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独立 成功者に聞く薬剤師の独立開業って?

自分にぴったりの働き方、プライベートとのバランス、収入アップ……

理想の生活を叶えたい方にとって、転職以外に「独立」も1つの選択肢になるのではないでしょうか。

今回は、ニューロンネットワークのグループ薬局制度を利用して独立された杉原さんにお話を伺いました。

第3回 2019年1月 開業ニューロン薬局東淡路店 代表

杉原 友和さん(大阪府)

1999年 東邦大学卒業
2019年1月 開業

POINT
  • ・スタッフを派遣してもらえるのがグループ薬局制度の利点。
  • ・周囲に頼りきりにならず、自身でも勉強してお金や経営の流れの把握を。
  • ・新型コロナウイルスの影響もあり、薬局はより厳しい状況へ。これから独立される方は大きな覚悟が必要。

―独立に際し、ニューロンネットワークのグループ薬局制度を選ばれた理由を教えてください。

独立するための色々な方法を考えましたが、グループ薬局制度での独立は偶然のご縁だと思っています。かねてより独立したい気持ちがあり、経営大学院で勉強しながら独立の準備をすることも考えましたが、ちょうど前職を辞めようか悩んでいるときに、ユニヴさんからグループ薬局制度の話を頂きました。周りの状況を見ていると、独立するためには肉体的・精神的にかなり体力が必要ですし、年齢的にも40代の今でないとできないのではないかと思い応募しました。
紹介してもらった薬局と隣接する整形外科がある地域を一度現地で確認し、収支計画書も確認し、将来的に成長が見込める薬局と実感したため、契約させていただきました。

―働くスタッフの採用はどのようにされましたか?

立ち上げ当初から1人の事務スタッフを派遣してもらいました。グループ薬局制度の利点の1つだと思っています。
一般的に立ち上げ当初は処方せん応需枚数も少なく、調剤やその他の業務全般を1人で対応できると思っている方も少なくないと思います。ですがもし、処方せんを持った患者さんや相談を受けたい患者さんで薬局が込み合った場合、1人だと患者さんを待たせてしまいます。待ち時間が長いと「あそこの薬局は出すのが遅い」と噂を立てられてしまうかもしれません。そんな事態を避けるために、是非に及ばず力を借りることにしました。グループ薬局制度では、薬剤師や事務スタッフが足りなかった場合、1人経営でもどうしても外出が必要な場合、急病の場合などはスタッフの応援を依頼することが可能だったため、薬局立ち上げの際にはかなり心強い制度でした。
今年の9月には直接雇用でパートの薬剤師を雇いましたが、これからもグループ薬局制度を活用しながら、将来的には全スタッフを自分自身で採用し薬局を運営していくことを目指しています。

―お店のデザインがとても素敵だと思ったのですが、ご自身で内装を考えられたのですか?

内装のデザインは契約前にすでに概ね手掛けられている状態でした。備品に関しては内装に合わせて自分で購入しました。壁の装飾や掲示物用のマグネットや椅子など、お子様にも親しんでもらえるように選んでいます。良い意味で「薬局らしくない薬局」って言われます。

―独立されて苦労したエピソードなどがあれば教えてください。

あえて言うなら立ち上げ前の約2 ヶ月間は特に大変でした。当時は愛知に住んでいたので、仕事をする傍ら休日に大阪に来て行政手続きなど立ち上げの準備をして、愛知に戻って仕事をして……の繰り返しでした。もちろん、仕事以外の時間は自宅で融資や行政手続きの書類などの作成や購入備品の選別などをしていました。空き時間にはさまざまな業者の方と打ち合わせを行っていたため、十分な睡眠を取ることもままなりませんでした。

大阪に移ってからは、月曜から土曜までは掛かりっきりで隣接する整形外科で調剤をしていました。院内の調剤では、処方のおおまかな癖や先生の患者さんに対する指導の仕方などを学びました。2ヶ月間は時間刻みのスケジュールで無事に薬局を立ち上げられるのか不安でしたが、薬局がオープンした時点で、薬局を利用いただく患者さんとは既に顔見知りの状態だったので、薬局に来られた方が「あの人だ!」という反応だったときはとても嬉しかったです。

―働きながら遠方での立ち上げ準備は大変でしたね……。現在は、お休みはしっかり取られていますか?

薬剤師は私1人だけなので身体だけは大事にしようと思い、閉店後は遅くまで残らず帰宅し十分に休息を取っていますが、その代わりに早朝に仕事をしています。売り上げが思うように上がらないときは、あれやこれやといろんなことをしてしまいがちですが、基本的に私自身もスタッフも残業をしない・させないよう心掛けています。この店舗が大きくなったときに、業務が複雑で残業ありきのお店になりたくない気持ちがあるからです。

―開局準備で気を付けるべきことがあれば教えてください。

実際に創業してみると実感しますが、「ヒト・モノ・カネ・情報」の「足りない感」は身に染みてわかってきます。できるだけ初期投資を抑えるために自ら調べて行動する、備品や設備などは良いものでもより安いものがないか探すなど、細かい自助努力をしないとすぐにお金は無くなってしまいます。私は今回、日本政策金融公庫で融資を受けたのですが、融資が下りるまでは書類提出から3週間ほどかかりました。経営の経験がなく、無担保で一薬剤師が融資してもらえるのは、おそらく1,500 ~ 2,000万円が限界だと思います。そのため、周囲に頼りきってしまうと投資金額が膨れあがることもあるので、自分である程度問題解決できるように最低限勉強し、失敗してもいいから能動的に動くという心構えが大事かと思います。

―月次決算の作成は税理士にお願いしていると伺いましたが、税理士はどう選んでいますか?

経営状況をきちんと理解していただける体制を取った方が良いと考え、私はニューロンネットワークの現顧問税理士にお願いしています。税理士にお願いしたい内容は、人により異なると思います。税理士を個人で選ぶ場合、依頼料の相場はどこも大差無いので、相性で選任するのも良いかと思います。私は自己責任の意識を高め、よりスムーズに税理士と会話ができるよう、自分でも財務管理を学びました。その甲斐もあり、銀行融資の書類作成は情報収集や書類作成は自分で行い、税理士にチェックしてもらい、銀行に提出しています。

―新型コロナウイルスの影響が少なからずあったかと思うのですが……?

コロナの影響で当然調剤の売上は下がったのですが、全国的に深刻なマスク不足で、1箱50枚入りが数千円という時期に10万枚を超える枚数を売ることができました。売上のカバーに繋がったどころか、私の薬局が地域から認知されるきっかけになりました。”災い転じて福となす”とは、まさにこのことですね。ある日には、薬局の入り口から建物の敷地を100メートルほどの行列で取り囲まれるまでになりました。物があふれている時代の中、こんな小さな薬局ではなかなかお目に掛かれない光景ですよね。地域の伝説になりました。さすがに3密を促進してしまいそうになるので、それを機に予約制に変えましたが……。
そんな状況下でもマスクを入荷できたのは、大阪商工会議所を通じて仕入業者を探すことができたからです。大阪商工会議所に入会した目的は、今回のような仕入業者を見つけるため、経営に関する情報を得るため、人との繋がりを持つため、融資のためのサポートや利率の優遇などを受けるためなどです。ニューロンネットワークでは年に1回グループ薬局のオーナー会があり、そこでいろいろ話をして情報を仕入れることもあります

―これから独立される方へ、コロナ禍だからこそお伝えしておきたいことはありますか?

コロナ禍以前のような調剤薬局ビジネスは通用しないと考えたほうが良いかもしれません。オンライン診療(オンライン服薬指導)の解禁や安易な受診を控える傾向、世の中が” 違う病院より、かかりつけの病院にお世話になる方が安心だ”という傾向になりつつあります。そして今後はより特徴がある病院や薬局が選ばれるようになるでしょう。

それに今は薬局自体の件数が多く、調剤報酬の切り下げなども進み、さらに厳しさが増していきます。そのような逆風の中でも起業したいとお考えならば、相当覚悟して臨んでほしいです。「経営が軌道に乗るまではアルバイトくらいの収入でも頑張るぞ」というくらいの気持ちでないと、すぐ資金が無くなり事業自体が潰れてしまう。しっかりとした事業計画と入念な調査のもとで、医師など医療従事者と連携を図り、薬剤師本来の仕事をしつつ売上を伸ばしていくという心構えでいた方が良いのではないかと思いま す。
私は、1年目は幸いにも先行き好調でしたが、2年目早々にコロナ禍となってしまいました。調剤件数が減ってきて時間を持て余し、将来に対する不安がすごく大きくなって、モチベーションを保つことに非常に苦労しました。おかげさまで今では持ち直し、さらに前年を大きく超える売り上げを確保していますが、油断禁物ですね。

―独立に際しておすすめの勉強法があれば教えてください。

私の場合、持っている知識は前職で必要に迫られて勉強したものがほとんどです。新規事業を立ち上げるときには中小企業診断士の本を購入してひたすら読み漁り、行政手続きや薬局の許認可を取る業務のときは行政書士のeラーニングをしたり、企業の内部統制整備の業務のときは、休日や仕事が終わった後に公認会計士のスクーリングに通ったりしました。

現職でそういう業務に就ける環境ではない方には、スクーリングがお勧めです。しっかり勉強するのであれば中小企業診断士のスクーリングなどに飛び込んで、ある程度企業経営の概要を知っておいた方が良いのではないかと思います。
あとは、何か1つでも資格を取得しておくなら簿記2級がお勧めです。商業簿記、工業簿記の勉強はいざ経営するとなったときにお金の流れが理解しやすいかと思います。

―最後に独立されて気づいたこと、 ご自身や薬局の今後の展望をお聞かせください。

薬剤師でもあり経営者でもあるので、まずはこの地域の方に必要な存在になるよう努めていきたいです。経営的には、余裕ができたら2店舗、3店舗と増やして、経営の効率を上げたいと思います。今はようやく少し利益が出たところなので、もう少しお金の余裕を持たせてから店舗を拡大し、薬局だけでなく多角的な経営ができたらと思っています。

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