありませんね。行動したことにより誤解を招き一時的に悪化したケースもありますが、その誤解が解けた時には状況が改善されました。誤解を解く際にもそれまでとは異なった行動が必要になる事もありますけれど……常に前向きに行動を起こせば状況は変わるという事ではないでしょうか。
むしろ、状況の悪化を恐れて行動を起こさずにいた方が状況が悪くなってしまいます。良くても現状維持ですね。結果、段々辛くなって転職を考えたり……、転職できたらまだ良い方ですね。心の病気になってしまって、出社できないことにもなりかねません。転職するにも労力が必要ですし、自分の中で割り切ることも必要です。よく新人さんが「1~2年で辞めると職歴に傷が付くから3年は我慢しよう」と、割り切れないまま頑張ってしまうお話をお伺いします。頑張った結果、心も体も壊してしまい辞めざるを得なくなる。そこからの転職はとても大変ですね。まず元気にならないといけないのですが、我慢を重ねてからだとこれが簡単ではないのです。
行動を起こして状況が悪化することは少ないのですね。それでは、行動を起こしても何も変わらないという場合はあるのでしょうか?
行動を起こすと、何かしら変化はあるはずです。ただ、急に大きな変化がある訳ではなく、少しずつ少しずつなのです。前回お話した、周りと自分との間に壁があると感じてしまう場合で、例えば自分以外の3人みんなと壁をなくしたいと思って行動に移します。3ヶ月頑張って1人の壁が崩せても、それは自分が思っていた成果ではないと考えてしまうのです。3ヶ月って長いじゃないですか。3人みんなと壁を無くすのに9ヶ月もかかるのか……と考えてしまうと、そこで諦めてしまう方が多いのです。しかし、実際は壁を崩せた1人との状態を他の2人が見ているので、単純に×3ではないのですけれどね。
それでは、途中で諦めてしまいそうになったときはどうすれば良いでしょうか?
少しの変化でまずは合格点をあげることですね。3人との壁を崩す事は高い所にある目標を取りに行くようなモノです。一気に上ろうとすると、いつまで経っても目標が遠く、全然近づいていない気がするのです。もちろん最終目標は一番上だけど、まずは目の前のステップ、次はこのステップと一段ずつ上っているうちに気がついたら一番上まで上り切っていたという形に持っていくことですね。
上るには「気づき」が必要です。気づくためには自分のことはもちろん、他人のことも、その関係性もしっかりと観察しなければなりません。客観的に見ると変わってきているのに、本人が何も変わっていないと思ってしまうと、途中で諦めてしまいます。些細な変化にも気づくことが大切で、何もしなかった時より例え1センチでも何かが変わった、じゃあもう少し続けてみようという気持ちと行動が必要です。それでも、何も変わらないと感じることもあるかもしれません。その時はキッパリ割り切ることですね。
「割り切る」という選択肢も必要なのですね。
そういった選択肢も入れておかないとしんどいでしょう(笑)。自分の中でタイムミリットや、これくらいの変化が無かったら諦めようと決めることも必要です。そこで頑張り続けてしまうと、先程お話したように自分自身が壊れてしまいます。薬局はそこだけではなく沢山あります。薬剤師の仕事も薬局だけではないはずです。先日、色々な薬局さんのパンフレットを見ましたが麻薬取締官というのも、薬剤師さんなのですね。薬剤師の資格を持っていたらできることは沢山あります。薬局にしても、病院にしてもそこに囚われるのでは無く、いかに資格を活かすか、資格を活かして自分は何がしたいかということを考えると、居心地の悪い薬局にしがみついている必要は無くなりますね。
もちろん辞めなさいと言っているのではなく、もっと広い視野を持って欲しいということです。行動しても残念ながら自分の望む変化がなく辞めてしまうのと、何もせず辞めるのとでは全く違います。何もせずに辞めれば同じことを繰り返してしまいます。自分が何かを投げかけて相手がどうするかは正直相手の問題なので、投げかけることができれば、次の職場に行って同じことがあっても変わるかもしれません。
今回は『「気づき」が成長につながる』というお話ですね。
自分自身のことをよく見て自分を変えるのも「気づき」成長につなげるために現状を知るのも「気づき」相手のことを知るというのも「気づき」行動することによって、お互いの関係性の中で少しだけ変化を起こします。その時、自分はこれだけ一生懸命しているのに何も変わらない!と思わずに、観察することが大事です。
「気づき」による行動を実践して下さって「言われたとおりにしているのに何も変わらない」というのは私のアドバイスが悪いのかも知れませんが、その変化がないことも受け入れて、自分の行動を謙虚に見て、“相手に対してきちんとアプローチできていたか?”、“独りよがりになっていなかったか?”と振り返る必要があります。この時、自分を責めてしまう方がいます。言われたようにできないことや相手が変わっていないのは自分の努力が足りないからだと思ってしまうのです。そんな時は、アドバイスをしてくれる人に確認すれば良いのです。私、こんな風にやってみたんだけど何がダメなのかな?と。自分のやり方が独りよがりになっているかも知れないし、ちゃんとできてるのに相手が変わっていないという事なのかもしれないので、客観的に聞いてもらうと良いですね。
職場の人間関係に悩んでいるときは、やはり状況が分かっている職場の別の方に聴くのが良いでしょうか?
同じ職場の方に聴くのは中々難しいと思いますが、状況の分かる方がベストではあります。職場の方が無理なら、ご友人やご家族に状況をできるだけ客観的に説明して聴いてもらいます。何か事が起こっている時は、とても感情的になっていて自分しか見えていないことが多いですね。時間が経ってから話すと冷静になっていますし、話をしているうちにふと相手のことを考えられたりもします。一人で考えていると頭の中でグルグル巡ってだんだんと大きくなってしまいます。だからアウトプットしないとダメなのです。話している相手に「それって相手はこう思ってるんじゃないの?」と言われると「あれ?」と気づくこともありますしね。整理するために話すことも大事です。
自分自身を変えるにも、行動を起こすにも、成長を実感するにも「気づき」が必要不可欠ということですね。最後に、薬剤師の皆さんへメッセージをお願いします。
薬剤師さんになるのは非常に大変なことだと思います。その薬剤師として活躍する事にまず自信や誇りを持って頂きたいですね。
人生は上手くいかないことがあって当たり前、そのひとつひとつを掘り下げてしまうより、できるだけ前向きにいきましょう。自分自身や周りの人を客観的に観察して「気づき」を意識しながら成長に繋げて欲しいですね。成長することでお仕事が楽しくなれば、プライベートも充実し、それは人生も充実するということに繋がります。プライベートだけ楽しむ、お仕事だけ楽しむというのはきっと難しいと思います。プライベートで落ち込んでる時は仕事も上手くいかないものです。薬剤師さんとして知識、スキルを磨きながら、幅広くご自身を磨き、「人間力UP」を図って下さい。きっと、今より更に薬剤師さんとして又、一人の人間として、もっともっと輝きを増されると思います。
ありがとうございました。
・日本マリッジカウンセラー資格認定協会 理事長・講師
・BSPA(Best Smile Partners Association)代表
・心理カウンセラー
・シニア(上級)マリッジカウンセラー
心理カウンセラー養成スクールにて資格を修得後、2002年から心理カウンセラーとして活動を開始。また、後輩の育成を目的とした「心理カウンセラー養成講座」の開催や『心のトラブルは予防出来る』との思いから、コミュニケーションスキルやカウンセリングマインドを伝えるためのセミナー、ビジネスマナーやモチベーションUPセミナーなど、講師としても活動。2014年からは、日本マリッジカウンセラー資格認定協会 理事長としてマリッジカウンセラーの育成に携わる一方、結婚後の様々な問題でお悩みの方へのカウンセリングも提供している。同時に、早期離婚がもたらす様々な社会的な影響を危惧し、婚前カウンセリングや婚前教育にも力を注いでいる。