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薬剤師 吉田節子が教える!アロマテラピー

第47回 香りのメモリー 3.ティートリー

ティートリーの木はオーストラリアの先住民に大切にされてきた植物です。アボリジニたちが傷に効く伝承薬として、古くから親しまれてきました。ユーカリと同じフトモモ科に属していることからも、抗菌作用が高そうな気はしますが、それをまざまざと実感したことがあります。

それは15年ほど前、母と一緒にショッピングを楽しんでいたときのことです。アロマ好きな私は精油の取り扱いがある店の前を通ると、その頃から中に入らずにはおれませんでしたから、このときも母を引き連れてアロマショップに入りました。

当時としては精油の取り扱いが豊富なお店で、私はたくさんの小瓶を手当たり次第に手に取って、テスターの香りを楽しんでいました。また、そのお店はオーストラリアからの輸入品が豊富で、扱っている製品もオーガニック基準・化粧品グレードをクリアしていた精油でしたので、特にティートリーの香りは際立ってよい香りでした。

私が楽しそうに匂っているのを見た母は、同じように真似をし始めましたが、その途中で不運にも照明が手の甲に当たり、軽い火傷をしてしまったのです。

ちょうど2センチくらいでしたが、熱さで顔を歪めた母を見て、とっさにテスターのティートリー精油を振りかけました。大事にはしたくないので、お店を出てハンカチを水で湿らせて冷やしました。

そんなに酷くはなさそうだったので、しばらくショッピングを続けてカフェに入ったときに、母に「さっきのやけどの跡、どう? もう痛くない? 」と訊いてみると、改めて手の甲を見た母が驚きました。「精油をかけてくれたところだけ、全然腫れていないわ!」。

手を見せてもらうと、慌ててティートリー精油をかけた半分の箇所だけがなんともなく、後の半分は少し腫れて赤くなっているのです。

現在、わが国で取り扱っている精油はほとんどが雑貨ですし、化粧品グレード未満の精油を皮膚に原液塗布してはいけません。私も薬剤師ですから、その辺りはしっかりと守って指導をしております(笑)。しかしながら、やはり植物の力は凄いと感じざるを得ない経験の一つとして、今もしっかりと覚えている出来事なのです。

皆さんはティートリー精油に出会っても、マネしないでくださいね。変種も300くらいありますので、学名を見て選びましょう。

【ティートリー】
学名/Melareuca alternifolia
科名/フトモモ科
主産地/オーストラリア
蒸留方法/葉・水蒸気蒸留法