風邪とは?
風邪は漢方医学では「感冒」と呼ばれ、体内の抵抗力が弱って外邪が侵入することによって発病すると考えています。臨床症状は、鼻詰まり、鼻水、クシャミ、咳、頭痛、悪寒、発熱、全身の不快感などが特徴です。季節に係わらずいつでも発生しますが、特に春と冬に多いです。
一般的に風邪はあまり伝変することはなく、罹病期間も短くて治りやすいと言われています。しかし、お年寄りや体力の弱っている人の場合、風邪が原因でさまざまな治り難い病気を発生させ、生命の危険にさらされることもあります。このため風邪は万病の元と呼ばれるのです。したがって、風邪の予防や治療は極めて重要といえます。
風邪と漢方
「風邪は万病の元」といわれるように昔の人は風邪の治療を大変重視していました。中国の漢の時代には傷寒論という有名な風邪の治療書が書かれ、清の時代には温病論という風邪の治療法が発明されました。風邪の初期は「風寒型」「風熱型」の大きく2つの「証」に分けられます。
「風寒型」は「青い風邪」ともいわれ、悪寒、発熱、頭痛、鼻水、関節の痛みなどの症状が見られます。発汗の有無によって「風寒表実証」と「風寒表虚証」に分かれ、それぞれ「麻黄湯」と「桂枝湯」が使われます。無汗で肩こりがあるときは「葛根湯」が使われます。「風熱型」は「赤い風邪」ともいわれ、発熱、軽い悪寒、咽喉の痛み、口渇、黄色い痰などの症状が見られます。「風熱型」は「銀翹散(天津感冒片)」が使われます。風邪の初期でもきちんと「証」を判断して適切に漢方薬を使うことで良い効果を得ることができます。