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連載:教えて!お金のあれこれ 第4回 ふるさと納税の概要について解説!

教えて!お金のあれこれ

木元 貴祥さん(きもと たかよし)

パスメド ‒PASS MED‒ 代表 https://passmed.co.jp/

1986年生まれ 滋賀県出身
日本イーライリリーのMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の薬理学講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。
現在はSkypeを利用した薬学生向けのオンライン家庭教師や看護師国家試験対策予備校講師業の他、下記サイトの運営を行っている。

●運営サイト

  • ・新薬情報オンライン:https://passmed.co.jp/di/
    新薬の作用機序等を分かりやすく解説。月間アクセス数10万PVの人気サイト
  • ・メディカルタックス:https://passmed.co.jp/setsuzei/
    医療スタッフ向けの節税・資産運用について税理士・薬剤師・FPが解説
  • ・パスメド薬学部試験対策室:https://passmed.co.jp/pharmacy/
    無料の演習問題2000題以上。薬学生向け、試験対策サイト

●著書

同効薬おさらい帳

パスメド –PASS MED- を運営している木元貴祥(きもとたかよし)です! 暑くなってきましたので、熱中症にはご注意くださいませ。
さて、これまで3回に渡って薬剤師向けに身近な税制を解説してきましたが、今回は最近よく耳にする「ふるさと納税」の概要とそのお得さについて解説していきます。

ふるさと納税の概要

ふるさと納税はサラリーマン薬剤師や自営業・個人事業主の薬剤師まで幅広く利用することができる制度です。
一言で表すなら「自己負担額2,000円で特産物(返礼へんれい品)が貰える制度」というところでしょうか。
元々は第二次安倍内閣の「地方創生」という政策キーワードから発足し、地方と大都市圏(東京都等)の税収格差を無くすことを目的としたのがふるさと納税です。大都市圏の税収入を地方に分配することで格差を減らし、かつ地方を活性化させる素晴らしい制度ですね。

ただ、最近では特産物の過熱化でこの理念や目的が置き去りにされている気がしてなりません。ただ単に還元率の高さだけで特産物を選ぶのではなく、皆様にはふるさと納税の理念・目的を理解したうえで上手に活用していただければ嬉しく思います。

さて、ふるさと納税には”納税”という言葉がついていますが、実際には地方自治体への”寄付”のことです。
通常、納税する先は国(所得税等)か自身が住んでいる自治体(住民税等)にしかできませんが、ふるさと納税は恩返しや応援したい地方自治体にあなたの意志で寄付(納税)できるのが大きな特徴です。

地方自治体もふるさと納税で集まった寄付金の使い道を自由に選択(例:子育て、施設の拡充、道路整備、観光業のバックアップ等)することができますし、もちろんあなたがふるさと納税時に指定することもできます。こういったフレキシブルなところも魅力的だと感じますね!

ふるさと納税の仕組みと限度額

ふるさと納税の大まかな仕組みを作図してみました(図1)。

手順としては以下です。

①自治体を選んでふるさと納税(寄付)をする
②特産品(返礼品)が貰える
③税金が安くなる(返ってくる)

このように、ふるさと納税は実質2,000円の自己負担で返礼品が貰える制度です。また、貰える返礼品の値段はおおよそ寄付金額の「3割程度」と決められています。例えば、1万円を寄付して貰える返礼品は約3,000円前後の特産品ってことですね。

期間としては、その年の1月1日~12月31日で、この期間内であれば何度でも寄付することが可能です。ただし、自己負担額を2,000円にするには寄付金の上限が設けられていますので注意が必要です。これはあなたの年収、世帯(家族の有無や収入)、所得控除・税額控除の状況によっても異なり、限度額を超えてしまうと自己負担額も2,000円を超えてしまいます。

ご自身の限度額の目安については総務省のホームページに掲載されていますので、まずはこちらをご確認ください。

総務省|ふるさと納税の仕組み
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html

上限額の目安例としては以下の通りです。

●年収550万円
●独身
⇒ふるさと納税の上限額:約69,000円/年

●年収700万円
●妻は専業主婦
●幼稚園の子供1人
⇒ふるさと納税の上限額:約108,000円/年

ただし、以下の例のような所得控除や税額控除が多数ある場合にはふるさと納税の限度額は低くなりますのでご注意ください。

○所得控除:生命保険料控除、小規模企業共済等掛金控除(iDeCo)、医療費控除等
○税額控除:住宅ローン控除等

上記の控除も加味した上で正確な限度額を調べるには「楽天ふるさと納税」や「ふるさとチョイス」といったふるさと納税専用のホームページの利用が便利ですよ。所得控除や税額控除の他、家族構成や家族の年収・所得等も入力できますのでより確実な限度額が把握できます。

ふるさと納税のお得さ(節税効果)

では、ふるさと納税をすることでどれだけお得になるのでしょうか?
ふるさと納税で寄付したお金は、後述する確定申告を行うことで

○所得税からの控除(指定口座に振込まれる)
○住民税からの控除(次年度分が減額される)

という感じで手元に返ってきます(図2)。

とある一例をシミュレーションしてみました。イメージは(図3)の通りになります。

控除額の例(所得税率10%の場合)
年間のふるさと納税寄付金額が80,000円の場合
●所得税の控除額は7,800円:(80,000-2,000)×10%
⇒上記金額が確定申告後に銀行口座に振込まれる
●住民税の控除額は70,200円:(80,000-2,000)×90%
⇒上記金額が来年度の合計住民税から減額される

◉合計の控除額は78,000円!
◉貰える返礼品は24,000円相当(80,000×30%程)

このように返礼品を貰いながら節税もできるのがふるさと納税の大きなメリットですね!

ただし、ふるさと納税したお金はすぐに手元に返ってくるわけではなく、「所得税は口座振込み」、「住民税は次年度の減額」という形で安くなるので、効果を実感しづらいといった面もあります。

ふるさと納税の申告方法:確定申告かワンストップ特例制度

さて、ふるさと納税を行った場合、どのように申告するのか簡単に解説します。方法としては以下の2通りがあります。

①確定申告
②ワンストップ特例制度の利用

確定申告に馴染みのないサラリーマンでしたら、2のワンストップ特例制度がおススメです。利用するには条件があって、以下の2条件に該当する場合、ワンストップ特例制度が利用可能です(図4)。

○年間のふるさと納税先の自治体数が5か所以下
(※A市×3回は1か所とカウント)
○確定申告が不要な給与所得者

年間で寄付する自治体が5か所以下ならワンストップ特例! というイメージですね。
具体的な手順や方法についてはブログの記事で解説していますので、気になる方は是非ご確認ください☆

ふるさと納税のワンストップ特例制度の具体的な申請方法を解説!
https://passmed.co.jp/setsuzei/furusato-one-stop

まとめ

最後にふるさと納税のまとめです。

●理念は「ふるさと納税で『地方創生』」。
●自己負担2,000円で何回でも寄付が可能(上限額には注意)。
●返礼品(特産物)が貰えて税金も安くなる。
●節税・節約にぴったり!
●申告方法は確定申告かワンストップ特例制度。

ふるさと納税は地方創生の想いがあって始まりました。そのお得さで最近では理念が忘れられて還元率の高い返礼品ばっかりを追及するような捻じ曲がった制度になりつつあるのが悲しいところです。

是非、本記事をご覧のあなたは利益追求ではなく、地方の支援とご自身の節税・節約の手法としてふるさと納税を上手に利用してもらえたら嬉しく思います。

本記事の詳しい解説は以下で配信中!

●メディカルタックス:ふるさと納税の理念や概要について解説!薬剤師・看護師の節税・節約にぴったり!

https://passmed.co.jp/setsuzei/furusato-donation