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スポーツファーマシスト学習記録

第16回「女性アスリートの大敵『無月経』」

こんにちは。新米スポーツファーマシストのシトロンです。

早いものでもう一年が終わってしまいます。この記事が出る頃には年末年始の準備に大忙しというところでしょうか。

大掃除・年越しそば・おせち料理・初詣……いろんな言葉を連想すると思いますが、私が今回取り上げたいのは「駅伝」です。

 

駅伝というと1/2~3に行われる「箱根駅伝」の印象が強い方もいると思います。実はこの前日元旦にも駅伝が行われているのをご存知でしょうか?

それが「全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)」です。今回は東京オリンピックで注目されたあの選手が出場することで話題になっています! 気になる方は是非チェックしてみてください。

そして女子の駅伝も逃してはいけません! 12/30には全日本大学女子駅伝(富士山女子駅伝)が行われます(女子実業団に関してはクイーンズ駅伝が11/27に終了してしまいました)。

年末年始お休みの方も多いと思います。この時期頑張っているアスリートを応援する、そんなお休みの過ごし方はいかがでしょうか?

 

それでは本題に移ります。今回のテーマは「無月経」についてです。

女性アスリートの活躍が増えている一方で、考えなければいけない問題もあります。スポーツに関わる身として、知っておいてほしいことをシェアします。

 

近年スポーツ界では女性アスリートの問題として女性の三主徴が取り上げられています。

三主徴とは利用可能エネルギー不足・骨粗しょう症・視床下部性無月経(運動性無月経)のことを指します。これらは女性アスリートの健康管理上の問題点とされており、主に激しいトレーニングが誘因となるとされています。それぞれの発症が繋がっていること、これらが将来妊娠や出産に悪影響を及ぼすことが知られています。

では、「視床下部性無月経」はどうしてダメなのでしょうか?

月経に関しては「無いほうがいい」と思っている女子アスリートが少なくありません。

確かに、月経が来なければ月経痛や月経前症候群(PMS)などによる体調不良を経験することもありません。選手が月経による体調不良を訴えても理解してもらえない現場がまだまだあることも事実です。

 

けれど、女性にとって月経は正常な発育に欠かせないものです。

無月経状態になって一番問題視されているのは「骨粗しょう症」です。

思春期は骨密度が最も増加する時期です。この時期に月経が起こらずエストロゲンが低下すると、疲労骨折を起こしやすくなります。また将来骨粗しょう症を発症するリスクも高くなります。

もし選手と話している中で「そういえば最近月経来ていないかも」というお話があったら、まず状況を確認してください。3ヶ月以上月経が遅れていたり、15歳になっても月経が来ないようであれば、早めに産婦人科受診することを推奨します。

私も選手に「周りにも同じような選手がいるから大丈夫」と言われたことがあります。しかしそれは通用しません。携わるスタッフは選手の将来のことまで考えて対応しなければいけないと思っています。

 

女性アスリートの問題に関してはまだまだ語りたいことがあるのですが、今回はこの辺りで。おそらくまた書くと思いますが、その際はお付き合いください。

 

2022年もお世話になりました。

来年も今まで同様さまざまな内容を発信していきたいと考えています。

みなさんの知識に、そして現場に少しでも役立てば幸いです。

 

それでは良いお年をお迎えください。

以上、シトロンでした。