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薬剤師 吉田節子が教える!アロマテラピー

第7回 基材を学んでアロマを上手に使いましょう ― その2

今回は前回に引き続き、基材についてお話しします。上手にアロマを使うためには、適度にうすめるさじ加減がとても大切になってきます。前回は親油性基材でしたので、今回は親水性基材についてご説明します。

親水性基材とは
精油は親油性ですので直接的には溶解しませんが、いったん薄めた精油をさらに希釈する時に使います。

・水・・・単に「水」と言ってもいろいろあります。水道水や蒸留水、ミネラルウォーターもありますよね。アロマテラピーでスプレーなどを作る時に私自身が一番使いやすく簡単に手に入るものと言えば、軟水のミネラルウォーターか、もしくは浄水器で濾した水かも知れません。
水道水だと殺菌のための塩素の匂いがすることがありますし、カルキで香り成分が包まれてしまい本来の香りを楽しめない可能性があります。その点、ミネラルウォーターでしたら湧水などをろ過しているだけですから安心ですし、ペットボトルに入っているため講座で使う時にも重宝します。間違って海外産などに多い硬水を使わないように注意しましょう。硬度とは、水1リットル中に含まれているカルシウムイオンとマグネシウムイオンの量を表すもので、この硬度が低ければ軟水、高ければ硬水というように分類されています。一般的に120㎎/L以上を硬水と呼びます。硬水を使うとカルシウムなどのミネラル分が多く含まれるため香り成分がマスキングされたり、精油が溶けにくく析出してしまう場合があります。
・フローラルウォーター(芳香蒸留水)・・・ラベンダーウォーターやカモミールウォーターなどの言葉を聞いたことがありますでしょうか。植物を蒸留した際にできる油層部分は精油ですが、下にたまる水層部分をフローラルウォーター(芳香蒸留水)と呼びます。フローラルウォーターはそれだけでもかすかに良い香りがします。精油成分よりも芳香成分が希釈されており、肌につけても安心なものが多いため、そのまま化粧水代わりとして使われることもあります。例えばバラの精油は非常に高価ですが、ローズウォーターは比較的安価な上、ほのかなバラの香りが楽しめるために愛好家がいたりします。パックやヘアケアなどのアロマアイテムを作る時に少し使うだけで、使用感や香りが格段に良くなることがあります。
精油に比べて芳香蒸留水はたくさん採れるので非常に安価です。しかしながら、水なので保存状態が悪いとすぐに腐ってしまいます。芳香蒸留水を使ってナチュラルケアを楽しむ場合は鮮度と保存状態の良いものを、また、防腐剤などが入っていないものを選びましょう。
余談ですが、私はお産直後、化粧水代わりとしてカモミールやオレンジフラワーの芳香蒸留水を使っていました。使う度に気持ちが和らぎ、肌にも心にも自然の見えない栄養が入っていく感じがしました。ある時、赤ちゃんも癒されるだろうなと思い、娘のおしりふきに余ったカモミールウォーターを浸しておしりをふいてあげたら・・・香りを嗅いですぐに嬉しそうに眠ってしまいました。カモミールの鎮静作用を肌で体感した出来事でした。

次回はアルコールなどの基材についてお話しますね。