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報告 東洋医学的体感施設 くすきの杜 訪問レポート

2020年6月1日、漢方を中心に未病改善、健康や美容の幅広いお悩みを解決してくれる一大スポット「東洋医学的体感施設 くすきの杜」が佐賀県伊万里市にグランドオープン! 東洋医学に特化したこれほどの規模の施設は全国的にも珍しく、漢方や東洋医学に興味がある方はもちろん、そうでない方もぜひ気軽に訪れてみてほしい。平野社長ナビゲートのもと、施設の魅力をお届けする。

まず「くすきの杜」という名前について。「くすき」とは古来の日本で「薬」という言葉の語源となっていて、「奇(く)すしき力を発揮するもの」という意味がある。ちなみに、楠(くすのき)も、くすきが語源。エントランスで来訪者を出迎えてくれる看板も、地元農家さんから寄贈してもらったという立派な楠だ。

くすきの杜が提案したいのは、施設のテーマにもなっている「心身日々良好」。心も体も日々心地良い状態で過ごせることが「健康」であるということ、と平野社長。平野社長は奥深い漢方の世界に魅せられ、本場中国やシンガポールなどにも足繁く通い、東洋医学に造詣が深い。施設は「心と身体の両面から健康と美容の増進、未病の改善を目指す東洋医学的体感施設」と定義され、病気でも健康でもない状態の人が、ここに来ることによってどんどん健康になることを願って作られた。

見学に来ていた近くの幼稚園の子どもたち

園内はたくさんの竹で仕切られている。竹は、古来悪いものを祓う働きがあると言われており、「清められた空間にしよう」という施設の目指すイメージにぴったりだ。また敷地内には約200種以上の薬木や薬草が植えられていて、それぞれに説明の看板を設け、QRコードを読み取ると、漢方薬としての利用方法や使用された商品の情報などが分かるようになっている。そこには、シニアはもちろん子供にも薬草のことを身近に感じてもらい、勉強してもらいたいという想いがある。ゆくゆくはスタンプラリーも開催したいとか。

地域の人を巻き込んで、町全体がいきいきと健康になっていくイメージが思い浮かぶ。
不調がある人もない人も、誰でも気軽に立ち寄れる健康スポットは、伊万里の新しいランドマークになりそうな予感だ。

  • 案内人 平野 智也社長

  • 天地人のマーク

    天も地も人も、互いに循環しあいながらバランスを取って生きるべきだという教えをモチーフにしている。上の青が天を、下の茶色が地を、間の緑が植物や人間などの生き物を表している。

  • 石盤

    古い東洋医学の教えで、時間と健康の関係を説いた学問。良い漢方薬も健康法も、季節や時間によって効果的なタイミングがあるという。
    例えば早朝4時頃の「寅の刻」は、一番肺が活発になるので、ここで太極拳や呼吸法を取り入れたエクササイズを提案する。早朝6時あたり「卯の刻」は大腸が一番盛んになるので一杯のお水を飲んで朝のお通じを。朝8時あたりの「辰の刻」は胃が一番活発になる時間のため、朝ごはんをしっかり食べましょう、といった教えがあるそう。特に現代人が気を付けるべきは「丑の刻」(午前1時~2時頃)。大事な肝臓に悪影響を及ぼしてしまうので、この時間まで働いていると早死にすると言われているとか……。

  • ゆうゆう広場

    香港の風水師(香港では国家資格!)に依頼して入念に土地を清めてもらったり、どの方角に植物を植えるかを考えたりしている。水路でぐるっと囲われているのも、浄化された場所として保つための境界線。ぜひ裸足になって、体の悪いものをアーシングしてみてはいかがだろう? レンタルスペースとしても利用可。

  • 回生薬局本店

    処方せん調剤はドライブスルーと通常の受付の両方が可能で、新型コロナウイルスの感染拡大防止に注意が必要な今も、非常にニーズが高い。時間外電話対応可。人目を気にせず相談ができる部屋も設けられている。

  • 漢方未病薬舗

    健康セレクトショップ。お薬で治療中の方は処方せん調剤に、特に症状が無い方には普段の食生活から気を付けてもらう目的で、添加物の少ない健康食品などを扱っている。もちろん医薬品やOTCも有り。
    商品は平野社長や働くスタッフ自らが食べたい、自分たちの家族にも勧めたいと思うものがずらり。生活習慣病のお悩み提案ごとにレイアウトされていて、とてもおしゃれだ。しっかりとした漢方相談をご希望の方は、漢方相談コーナーまで。

こだわりのポイント

  • 漢方薬の原材料となる
    生薬一つひとつをご提案

    例えば、自分の一番気になる症状でオリジナルの健康茶をアソートしてみたいという方はぜひお気軽にご相談を。好みに合うものから季節のおすすめの生薬まで提案可。
    毎日飲める、健康の基本作りにぴったりな「からだととのえ茶」もおすすめ。現在は地元農家さんたちに薬草を育ててもらい、それを商品化するという流れも構築しているところ。

  • 管理栄養士が常駐

    例えば血糖値や血圧が気になるときはどういうものを食べたらいいのか、などの栄養相談をしながら食材を選べるコーナー有り。血糖値が気になる方向けの健康総菜を、現在開発中(サバの味噌煮や卵焼きの真空パックなど)。

麗美堂

化粧品の販売ももちろん、ヘッドスパなどのエステサロンのサービスにも注力。2Fには陰陽五行のテーマに合わせた5つの部屋があり、1Fには「太陽の間」と「月の間」という発汗系、リラクゼーション系のサロンが2つある。アーユルヴェーダも現在準備中。大正ロマン的な建物も素敵。

2Fについて

陰陽五行の5要素「木火土金水」がテーマ。

○ 木行(肝に相関)……デトックスの足湯サービス。
○ 火の間……よもぎ蒸し(体の内側から悪いものを燃やす)
○ 土の間(お腹)……高周波温熱機器。服を着たままでOK。非常に人気が高い。
○ 金行(肺・呼吸に相関)…… 酸素カプセルの部屋。酸素そのものの供給というよりは室内を高気圧にすることで血管の中に酸素が入る効果を増大させるのが目的。
○ 水行(骨)……歯のセルフホワイトニング。治療はできないので、歯医者さんへ。

  • 回廊

    雨の日でも濡れずに移動可能。いずれはここでマルシェを開催したり、地元農家さんの野菜を販売したりすることを検討中。

  • 鍼灸院

    体の中からはもちろん、体の外からも健康にアプローチ。薬剤師資格を持った鍼灸師が日々の健康をサポート。

寺子屋 楽

1Fは多目的のセミナールームで、レンタルスペースとしても利用可。4部屋あり、ヨガや漢方などの講座開催、子供たちの自習室など幅広い活用が期待できる。簡易キッチンもあるので料理教室にも対応可。ママに嬉しい授乳スペースも完備。さまざまな活用を通じて専門家同士のコミュニティが育つことも平野社長は願っている。

  • 薬草工房

    薬草をお茶に加工したり、総菜を作ったりする製造メインのスペース。ここで作られたものは、漢方未病薬舗の店頭に並べられる。イートインなどの寛ぎスペースとして運営することを検討中。

  • ドッグラン

    ペットが十分のびのびできるスペース。くすきの杜ではペットの未病、食生活の改善などの健康相談や生薬を使ったペットフードなども提案する。

  • RVパーク

    宿泊可能スペース。早くもキャンピングカーで来る方が。ネットで予約可。

  • モデルハウス

    住医学研究会が提唱する、「住んで健康になる家」。建物内の機密度を上げ、壁漆喰などで家自体が呼吸するような作りになっている。輻射熱で温度調整でき、一年を通して快適な温度を保てる。漆喰効果で空気も綺麗で、埃も溜まりにくいのが嬉しい。

  • 薬草園

    100種類ほどの薬草やハーブを育て、地域の方に見てもらうモデル農園。オーナー制の薬木や苗の販売も行う。来春には薬草が増えている予定。

  • 杜のウォーキング 散歩道

    薬木に囲まれたウォーキングコース。膝や腰などが悪い方が、施設の作業療法士と一緒に負担の掛からない歩き方を練習することも。

  • 神農櫓(しんのうやぐら)

    くすきの杜のシンボル。「神農さん」という、漢方薬の神様と呼ばれている人物にあやかって名付けられた。

櫓からの景色

施設の敷地は広々としているが、住宅地に囲まれた場所にある。シニアの方にとっては田舎よりも街の方が何かと便利と感じた平野社長は、街中に人生100年のセカンド、サードライフを支えてくれる場所があれば、と考えた。

施設データ

くすきの杜
〒848-0027
佐賀県伊万里市立花町3520-6
TEL:0955-20-4082
営業時間:9:00~19:30
休業日:第2水曜日
※ 各施設の営業時間、休業日、連絡先はくすきの杜Webページをご確認ください。