薬剤師のための心と身体のスタイル提案マガジン ファーストネットマガジン

薬剤師 吉田節子が教える!アロマテラピー

第52回 香りのメモリー 7.ネロリ

今回は、私自身をアロマテラピーの世界に引き込んだと言っても過言ではない精油についてお話したいと思います。
ネロリという精油なのですが、何を隠そう、簡単に言ってしまえば「みかんの花」の香りです。厳密に言うと、ネロリ精油はビターオレンジの花から水蒸気蒸留法により採れる精油ですので日本のみかんとは少し違いますが、精油を一嗅ぎするとシトラス系・グリーン系・フローラル系の香りが相まった、爽やかで甘い香りがします。

みかんの花というと、どこか牧歌的でとっつきやすいイメージがありますが、ネロリ精油の価格はちょっと手が届きにくく高価です。1mlで数千円といったものがほとんどで、ローズ精油と合わせて二強という感じがします。
しかし、それでも嗅いでみたいと思うファンがたくさんいると思います。一番よく使われる用途としては、シワ対策のコスメです。ネロリ精油には細胞成長促進作用や肌のキメを整えてハリを持たせる作用があると言われているため、アンチエイジング向きのコスメや、妊娠線予防のためのクリームに使われることがあります。また、精神的には不安感を和らげる作用が知られていますので、明るく前向きになりたいときに手助けしてくれる香りと言えます。

ビターオレンジの花の香りに、なぜこのような特別な名前が付いたのかというと、ネロラ皇国の皇女が当時舞踏会などで使った皮手袋の臭い消しのために、この香りを香水のように使用したことが由来だと言われています。柑橘類の産地であったネロラ皇国で、その花から香油を採り自身の香水に使ったなんて素敵なエピソードですよね。

前述のように、この香りを好む方は多くいらっしゃいます。しかし高価なので、サロンなどでこの香りを取り扱っているところはなかなか少ないと思います。
セラピストさんたちに講座をするとき、よくこのような質問をします。「もし、お友達が不安感に苛まれ元気が無く、ネロリ精油を芳香浴で使ってあげたいなと思ったとします。でも手元にネロリがありません。そんなとき、あなたならどうしますか?」この問いには正解は無いのですが、私ならオレンジとプチグレンとほんのちょっとのローズウッドを混ぜてくゆらすと思います。そんな柔軟な心を思い出したいときに、この香りはぴったりだと思っています。

ネロリ

【ネロリ】
学名/Citrus aurantium
科名/ミカン科
蒸留方法/花・水蒸気蒸留法
主産地/イタリア・フランス・モロッコ・チュニジア・エジプト