店舗見学をしておけば……
49歳女性の場合
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経営者と現場の溝
私は以前から未病に興味があり、それらの知識を生かせる環境があればと転職活動を行っていました。その中で1件、患者様の健康を第一に考える社長と出会いました。面接では服薬指導の大切さや地域活動への熱い想いと合わせて、「今後体制が整えば、地域で健康セミナーを行ったり、在宅業務・服薬指導の精度を上げたいと思っていたから、未病についての知識を発揮してもらえる環境は作れるはず。もちろん来局した患者様へも知識を生かしてじっくりと服薬指導をしてほしい」と話してくれました。これまでバタバタとした勤務環境が多く、自分の知識を生かして患者様に対応する機会が少なかった私は、「まさに求めていた環境だ」と店舗見学もせずに入社を即決しました。
しかし入社してから半年が経っても、私が思い描いていた仕事はできませんでした。社長の想いは嘘ではなかったものの、現場が社長の考えについてきていなかったのです。
健康セミナー開催については管理薬剤師さんから「調剤業務に手一杯だからプラスαでセミナーの準備はできない」と否定されたり、服薬指導に少し時間をかけて対応していたところ、「効率よく仕事ができていない。服薬指導は最短で終わらせてください」と注意されてしまいました。この状況を我慢し勤務を続けたものの、50歳を手前にして希望を捨てきれず、再度転職することを決心しました。
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転職活動スタート
仕事内容を何よりも重視して転職先を探すことにしたところ、2社気になる調剤薬局を見つけることができました。
今回は勤務する予定の店舗を見学し、働いている方と直接お話する機会を頂くことをマストにして、じっくりと転職先を検討しました。
- A.自宅近くで在宅に特化した店舗を持つ小規模薬局さん
- B.地域活動に活発に取り組んでいる中規模チェーン薬局さん
Aの薬局さんは在宅に特化していることから、訪問先の患者様と密に接することができそうでした。その反面、施設への配達も多くあり、システマティックに調剤をこなすのみという業務も増えそうでした。また外来がないためオープンに地域の患者様と接することができず、自分の勤務イメージとは異なるように感じました。
Bの薬局さんはエリア内にドミナント展開をしていることから、地域ではとても有名な薬局さんでした。内装を明るくしたり、血圧計や健康食品などの設置物を豊富にするなどの工夫がなされていたことから、患者様も店舗に入りやすいようで、薬局が地域に溶け込んでいる様子を見ることができました。また、効率だけを重視せず患者様の健康のために動くという認識が店舗でも浸透していることを感じ、Bの薬局さんへ入社を決めました。
入社して半年、患者様のために時間を割ける環境なので、服薬指導をする中で未病についてもアドバイスすることができています。患者様も喜んでくださるので、とても充実した毎日を過ごせています。入社前に店舗を見学し、雰囲気や在籍スタッフさんの考え・行動をしっかりと確認することの大切さを、今回の転職活動で身をもって理解できました。
見合わない給与額を求めた代償……
28歳男性の場合
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給与UPを求めて
私は大学を卒業して、大手の調剤薬局チェーンに入社しました。やりがいはありましたが、立て続くヘルプ勤務や処方せん枚数の多い店舗での多忙な日々に疲労が溜まっていました。さらに他社に勤めている友人の話を聞いていると、どうしても今の仕事量に給与が見合っていないように感じました。結婚の予定もあり貯蓄の必要もあったため、今よりも大幅に給与UPできる環境を求めて転職することを決心しました。
1件個人薬局さんが検討してくださることになり選考に伺うと、「正直、同年代と比べてかなり高い給与設定だから、入社したら一生懸命働いてね」と社長からは念を押されました。給与は希望額を了承してもらえ、自宅からも通いやすい環境だったので入社することにしました。
しかし入社してから自分の考えが甘かったことを痛感しました。給与の分、シフトの空き部分は全て私の担当となり、週休1日も取れないことが増えていきました。人員不足のため終日店舗に入ることも多く疲労は溜まる一方……。社長に相談したところ、「高い給与を払っているのだから、他社員の穴を埋めるのが君の役目でしょう。給与に見合った働き方をするのが当然だよ」と言われてしまいました。その言葉から、自分のレベルに合わない環境だということを痛感し、再度転職することを決意しました。
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求める勤務環境を整理
まず担当のコーディネーターさんに、自分の年齢や経験年数からどれくらいが相場の給与額なのかを伺いました。相場は希望していた額よりも低かったですが、給与だけを意識して自分に見合わないレベルを求めることがとても危険だということを今の職場を経て感じました。
それから2つの薬局さんを紹介してもらいました。
- A.総合病院門前で365日24時間開局店舗。残業や夜勤をした分はしっかりと手当がつくので、働き方によっては給与を上げることも可能
- B.給与はそれほど高くないが、残業はほぼなし、年間休日も多めでプライベートを充実できる
Aの薬局さんは地域の中核病院の門前だったので、処方内容も濃くとても勉強になりそうでした。夜勤があったり365日開局ということで勤務時間・曜日が定まらないのは大変そうでしたが、人員が必要数確保されているし、自分自身の頑張りによって手当がつく(目に見えて給与に反映される)のは、モチベーションにも繋がりそうだと感じました。
Bの薬局さんは、主に私生活を重視できる環境でした。処方せん枚数も少なく1日ゆったりと過ごせそうでしたが、内科の単科門前で長く勤めるには少し物足りなさを感じ、Aの薬局さんへ入社することに決めました。
初めの転職では、自分に見合わない給与額を求め、そして給与額にばかりこだわって、どんな環境で働きたいかを真剣に考えられていなかったと反省しました。自分が業界の中でどれほどの価値があるのか、自分がどれほどのパフォーマンスを発揮できるのかを知ることで、自分にベストな仕事内容・待遇の環境とめぐり会うことができたと思います。
返済計画を後回しにしたばかりに……
26歳女性の場合
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憧れの病院勤務がスタートするも……
私は、病院での経験をまずは積みたいという想いと関西での生活に憧れていたため、地元は九州でしたが大阪の急性期病院へ就職を決めました。多額の奨学金返済があるため一人暮らしや給与には少し不安はありましたが、仕事もプライベートも順調にスタートできました。しかし入社して半年、大学時代に借りていた奨学金の返済が始まると、現実の厳しさを痛感しました。
就職活動の時は、奨学金の返済が月にどのくらいで、貯蓄するためにはどのくらいの給料が必要なのかを全く考慮せず、ただ「病院・関西」での就職を第一優先で考えてしまっていました。しかし病院だと給与が低く、毎月の奨学金返済と家賃、生活費で貯蓄に回せるお金がほとんど残りません。
予想以上にやりくりは苦しく、わたしは転職を考えるようになりました。
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将来を見越した転職活動開始
短期で転職することに抵抗は感じていましたが、担当コーディネーターさんから「就職して1年で転職をすることは薬局さんから良い印象を持たれることはありません。しかし、現在の環境では満足いかないでしょうし、将来設計も立てられないと思います。今回良い職場を見つけて、そこで長く働けば大丈夫ですよ」とアドバイスをもらい、少し心が軽くなりました。
その後コーディネーターさんと奨学金の返済プランを考えると、今よりも150万円程度年収を上げる必要がありました。そのためには病院勤務を諦め職種変更をする必要がありましたが、総合病院の門前薬局など、今までの経験を活かせる環境もあることを知りました。
また私は、高年収を希望するといわゆる「僻地」に行かなければならないと思っていましたが、大阪市など比較的都心に近いエリアでも年収アップすることは可能だと聞き、驚きました。
その後リサーチを行ってくださり、関西圏内で広く店舗展開する中規模薬局さんから求人を頂けたとのことでした。
少し交通アクセスが悪くバス通勤が必要な店舗でしたが、その土地の中核を担う総合病院の門前店で、特殊疾患も扱っているので前職での知識を活かしつつとても経験値が上がりそうだと思いました。年収550万円にプラスして家賃手当を月に2万円負担してもらえる条件も、返済を考えるととても有り難い内容だったので、入社することを決めました。
入社から3か月、忙しい環境ではありますがやりがいも大きく、また奨学金の返済も少し余裕を持てるようになったことから、仕事・私生活共にとても順調に過ごすことができています。奨学金は借金。しっかりと返済計画を立てた上で、キャリアプラン・ライフプランを立てないと……と今回の転職活動で気付くことができてよかったです!
失敗は成功の元!
もし就職に失敗したとしても、それから正確な軌道修正ができれば問題ありません。
就職後に悩むことがあれば、ぜひ今の問題点をしっかりと洗い出し、解決策として次はどんな職場を選ぶべきなのか、じっくりと考えてみてくださいね。
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