ハイカラな近代文明を今に伝える博物館 明治村と千三百年前から続く鵜飼の旅は幻想のタイムスリップ。活気ある名古屋市内にも立ち寄り中部薬品亀島薬局さんを訪問。名古屋城を散策しナナちゃんにも会って来たよ♪

“散切り頭を叩いてみれば、文明開化の音がする”―。明治の初めごろ盛んに歌われた歌の一節で、ちょん髷を切り落とした髪型の人は、近代化の波に乗った先進的な人だとして褒めたもの。歌の中の「文明開化」という言葉は福澤諭吉が1875年（明治8年）に『文明論之概略』の中で、civilizationの訳語として使ったのが始まりである。日本人は昔から新しいモノに敏感で上手く大衆の流行りにしちゃうね。

文明開化の音が聞きたくなってきた。

という訳で愛知県犬山市にある博物館 明治村にやってきました！ 緑豊かな約100万m2の広大な敷地に、明治時代の歴史的建造物が全国から67件も移設展示されている。うち重要文化財は10件、愛知県指定文化財も1件含まれるんだ。
明治村に到着すると正門付近の駐車場はすでに満車。係のおじさんの指示でどんどん進み北口ゲートにほど近い駐車場に滑り込んだのは午前11：00だった。明治村の北口から入場するとそこは最後の5丁目、正門から入ると1丁目、2丁目と始まる。順序は気にしない方なので村内地図を片手に出発だ。

目に飛び込んで来たのは駅名の表記も当時を再現した「とうきゃう」駅。広い村内には実働するSLが走っていて、切符を買えば移動手段に使えるんだ。煙をあげて走る蒸気機関車は1874年（明治7年）にイギリスから輸入されたもので全長8mのかわいらしいSLだ。村内中心地の4丁目の「なごや」駅までの約800mを5分で走る。「なごや」駅のすぐ近くでは日本初の市内電車として1895年（明治28年）に開業した京都市電に乗り換えることができ、2丁目の「京都七条」駅、終点の3丁目「品川燈台」駅まで運んでくれる。SLとともに動態保存が素晴らしい。

帝国ホテルは明治時代の建築技術の集大成として1923年（大正12年）に皇居を正面に建てられた。設計はアメリカの建築家フランク・ロイド・ライトでモチーフは平等院。
なんと開業した日に関東大震災が起きたが、被害は最小限に留まり歴史的災害を乗り越える。また東京大空襲では一部に大きな被害を受けたが、終戦後GHQに接収され、修復工事が行われた。その後ホテルとして再開し、1967年（昭和42年）に老朽化を理由に取り壊しになったが、保存運動から玄関ロビーの一部がこの明治村に移設された。

中央玄関を入るとメインロビーは吹き抜けの回り廊下になっている。建物の内外は彫刻された大谷石、透しテラコッタを様々に装飾し吹き抜けとともに光の取込み方が巧みでハイセンスだ。そしてこの玄関は世界の有名人たちを沢山迎えたんだ。
1932年（昭和7年）にアメリカの喜劇王、チャーリー・チャップリンが初来日し、帝国ホテルの和牛ステーキを大変気に入って、全ての食事で注文したそう。1934年（昭和9年）にはメジャーリーガーのベーブ・ルースが中庭で日本の野球少年とふれあったという。1954年（昭和29年）ジョー・ディマジオと新婚旅行で来日したマリリン・モンローが「寝るときに身に着けるものは？」との質問に「シャネルの5番」と応えた有名なエピソードは旧本館「ライト館」での記者会見で生まれた。
内部にはカフェもあり歩き疲れた足を休めるのにもお勧め。

森鴎外と夏目漱石が住んでいた屋敷や、1879年（明治12年）に建てられた間口54mの三重県庁舎、1907年（明治40年）京都河原町通りに建てられた聖ヨハネ教会堂、伊勢の宇治山田郵便局舎など明治村には様々な建築物があり、その全てが見所満載で内覧できるのが嬉しい。当時のハイカラな様子、雰囲気が印象深い体験だった。

岐阜県岐阜市長良にある長良川観光ホテル 石金が本日の宿。目の前には長良川が流れ、側の金華山の頂上から岐阜城が見下ろす最高のロケーションだ。そして今夜は何といっても1300年の歴史を誇る『ぎふ長良川鵜飼』がメインイベント。鵜飼は、毎年5月11日.10月15日までの間、中秋の名月と増水時を除いて毎夜行われる。

夕方5：30、送迎車に乗って長良川の向こう岸の鵜飼観覧船乗り場へ。すでに鵜飼ツアーの客が集まり外国の観光客の姿も目にする。乗船前には鵜匠による説明が行われる。長良川の鵜飼は日本で唯一、宮内庁に属する鵜飼であり職名を宮内庁式部職鵜匠という由緒正しいもの。鵜匠は6人、代々続く世襲制でその技を受け継いでいる。

屋形船に乗って出発。幾つもの観覧船が一斉に長良川を上る。金華山と山頂にそびえる岐阜城を背景に、名水100選に選定されている清流長良川でぎふ長良川鵜飼は行われる。20分ほどで観覧ポイントに到着。船は鵜飼が始まるまで川岸に停泊し、船内で食事をする。鮎を焼いてくれる船や郡上八幡の郡上おどりという三大民謡踊りの船が楽しませてくれた。

夕日が落ち、開始合図の花火が上がれば、いよいよ鵜飼が始まる。漆黒の中、赤々と燃えるかがり火を川面に映し、鵜匠と鵜が繰り広げる古典漁法「鵜飼」は、現在という時から千古の時へタイムスリップした。古風な衣装はかつて宮中行事であった頃の面影を伝え、鮎を浅瀬に追い込み一斉に獲る鵜飼のクライマックス「総がらみ」はまさに壮観。

幻想と迫力の時空を大いに楽しみ、ホテルに戻ると鮎の雑炊が用意されていた。お腹いっぱい胸いっぱいで温泉へ。露天風呂から夜空を見上げればお月様と金華山に建つ岐阜城が美しく浮かび上がっていた。

翌日は名古屋市内に戻り名古屋城へ。天守閣を昇った後はお城の横に建設中の本丸御殿を内覧した。桧をふんだんに使った書院造りで、中は豪華絢爛の一言。徳川家康によって建てられたが1945年（昭和20年）の空襲で焼失し、2009年（平成21年）から復元工事が始まった。2013年（平成25年）の5月から第1期部分が公開されていて、完全修復は2018年（平成30年）。あと少しだけれど待ち遠しい！

ナナちゃんにも会って来た！名古屋の待ち合わせスポットの定番として有名なマネキン。お洒落さんでスタイル抜群の身長6.1ｍ！（デカッ！）衣装は年に20回以上着替え、この時の服は愛知県連のガールスカウトだった。夏は浴衣や水着姿が見られるかも！

欧米文明を取り入れ日本の文化と融合させた明治時代、日本書紀や古事記にも記録が残る悠久の鵜飼、戦国から江戸、そして現代を見る名古屋城、本丸御殿。愛知県、岐阜県では貴重な空間へと誘ってくれるタイムスリップが体験ができた素敵な旅だった。