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薬剤師 吉田節子が教える!アロマテラピー

第17回 心潤すアロマテラピー

あんなに暑かった日々が嘘のように、秋らしく過ごしやすい季節になりましたね。暑い夏にはエネルギーは発散方向に向かいますが、涼しくなると体は蓄える方向へとシフトします。その時にうまく切り替えられないと、自律神経が乱れることがあります。特に、急に暑くなってくる時期や涼しくなってくる時期は、わけもなく疲れやすかったりしませんか?そんな時にぜひ、アロマテラピーを思い出してください。アロマテラピーは自律神経の調整に最適な自然療法なのです。

【アロマテラピーが自律神経に作用する理由】
これは嗅覚の伝達経路の特異性にあります。
芳香成分は、鼻粘膜にある嗅細胞の受容体に届くと嗅神経を通じて脳の嗅球に伝達され、大脳辺縁系に作用します。
この大脳辺縁系は「古い脳」と言われ、認識・知覚を司る大脳新皮質とは異なり、感覚や好き・嫌いの感情を司る部分です。 ― そうです。香りは人間らしい感情にダイレクトに作用するのです。ここが視覚や聴覚とは決定的に違うところです。
大脳辺縁系に伝えられた嗅覚刺激は次に下垂体(ホルモンバランスの中枢)に作用しますので、体内の免疫系・内分泌系・自律神経系のバランスを一気に整えることができるという仕組みなのです。

【自律神経を整える精油】
ここでは実際に自律神経調整作用が知られている精油をご紹介します。順番は私自身が最適だなと思う順にしていますので、悪しからず。

〇真正ラベンダー・・・シソ科 花と葉/水蒸気蒸留法
酢酸リナリル、リナロールという副交感神経を興奮させる二強を含む精油です。リラックスと言えばこれですよね。最近はラベンダーでも様々な品種のものがでていますので真正ラベンダーとしました。

〇ゼラニウム・・・フウロソウ科 葉/水蒸気蒸留法
バランスを整える香りと言えばこれです。女性に好まれるような柔らかい花の香りがしますが、実際は葉から採ります。最近は男性にも好む方が増えてきています。

〇ネロリ・・・ミカン科 花/水蒸気蒸留法
ビターオレンジの花の香り。柑橘・フローラルの両方の香りが混ざり合い、気分を適度に鎮静させます。少し高価ですが、ハマる人はとことんハマってしまう、素敵な香りです。

〇マジョラム・スイート・・・シソ科 地上部/水蒸気蒸留法
加温効果がある精油です。ハーブらしくもあり、スパイスのようでもある香りで、温かい気持ちにさせてくれます。ブレンドする際に何にでも合わせやすい香りと言えます。秋から冬にかけて重宝する1本です。

〇カモミール・ローマン・・・キク科 花/水蒸気蒸留法
リンゴのような香りがする、女性やこどもに好まれる香りです。アンゲリカ酸エステル類を多く含みますので、鎮静作用最大の香りと私は思っています。不安感がある時に使うとよいでしょう。

〇ヒノキ・・・ヒノキ科 木部/水蒸気蒸留法
日本産の木のぬくもりを感じられる香りで、男性やご高齢の方にもなじみある香りです。メーカーによっては葉や枝から抽出されている精油もありますが、副交感神経を優位にさせたい時には木部から採ったものをおすすめします。

〇オレンジ・スイート・・・ミカン科 果皮/圧搾法
オレンジの皮の明るい香りです。こどもからお年寄りまで、全ての方に受け入れられやすい1本です。安心感を得ることができますし、自然の抗菌作用もあり免疫力が高まることも知られています。

いろいろご紹介しましたが、一番大切なことは「その時に心地よいと感じる香りを選ぶこと」。自分の脳が、一番必要な香りを知っていますから。

【おススメの使い方】
・お風呂に
・温シップ
・手浴/足浴
・ティッシュにつけて香りを楽しむ
5分でもいいですから一人の時間に香りを楽しむのがコツです。

心の不調に一塗り!アロマローションの作り方
小さじ1/2杯のグリセリン(スイートアーモンド油などの植物油でも可)に、精油を合計2滴入れてよく混ぜます。10mlの容器に移し替えて7ml程度の精製水を入れてよく混ぜ合わせて完成です。

手でもこめかみでもおなか周りでも、どこにでも使えますし保湿にもなりますので、ゆっくりと一人の時間に塗りましょう。いつも頑張っている自分へのプレゼントとして取り組んでみてくださいね。