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薬剤師 吉田節子が教える!アロマテラピー

第1回 アロマことはじめ

今回よりアロマテラピーに関するコラムを書かせて頂くことになりました。香りは目に見えないものですが、アロマの魅力を少しでも多く、皆様のもとにお届けできるように微力ながら努めさせて頂きます。

アロマテラピー(aromatherapy)とは直訳すると「芳香療法」という言葉になります。日本では医療としてまだまだ認知されていないですが、もともとはフランスの化学者であるルネ・モーリス・ガットフォセ(Rene-Maurice Gattefosse 1881~1950)が、実験中に大やけどをしてしまい、とっさに近くにあったラベンダーの精油を患部にふりかけたところ、かかった部分が目を見張るほどの回復を示したために、「香りのある物質には何らかの治療効果があるに違いない」というガットフォセの確信からできた造語なのです。

その後、アロマテラピーは主にフランスでは医療の一環として、イギリスではマッサージなどと組み合わせたリラクゼーションの手段として、それぞれ大きく体系化が進んでいきますが、日本ではいつ頃アロマテラピーの認知が進んだのかというと、1995年に起きた阪神淡路大震災が一つの大きなきっかけになったと思います。
未明に起こった突然の大惨事に為す術もなく、多くの方々が心身ともに傷ついた被災地の避難所で、植物から採れた香り成分(=精油)を植物油で薄めたものを使ったハンドマッサージのボランティアが人知れず広まり、その心地よさに自ずと癒しが広がっていったのです。私自身も神戸に縁が深い人間ですので、その時の避難所の様子を伝え聞き克明に覚えているのですが、実際にハンドマッサージを受けた人が「心にぽっかり穴があいて、地震の後の数日はなにも感じず涙も出なかったのですが、香りのハンドマッサージを受けた途端、良い香りに包まれてなんだか温かい気持ちになり、初めて久しぶりにボロボロ泣けました」とコメントされていました。―タッチングの作用でふれあうだけで癒されるのが人。そして自然の香りにより心が動かされるという相乗効果。これこそが、アロマテラピーの醍醐味ではないかと思います。特にメンタルヘルスの重要性が大きな課題となっている我が国・日本において、心身ともに働きかけるアロマテラピーは、大きな鍵を握っています。

初回のコラムなのでとても真面目なお話になりましたが、最後に精油についての注意事項を一つ。精油とは、植物から抽出した香りの揮発性の液体のことで、エッセンシャルオイル(essential oil)とも呼ばれます。アロマテラピーを行う上で欠かせない、青や緑、茶色の遮光瓶に入った香りの小瓶ですが、皆さんはどこで購入されますか?よく似たものを100円均一ショップなどで見かけますが、残念ながら100円均一には精油はおいていないと思います。安すぎるもののラベルをよく見ると「アロマオイル」とか「アロマエッセンス」などと書かれており、決して「精油」や「エッセンシャルオイル」とは書かれていないのです。本当に植物由来100%のものにしか、精油とは記せませんし、ましてやアロマテラピーとして使う場合、人工香料を使うわけにはいきません。ぜひともみなさんには品質の良い天然の植物100%の精油で、自然の恩恵を感じられる芳香療法を実践してほしいので、精油の購入はアロマテラピーショップでアドバイスを受けながらお求め頂くことをおすすめ致します。

それでは心豊かなアロマライフを楽しんで参りましょう!