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カウンセライダー日並の『こみコミ通信』 あなたらしく、美しくキャリアをデザインする vol.2

カウンセライダー日並の『こみコミ通信』

これまでカウンセリングにあたったのは、なんと7000人!
前回に引き続き、「キャリアデザイン」についてより詳しくお伺いします。

  • UNIV(以下 U)

    キャリアデザインとは「これからの厳しい社会を生き抜いていく力を身につけること」とお伺いしましたが、具体的にはどのような力ですか?

  • 日並(以下 H)

    私が思う社会を生き抜いていく力は、言い方を変えると「自分で決める力」です。これには大きく4つあります。人と関わる力、頭脳、精神力、体力ですね。 人と関わる力は決断するための情報を得るために必要です。頭脳は情報を知識とし知恵にするために、精神力は“みんなと同じでない事”に耐える力、最後の体力は文字通りです。人それぞれ何を決断したかによって後の苦しさが違うのですが、力技で乗り切らないといけないことも多いと思います。

  • U

    この4つの力を養って、自分で決めるということですね。では、これらの力を養うためには何が必要でしょうか?

  • H

    まず、人と関わる力をあげるには、「五感を磨く」ことです。

  • U

    五感と人と関わる力があまり結びつかないのですが…?

  • H

    人と関わる力は、自分で決めるための情報を得るのに必要ですね。人間が外部から情報を得るのは五感を通じてしかないので、五感を磨くのです。現代人の五感というのは非常に鈍くなっています。しかも8割は視覚情報に頼っていて、その多くは情報機器から得たものですね。

  • U

    なるほど、具体的に実践できる五感の磨き方はありますか?

  • H

    視覚を磨くには本物(実物)を見ることと、「虫の目」と「鳥の目」の両方で物事を見ることです。虫の目は目の前の物を細かく見ること、鳥の目は俯瞰のことです。現代人は虫の目で物事を見ることが多いので、時々は鳥の目でも見ることですね。情報機器で情報収集すると自分の興味で選んでいきますので、そこは深まるのですが他が見えなくなっていきます。加工された情報だけに頼ると真の姿が分かりません。実物を見ると、“見る”だけでなく、“看る、観る、視る、診る”となりますよね。

  • U

    残りの4つはどのように磨いていきますか?

  • H

    聴覚を磨くには静寂に身を置いてみることです。ものすごく小さな音に耳を傾けると聴覚が上がります。例えば、静かなお寺の境内にいると、鳥のさえずりや風にそよぐ葉っぱの音とか襖の開け閉めなど、普段聞こえない音が聞こえてきます。それで聴覚が鋭くなっていきます。

  • U

    次に、嗅覚ですね。

  • H

    これが現代人の一番衰えた感覚です。動物はほぼ匂いで判断しますから、嗅覚は最も原始的な感覚です。もう一点、嗅覚は自分で止められないという特徴があります。呼吸と共に嗅覚が働くので、止めようとすると呼吸を止めることになってしまいます。嗅覚を鍛えるには深呼吸ですね。もうひとつは自分にとって心地良い匂いを積極的に嗅ぐことです。香水でもアロマでも、自分の好む匂いを嗅ぐ時間を作ることで嗅覚が上がります。

    味覚を上げる方法のひとつは良いものを食べること。良いものというのは高いものではなく、旬のもの・土地のもの・手作りのものです。また、口の中に入れたときに「どの調味料を使っているか」や、旬の野菜であれば短期間で大きさや固さが違ってくるので「季節が進んでいるんだな」と、思いながら食べると味覚は上がります。あと料理の味付けは薄味にしたほうがいいですね。

    触覚は目を瞑って触ってみることです。このトレーニングをすることで触覚は上がります。あとは自分にとって心地良いもの、手触りのいい毛布やタオルを触るということも、触覚を磨く方法です。

    五感を磨く方法をまとめると、「普段意識をしていないところに意識を持っていくこと」ですね。

  • U

    その磨いた五感を最大限に使って情報を得るということですね。

  • H

    相手の観察に五感をどれだけ使えるかというのがコミュニケーション能力の高さですね。いつもより顔色が悪い、ちょっと臭う、声に力がない、これらは全て五感で感じます。体調が悪いのか、精神的に落ちているのか、寝不足なだけか…、薬剤師というお仕事ではこういったことが非常に大切ですよね。そこから「最近ちょっと調子が悪いですか?」「眠れていますか?」という質問が生まれます。

  • U

    患者さんからすると、何も言っていないのに薬剤師さんからそう聞かれると、自分のことを分かってくれているという安心感や信頼感に繋がりますね。

  • H

    そうですね。人と対峙した時に、常に「なぜ」と考えながら観察すると、色々なことが分かってきます。
    また、五感を鍛え、経験を積み重ねることで第六感・直感力が身に付きます。経験を積み上げていくと「なんとなく分かる」という機会が多く訪れます。例えば、漁師は天候の変化にとても敏感です。肌感覚プラス、この季節のこの雲の出方は嵐になるという経験が加味されて「なんとなく分かる」ようになります。

  • U

    五感と第六感を駆使して、人と関わる力を養っていくということですね。
    それでは、自分で決める力の残り3つを鍛える方法はいかがでしょうか?

  • H

    頭脳を鍛えるには本を読むことです。これが日常的にできる一番手軽な勉強法ですね。それに、本をたくさん読むと読書力が上がります。読書力の高い人はどんな本を読んでもどこかに面白みを見つけ出します。読みながらふと違う何かを思い出して、考えを広げ深め統合しながら読んでいるのです。その本を読んだおかげで前に読んだ本で分からなかったことが分かる、この繰り返しですね。

  • U

    それは面白いですね。では精神力はどうでしょうか?

  • H

    精神力はみんなと同じでないことに耐えられる力と言いましたが、日本の社会はみんなと同じであることが一番安心で、同じであるという価値観がとても高いですよね。同じでないと居心地が悪かったり不安になったりします。これを同調圧力といいます。これに耐える精神力を養うには苦労を乗り越えた数を増やして打たれ強くなるしかないですね。苦労には2種類あると言われていて、自分で選んでやった苦労と強いられて仕方なくやった苦労、前者は過ぎれば笑いに変わると言われています。

  • U

    自分で選んでやった苦労が笑いに変わるというのは、もしかするとみなさんご経験があるかもしれませんね。

  • H

    最後に体力ですね。体を動かして汗をかき、自分の体と対話することですね。自分の生き方を貫いていくには、どこをどのように鍛える必要があるか、どれくらいの無理なら耐えられるかを分かっておくことが大事です。私ぐらいの年齢だと、鍛えることよりも維持することを重視したいです。寡黙に筋トレやジョギングを続けるのも良いですが、出来れば楽しみながら、結果的に鍛えられたというのがいいですね。

  • U

    この4つの力を養って、「これからの厳しい社会を生き抜いていく」のですね。

  • H

    今日お話したのは全て「行動」です。キャリアデザインというのは行動を計画することです。自分の行動をどう変えていくのか、自分の行動をどこまで具体的に決めるのか、ということがとても大事なんです。組織に属していると、キャリアデザインの大部分を組織に決められてしまいます。仕方がないことですが、それだけだと苦しくなった時に投げ出したくなります。組織から決められたことの中で、自分でデザインし直せる部分がないかを探すことが、いいキャリアデザインが出来るポイントですね。自分でどれだけ決めたかということが自信やモチベーションにも繋がります。だから「自分で決める」ことがとても大切になります。

  • U

    ありがとうございました。

日並 昭夫氏プロフィール
日並 昭夫 氏

株式会社 パーソナルヴィジョン研究所

経歴

2003年武庫川女子大学大学院臨床教育学研究科を修了すると同時にカウンセラーとして独立。現在は、個人のキャリア開発支援、若年者の就労相談をメインとしたカウンセリングを行う。就職だけを目的とせず「個人の生き方」をベースとして、現実に則した実践的なスタイルを確立している。また高校・大学等でのキャリア教育推進、企業に向けての社員定着支援も積極的に行っている。