薬剤師のための心と身体のスタイル提案マガジン ファーストネットマガジン

対談 ヘルスケアと保険で叶える、素敵な100年人生。

NPO法人女性の健康とメノポーズ協会
大阪支部 ブランチマネージャー
一般社団法人 日本女性医学学会認定
女性ヘルスケア専門薬剤師

松原 爽さん

大手製薬会社にて女性ホルモン製剤のマーケティングを長年担当。
世界に遅れること40年、低用量経口避妊薬(ピル)の日本への導入の他、更年期障害や閉経後骨粗しょう症領域の治療薬など女性のQOL向上に必要な医薬品の新発売を手掛けた。
その後も、多くの女性ホルモン製剤のプロモーションを通して、女性特有の疾患の啓発や女性ホルモン製剤に対する正しい知識の普及に務めてきた。
2018年よりNPO法人女性の健康とメノポーズ協会にて「女性が健康で快適に望むライフキャリアが実現できる社会の実現」に向けた活動を行っている。

ティノット株式会社 代表取締役

龍田 なるみさん

1973年生まれ鹿児島県出身
33歳まで鹿児島で過ごす。
2006年大阪へ上阪
教育関係、通信関係の営業職を経て2014年1月アフラック保険サービス入社全国新人賞1位、以降、毎年全国コンベンション入賞
給与サポート販売開始年、全国アソシエイツ2万7千人中3位入賞
2017年12月独立
あんしん生命優積者ミーティング毎回入賞(全国6位、10位入賞)
* ご契約をお預かりした後のフォローを大切にしています。

女性は生理が始まってからも閉経してからも、女性特有の健康課題を抱えながら生きていきます。人生100年時代と言われていますが、健康で過ごせなければ意味がありませんよね。そして健康なだけではなく、生きていくにはもちろんお金も必要です。ヘルスケアと保険での資産形成両方の視点で、健康で幸せな老後ライフを叶える準備をしましょう。

まずは自分に掛かるお金の棚卸しから。

  • 龍田

    実際に病気になるかどうか分からないのに月々お金をかけていることがもったいないと思われる方もいらっしゃいますし、その気持ちはよく分かります。ですが、無防備で万が一のときに何の保障も無いのは困ってしまいますので、病気になったときに仕事を休んでも大丈夫なように備えをしておいて、でも病気にならなかったらならなかったときに掛けたお金が戻ってくると理想ですよね。そういう保険プランや貯蓄を備えた保険、運用性の良い保険もあります。

  • 松原

    私の立場ですと、病気に関してはまずは早期発見、早期治療を心掛けていただきたい。そして万が一何かあったときのために備えもしておけば安心ですよね。日本は他の国と比べて婦人科がんなどの検診率が低いことが問題になっているのですが「あのときこうしておけば良かった」と後悔することだけはしてほしくありません。

  • 龍田

    お金の面では、いざ病気になってしまったときに必要なお金は人それぞれ違うので、今の自分の収入から、生活費や住宅ローンの返済、家賃の支払いなどがいくらあるかを把握しておくことが大事です。公的保障の有無でも変わってきますが、今までと変わらない収入くらいの金額が確保できれば安心です。専業主婦の方の場合は公的保障がなく主婦に変わる代行が必要となるので、安定した収入がある方と必要金額は異なります。そのために保険を活用して就労困難や治療費に十分に対応できるように備えておく必要があります。

  • 松原

    若い薬剤師さんの中には奨学金の返済をされている方もいらっしゃるし、家庭を持っている方なら子供の養育費など、なかなか月々の保険料にお金をかけられないという声もありそうです。

  • 龍田

    家計を圧迫してまで保険加入や資産運用をする必要はないと思っていますが、真剣に老後のことを考えると多少の無理は必要なケースもあるのかな、と考えることもあります。
    まずは、資産形成を考える前に家計の見直しをして、いくらあれば安心か、人生のどのタイミングで増やすかなどを考える必要があります。わずかな金額でも無理なくコツコツ運用していくことから始めると良いですよ。パートナーがいらっしゃる方は、事前に保険を含めたお金の話について共有しておくこともとても大切です。

  • 松原

    保険と一言で言っても、商品の種類も多くて、実際のところよく分かっていないのが現実です。保険について相談したくても保険に詳しくて信頼できる人を見つけるのは難しいですよね。

  • 龍田

    ただ概要を聞きたいだけ、と言っても、巧みに個人情報を聞き出されて全部記録に残されてしまうのは抵抗がありますよね。私も経験があります(笑)。できれば記録に残らない、内々で確認できるパイプも持っておくと安心です。私の場合はお客様から、困ったときの”御用聞き担当”と思ってもらっています。気楽に問い合わせができるパイプ(担当)は必要ですし、安心できますよね。

100歳までの50年を健康で元気に過ごすための強い味方、HRT。

  • 龍田

    個人的なことですが、いわゆる更年期障害でしょうか……最近とにかく体がけだるくて、もし自分が会社勤めをしていたら、辞めて家でゆっくりするという選択をしていただろうと思います。大病ではなくても、こういった不調で働けなくなってしまう人もいらっしゃると思うのですが?

  • 松原

    更年期の症状は人それぞれで、これって更年期かしら? と気づかない人もいますが、今までできていたことができなくなったと感じたり、とにかく辛かったりと生活に支障をきたしながらも我慢されている女性も多いのが実態です。
    具体的には、更年期にはエストロゲンの分泌が減少してきますので、月経が不順になったり、ほてりやのぼせ、発汗、めまい、疲労感、不眠、不安、憂鬱、物忘れといった更年期症状が出てきたりします。また、閉経するとエストロゲンが欠乏しますので、脂質異常症や動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中そして骨粗しょう症のリスクを高めることになります。
    更年期の不調で仕事が続けられなくなる方も多いということも分かってきているのですが、更年期障害についてはきちんと知って我慢せず適切な対応を取れば、元気に働き続けることもできるんです。

  • 龍田

    保険をお預かりしている女性のお客様にも、骨粗しょう症の診断をされている方が多数いらっしゃいます。骨粗しょう症が女性に多いのはなぜですか?

  • 松原

    それはエストロゲンが欠乏することが大きく影響しています。骨密度が減るということは自覚症状が無いので気付きづらいですが、閉経後10年間で骨密度は約15%減るというデータもあります。また、閉経後骨粗しょう症の患者さんにホルモン補充療法(HRT:Hormone Replacement Therapy)でエストロゲンを補充すると骨密度が増加することも分かっています。

  • 龍田

    HRT、初めて知りました。確かにお客様でも、ある程度の年齢の方はほんの数センチの段差で躓いて、骨折される方がいらっしゃいます。それくらいで本当に折れるの? と思ってしまうのですが……。できればそうなるのは避けたくて、そのためにはどうしたらいいんだろうと思っていました。

  • 松原

    そうですね。見た目では分かりませんが骨密度が低下すると骨折リスクも高まります。要介護原因にも骨折・転倒がありますので、骨は元気でいてほしいものです。女性は約50歳で閉経しますが、100歳まで50年もあって、まだ人生の折り返し地点なんですよね。折り返し地点にも関わらず、卵巣機能は止まってしまい、それまで自分を支えてきたエストロゲンが欠乏した状態で過ごさなければならないのです。更年期以降の女性の健康管理のためにHRTといった治療法を一つの選択肢として知っておくことも大切だと思っています。

変わってほしい現在の保険制度

  • 松原

    女性医療に携わる仕事をしてきたので思うのですが、薬剤にも色々あって、OC(低用量経口避妊薬)・LEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤)やHRTといった女性ホルモン製剤はどちらかというとQOL向上のために使用される薬剤で、しかもOC・LEPは卵巣がんや子宮体がんのリスクを下げる副効用があり、HRTも骨粗しょう症だけでなくさまざまな疾患のリスクを下げることが分かっていて、総合的な死亡率を下げることも分かっています。ですので、こういう薬剤を使用している人は、保険料は下がっても良いのではないかな……と思うんです。しかも、こういった薬剤を使われているということは定期的に婦人科に行って検診も受けているので、健康管理もきちんとされています。聞くところによると、病院に行っているからというだけで保険加入時に引っかかるってこともあるらしいのですが、どうなのでしょうか?

  • 龍田

    保険商品を作っている人はおそらく男性が多いと思います。
    仰る通り、リスクが下がると病気の心配も減りますよね。不妊治療のための保険など、すごく緩和されている商品も中にはありますが、保険医学が進んでいない現状です。

  • 松原

    保険とヘルスケアは共にこれからのことを考えていかなくてはいけないですね。

  • 龍田

    そういったことをどうやったら発信していけるかなと思いますが、いち保険営業マンが声を上げるだけではなかなか変わらないというのが現実ですね……。生命保険は、一つの商品をつくるのにすごく時間がかかると聞いていますので、保険を作る人たちに医学的進歩を知ってもらう機会を作ることが必要ですね。

  • 松原

    私は経営者の方や管理職の方に女性の健康についてお話しさせていただく機会があるのですが、働く女性が増えている中、女性の健康問題は、自分の力がうまく発揮できない、自分のキャリアをどのように積んでいったらいいか分からない、仕事が続けられなくなったなど、女性にとっても社会にとっても大きな課題となっています。でも、女性特有の健康課題の多くは医療などの力も上手に活用すれば解決できるということを知っていただきたいと思います。また、女性特有の健康課題を抱えていない方々も、知って理解することが、組織だけでなく社会にとっても大切だと感じています。

「知っている」ことが何よりも大事。

  • 龍田

    こうしてお話を伺っていると、知らなきゃ損ということがたくさんあるように思います。企業に所属しているとそういったお話を聞く機会があるかもしれませんが、例えば高校生の娘さんを持っているいち主婦が、パートで働きながらこういう情報をどこで得るのか?と思うと、なかなか無いのですよね。なので私は、保険に加入している一つの特権として、そういう知る場を何か作れないかなと思っています。知らなかったことを知り得ることができて、悩んでいる方はそこで何か道が開けるような、何かお客様のプラスになれたらいいと思っています。

  • 松原

    私がお話したようなヘルスケアのことは、頭の片隅にでも置いておくと、「あれかもしれない」って思い出してもらえるので。知っているか知らないかで、対応に大きな差が出ると思います。

  • 龍田

    それを親世代が知っているということも非常に重要と思いますし、娘さんのいない親御さんでも情報としては知るべきだと思います。

  • 松原

    子宮がんは30代がピーク、乳がんは40代がピークということからも検診もまだ若いからと言わずちゃんと受けてほしいです。健康なうちから健診を受けておけば何かあったとしても早期発見なので予後も良いですから。

  • 龍田

    確かに、子宮頸がん、乳がんの方は多いですね。

  • 松原

    女性の場合月経に関連するトラブルは10代から始まります。安心のためにも早いうちから婦人科のパートナードクターを持つことをお勧めします。

正しい知識を身に着けて、一生の安心を!

  • 龍田

    聞けば聞くほど、ピルやHRTなどをうまく活用して体の不調解決やリスクに備えることが大事だと思いますが、まだまだピルやHRTについてはあまり知られていないように感じます。

  • 松原

    知識がないとリスクとベネフィットが分かりませんよね。その人の状況によってリスクもベネフィットも違ってくるので、それを評価してくださるのが医師です。正しい知識を身に着けること、そしてパートナードクターを持つことが大切です。
    正しい知識を身に着けるには、医学的根拠に基づいた情報が得られることが大切で、「女性の健康検定」などを活用していただくことも良いかと思います。
    信頼できる婦人科のパートナードクターを見つけることは、生涯にわたる健康管理について相談できるミカタができることでもあります。