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薬剤師 吉田節子が教える!アロマテラピー

第48回 今、精油を選ぶなら……

世界的な蔓延となってしまった、新型コロナウィルスCOVID-19。その動向や対策について、実にさまざまな情報が飛び交っています。我が国で流通している精油やハーブは医薬品ではないため、疾患予防や効能効果は謳えません。しかしながら、敢えてセルフメディケーションとして今、精油を使いたいというお客様が来られたとすれば、どのような香りをおすすめするでしょうか?
アロマテラピーを語る薬剤師としては、こんなときだからこそ、アロマテラピーを暮らしに取り入れていただきたいと考えています。その理由は、香りが人間に作用するときのメカニズムを思い返せば、すぐに気づくことだと思います。この機会にもう一度、アロマの作用機序をおさらいしてみましょう。

<香りのメカニズム>

  1. ①香り成分が鼻の粘膜にある受容体に結合する。
  2. ②その刺激が電気信号(インパルス)として変換され、嗅神経を通じて嗅球に伝わる。
  3. ③その後、人間の根本的な欲求などを司る部分である大脳辺縁系に伝わる。
  4. ④大脳辺縁系に伝えられた嗅覚刺激は次にホルモンバランスの中枢と言える、下垂体―視床下部に作用して、さまざまな神経伝達物質を放出する。

→体内の免疫系・内分泌系・自律神経系のバランスを一気に整えることが可能。

このように、心地よい香りを嗅ぐと、体の「免疫力」をグッと高めることができるのです。

人間はさまざまな感染症と戦ってきた歴史があります。どの戦いにおいても言えることですが、感染する人もいれば、感染しない人もいます。また、感染しても症状の程度は人それぞれです。この違いはやはり一番簡単に言ってしまえば、個人がもつ「免疫力」の差と言えるでしょう。
自然な香りを感じる時間を習慣化できれば、それ自体がリラクゼーションやストレス緩和の観点からも免疫を高めることに繋がります。そこで、自律神経のバランスをとる作用が知られている香りをおすすめします。

【自律神経調整作用】……副交感神経を優位にし、免疫力アップに貢献します。
〇ゼラニウム
〇ローズ
〇パルマローザ
〇真正ラベンダー
〇カモミール・ローマンなど
温シップや加湿器など、使い方はさまざまです。

香りを生活に取り入れて、体の防御力を最大限に高めることがとても大切です。また、ストレス緩和にも役立ちますので、今こそアロマを活用しましょう。