蔵造りの町並みが広がる、通称「小江戸」。
川を利用した交流が盛んだった江戸と川越は、農作物を船で運び、帰り船で江戸の雑貨や文化を持ち帰った。他の地域よりも様々なものが早く伝わったので、江戸時代には「小江戸」と言われていたそうだ。
西武新宿線「本川越駅」に到着。駅や周辺の様子に江戸の雰囲気は見当たらない。大通りから1本裏通りを歩く。クレアモールという名前の活気溢れる商店街で、右に行くとJR川越線、東武東上線の「川越駅」まで伸び、左に行けば小江戸方面だ。
ちょうど『川越百万灯夏まつり』の直前で、通りにはたくさんの提灯が飾られている。散策マップを手に10分ほど歩いた辺りから景色が変わる。
レトロな西洋建築のビル、和洋折衷した絶妙な建物が迎えてくれる『大正浪漫夢通り』。空の広がりを感じるのは地中化された電柱のためだ。すっきりした町並み、石畳の道路は車もほとんど通らないので歩きやすく、ガス灯のようなモダンな街灯もいい雰囲気だ。
江戸時代の雰囲気や建物だけではなく、明治・大正・昭和の風情も大事に残しながら、現代的なオシャレ感を組み合わせたところに惹きつけられる。
見どころが多すぎてウロウロ、キョロキョロ。そうこうしているうちに江戸を今に伝える『蔵造りの町並み』にやって来た。国道を挟んだ通りに、耐火建築でもある江戸の町家がずらりと並ぶ様は壮観だ。お土産、雑貨、和菓子、和包丁、郵便局に自転車屋など一軒一軒趣があり、立ち止まっては見入ってしまう。
足湯喫茶ございます....和雑貨店入口の張り紙に興味が湧く。店内は手ぬぐい、風呂敷、お箸に、杯などなど雑貨が所狭しに並び、お土産にアレもコレも欲しい。
お店の一番奥に『ゆ』ののれん。メニューから飲み物や甘味を注文すれば、足湯喫茶を利用することができる。 檜の香りが広がる足湯に入ると、夏なのでお湯ではなくお水がひんやり心地良い。「川越 蔵の街さいだぁ」を飲みながら、暑さと時間を忘れるひと時を過ごす。
庭の玉砂利には職人さん手作りのキレイな番傘が並び、灯とうかがさ華傘になっている。日が暮れると傘の下に置かれたライトが点灯し、彩り鮮やかな番傘が光を透す。夕方以降はさらに幻想的な癒しの空間になる。足の疲れも取れたのでメイン通りから脇道に入って散策再開だ。
民家の前に立ち止まる。お店のようだが何屋さんだろう? そっと、ドアを開ける…ワンワンワン! フレンチブルドックが勢い良く走って来た!
靴を脱いでお邪魔する(ワンワン!) 陶芸、陶器アクセサリーや刺し子、ハーバリウム、ぬいぐるみなど多種多様な商品を展示販売されている。よく見ると同じ形の商品が無い(ワン!) オーナーさん曰く、全て作家さんの手しごと作品ばかりを集めたセレクトショップであり、ギャラリーとカフェも兼ねている。またワークショップを開催するなど、アートに富んだスペシャルショップだ。(ワンワン!)
いい感じに色褪せた鞄やポーチ、財布が気になる。ミリタリー素材を再生、デザイン、縫製する作家さんの作品だそうで、生地も丈夫だし即買いした♪(ワン!)
グルメもレポート。川越氷川神社へ向かう途中の川越市役所前交差点に青緑色のレトロな建物。カフェかと思いきや、入口に掛かるのれんには「手打ちそば」の文字。お昼1時過ぎでも店内は満席だったので2階に通してもらう。テーブル席もあったが、お座敷を選んだ。
冷やし大根おろしそばを注文。彩り美しく盛りつけられたそばに、つゆを廻しかける。そばはコシがありながらもやさしい口当たりで、風味も含めてさっぱり系。たけの子、カイワレ、わらびなど味も食感も楽しい。いい塩梅のバランスでどんどんお腹に入る。接客も柔らかく、温かみのある居心地の良いお店だ。
うなぎのお店もご紹介しよう。川越は江戸時代よりうなぎが盛ん。訪れたのは菓子屋横丁に佇む、うなぎ・懐石料理店だ。お目当てのうな重のふたを開ければ、その存在感に圧倒される。お箸を入れると身は柔らかく、口に運べば肉厚に驚く! ふわっとほぐれた身の甘みとコクが口いっぱいに広がり、香りが鼻から抜ける。これは本当に美味しい。食べることに夢中になりすぎて、写真は最初のカットだけだ。焼酎の水割り、天ぷら、江戸玉子焼、豚の角煮に舌鼓。贅沢な大人の晩餐だ。
芋が特産でもある川越。この『生どら焼き』のサツマイモ味は絶品だ。残念ながら生モノなのでお土産には不向き。ぜひ現地で食べて欲しい。
また定番の『いも恋』も外せない。さつま芋と粒餡を山芋と餅粉の生地で包んだお饅頭でしっとりした食感が特徴。
夕暮れが近づくと提灯や建物に灯る明かり。昼間には気づかなかったお店や、小江戸の別の表情が浮かぶ。素敵な古いビルでコエド生ビールを味わった。個性が前面に出る地ビールは風味も豊かで愉しい。
江戸薫る蔵造りの通りに路地裏、振り向くと文明開化があり、大正モダン建築に昭和レトロと、江戸から近現代の日本文化を垣間見ることができる。小江戸川越は数メートル歩くたびに時空を超えるタイムトラベラーになれるのだった。
これが本当の『地域密着型薬局』!
有限会社アズマ薬局 代表取締役
小美濃 芳信さん
父から歴史を引継ぎ、新たな薬局を
昭和40年、埼玉県川越市の商店街に父がアズマ薬局を開局しました。いわゆる昔の薬局で、調剤はもちろんですが、化粧品やトイレットペーパーなどの日用品を買いに来てくれる馴染みのお客さんが沢山いました。私は大学卒業後、勉強のために大手調剤薬局グループに入職し、約11年間大型病院の門前で勤務薬剤師をしていました。平成10年、父が守ってきた「アズマ薬局」の看板で、新しく調剤薬局を開局し、現在は埼玉県を中心に7店舗運営しています。
私を小さな頃から知っている地元の方が来局されることも多く、私の両親にとてもお世話になったと言ってくださる患者さんもいます。「子供の具合が悪くなったとき、夜中に薬を持ってきてくれてありがたかった」という当時のお話を聞くと、縁を繋いでくれた親のありがたみを改めて感じます。
「地域密着」と言葉では簡単に言いますが、本当に地域に根付くのは非常に時間のかかることだと思います。その点、昭和40年から地域の方と関わり育ててもらったアズマ薬局は、地域の方々からも親しみを持っていただいているように思います。
20年前の開局当初は、私の同級生のご両親が来てくださっていて「懐かしいね」というお話をよくしていましたが、私も50代という年齢になり、最近では同級生も沢山来てくれるようになりました。笑
被災地ボランティアを通して感じた人と人との繋がり
震災後、福島や宮城、熊本にボランティアへ行きました。そこでは、薬剤師の無力さを感じる場面も多くあり、「薬剤師として」ではなく「人として」、人に接していきたいと考えるようになりました。
アズマ薬局霞ヶ関店は小児科門前なので、小さなお子さんを連れたお母さんが来局されることが多いのですが、待合の椅子からカウンターまでお子さんと一緒に来るのは中々大変です。私をはじめ、ご勤務いただいている薬剤師さんも、状況を見て待合の椅子まで行って説明をしています。服薬指導よりも世間話の方が多いかもしれませんが、近い距離でお話しする中で色々な情報をお聞きできています。実習に来た薬学生さんから、薬局によっては「薬歴を書くために服薬指導をしている」というような状況もあるとお聞きしました。アズマ薬局では「人と人」としての関わりや繋がりをこれからも大切にし、本当の地域密着型薬局として地域の皆さまに愛される薬局でありたいと思います。
●取材協力 有限会社アズマ薬局
●所在地 埼玉県川越市霞ヶ関北3丁目1番地1号
TEL:049-231-1222(代表)
2日間で約100万人が来場する川越まつり
本号が発刊される10月に、川越が1年で1番盛り上がる「川越まつり」が開催されます。地元を離れた方が年末やお盆よりも、お祭りに合わせて帰ってくるほどです!市内は通行止めになり、豪華絢爛な沢山の山車が優雅に曳行します。今年平成30年は10月20日(土)・21日(日)の2日間開催予定です。是非、この機会に川越へお越しください!
2020年東京オリンピックが川越でも
東京オリンピックのゴルフ競技会場が、川越の霞ヶ関カンツリー倶楽部に決まりました!オリンピックに向けて、薬剤師会や医師会などの団体も協力し、月1回会議をしています。日本でも有数のコースで、トランプ大統領が来日した際も安倍首相とここでゴルフをされました。2020年、川越を更にアピールできると思うと今から非常に楽しみですね。