薬局は地域に密着した健康情報拠点として、そこに勤務する薬剤師等には、一般用医薬品および健康食品等の適正な使用に関する助言や健康に関する相談、健康啓発や病気の予防等、セルフメディケーションの推進を強く求められています。しかし、「どのように取り組めば良いのか」という疑問をお持ちではありませんか? 今回は、セルフメディケーション推進に注力するファーマライズホールディングスの皆さまにお話を伺いました。
エラーからのスタート!?セルフメディケーション推進課
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江口
当課の前身は、2年程前にスタートしたOTC販売推進プロジェクトです。当社グループ内のドラッグストアのノウハウを活かそうと、調剤薬局の中にミニドラッグストアを作りました。しかし、結果は失敗。販売商品と患者さんのニーズがマッチしなかったことから、購入が伸びませんでした。
そこで、1年前の平成29年3月にセルフメディケーション推進課を設置。ちょうど健康サポート薬局の立ち上げ時期と重なったため、48薬効群を元に商品ラインナップの見直しからスタートし、「食事」「睡眠」「排泄」という健康維持に大切な3つのテーマに纏わる商品を集めました。実は、当課には私も含めて薬剤師はいません。生活者の視点を重視して、商品候補の選定は当課が、選定した商品の品質や効果の評価については社内の薬剤師に相談しながら…と、役割を分担して進めています。
なぜ勧めるか・誰に勧めるか
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江口
商品の評価にあたっては、必ず当社のDI室の調査を通すことにしています。メーカーからの商品説明で、個人的に買いたいと思っても、そこに当社グループがお客様に推奨する品質や効果の根拠などの理由が必要です。商品自体の特性はもちろん、ターゲット対象、リスクについてもDI室で調査結果をまとめて教えてくれます。
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柳井
私もDI室のメンバーで、調査を担当しています。商品自体に注意喚起はなくとも、成分的な分析からほとんどの商品でリスクが見つかります。薬局として自信を持って勧めるために、回避できるリスクをきちんと避けられるように情報提供をしています。
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江口
一方で、商品のラインナップは店舗ごとの独自性も大切にしています。例えば、産婦人科のクリニックなどが近くにある店舗では、ベビー用品を多く取り扱います。それがきっかけで薬局を利用された患者さんから「アレルギーがあっても飲める粉ミルクがあると聞いたのですが……」と、ピンポイントのご相談をいただくこともあります。
薬局物販の競合相手はドラッグストアから次第にインターネット販売へ代わってきています。真っ向から戦えば価格と品揃えで負けてしまいます。そこで、薬剤師が自信を持っておすすめできる商品を提供し、その効果を一緒に喜んで、継続的にフォローするといった、「人が関わる」という付加価値で勝負しています。薬局と周辺地域の小さな世界だからこそできることもあるはずです。
好事例 〜サンファイバー・排便コントロール〜
処方された便秘薬を沢山飲まれている患者さんより、もっと便秘薬を増やすよう医師にお願いしてほしいと薬局で相談を受けました。患者さんの主事医と相談したところ、医師はこれ以上増やしたくない様子でした。そこで、薬局から水溶性食物繊維のサンファイバーを提案し、ご購入いただきました。次の来局時に「ずっと困っていた便秘が改善された!」と非常に感謝されました。患者さんの症状改善に役立ったことはもちろん、担当した薬剤師自身も、自分が勧めた商品で喜んでもらえたことに、大変やりがいを感じていました。患者さんの健康増進のお手伝いができて、信頼度も高まりました。
ビタミンC×鉄=? 抗菌薬×マグネシウム=?
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柳井
処方薬の添付文書にはいろいろと注意喚起がありますが、患者さんへ難しい文章をそのままは言いませんよね。患者さんの基礎疾患や生活習慣などの背景を見て、要点を絞ってわかりやすくお伝えします。健康食品やサプリメントなどにおいても、基礎疾患や生活習慣などの背景を捉えて、使い方や注意点をお伝えする大切さは同じです。
ビタミンCは皆さん美容や健康に良いという意識をお持ちだと思います。細胞の酸化予防による心疾患系の予防、加齢の予防改善の効果もあります。一般的にあまり知られていない効果として、鉄分の吸収促進があります。例えば、貧血で「鉄」を意識されている方に、一緒に摂ると吸収が上がりますよという提案も良いと思います。
マグネシウムも代表的な例のひとつです。抗菌薬をボルビックなどのカルシウムやマグネシウムの多い硬水で飲んでしまうと、結合してしまい本来の効果が発揮できない恐れがあります。
このように、薬だけではなく健康食品やサプリメントなどでも、患者さんへのヒアリングを通して、飲み合わせや使い方のアドバイスができると思います。
栄養素 | 期待される働き | 注意が必要な医薬品(代表例) |
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ビタミンB6 | タンパク質の代謝に関与 神経機能の維持 |
フェニトイン:フェニトインの代謝を促進し作用が減弱 レボドパ:レボドパの分解を促進して作用減弱 |
ビタミンC | コラーゲンの生成に関与 抗酸化作用 |
エストロゲン:エストロゲンの代謝阻害により濃度上昇 アセタゾラミド:大量のビタミンCで尿路結石の可能性 |
マグネシウム | 血液循環の維持 骨や歯の形成に関与 |
ビスホスホネート系薬剤:薬剤とキレートを形成し効果が減弱 テトラサイクリン系抗生物質:薬剤とキレートを形成し効果が減弱 ニューキノロン系抗菌薬:薬剤とキレートを形成し効果が減弱 |
薬局の未来に夢とロマンを
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樋本
調剤薬局は今までの常識に囚われずに、なんでも取り入れてやってみることです。親和性の高いところでは物販やOTCですが、広い視野で時代のニーズを見て、将来的な夢や想像を膨らませて考えていくことが大切だと考えます。
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江口
この先も日本の人口は減りますが、生活者のニーズは多様になり、新たなサービス業が増加するとも言われています。そこに、薬局が絡んでいけたら面白いですよね。話は変わりますが、先日、知人と面白い居酒屋を見つけました。週末は0時頃からバーに切り替わるんですよ。1つの場が2つの顔を持つことで客層に幅が生まれ、多様なニーズに応えていて面白いなと思いました。薬局も薬局だけである必要はなく、地域の人のためになることであれば好奇心や興味を持っていきたいですね。夢やロマンを実現できるチャンスかもしれません!
オンライン服薬指導実現も近い!?
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樋本
オンライン診療をしている医療機関は少しずつ増えています。医師がオンライン診療をしても、薬剤師のオンライン服薬指導ができなければ、結局意味がないですよね。将来的には恐らく、医師がオンライン診療をする患者さんが、薬局のオンライン服薬指導の対象になると思います。すると、薬局の立地は全く関係なくなります。オンラインで一番重要になるのは、やはり薬局のサービス面、コミュニケーション力をもって患者さんに寄り添っていけるかという薬剤師の質です。プラス付加価値として、例えば光熱費の支払いができたり、保険に入れたり……総合的な窓口になるかもしれません。昔ながらの「薬店」のオンラインバージョンができるかもしれませんね。
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江口
学生のうちから色々な人と触れ合ってください!
人と関わることで様々な価値観に触れることにより懐の深さを身に付けてください。
きっと社会人になってから活きてきます! -
柳井
実習と勉強を切り離さないで!
経験と知識が結び付くほど強いものはありません。 -
樋本
会社では憧れの先輩・上司を見つけよう!
そこから自分の将来イメージが湧きます。