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薬剤師 吉田節子が教える!アロマテラピー

第60回 香りのメモリー 15.レモングラス

一見、どこにでもあるようなイネ科の草に見えますが、葉をこすって香りを嗅ぐと新鮮なレモンの香りが一気に広がります。

レモングラスは古くからアジア圏で生活に根付いて使われているハーブです。抗菌作用・血流促進作用があるため、感染症予防に、アロマテラピーというよりむしろ食用のハーブとして多用されてきました。トムヤンクンに必ず入っているハーブと言えば、イメージしやすいかも知れません。
土壌をあまり選ばず、すぐに大きく育つ草本で、一株から多くの精油が採れるため、精油の中ではお財布に優しい価格で手に入れることができます。

私が精油として使う場面は主に、筋肉痛を起こすくらいよく歩いた日のトリートメントです。0.5%くらいに薄く希釈したトリートメントオイルで筋肉をほぐすようにさすると、血流が良くなり筋肉から疲労物質を排出するように働くため、翌朝の足取りが軽くなります。この作用を利用して、スポーツアロマの世界でも使用頻度が高い精油と言えます。

また、昆虫忌避作用があるため、虫よけにもよく利用します。レモングラス精油やゼラニウム精油をアルコールに溶かし、水で希釈したスプレーを網戸に数回吹きかけておくと、ハエや蚊が家に入ってくるのを防ぐことができます。これからのシーズン、ぜひ試してみてください。

あと特筆すべきは、集中力がアップする作用があると言われており、ドライバーのための香りとも言われています。車の中に置く芳香剤を手作りする際には、レモングラス精油やローズマリー精油といった、目が覚める香りをブレンドして使うと良いでしょう。

一つデメリットがあるとすれば、刺激性が高いことです。ネラールやゲラニアールといったアルデヒド基を含む成分が多いため、希釈することが大切です。
私自身、苦い思い出があります。若気の至りでお風呂に、塩やオイルで希釈せずにレモングラス精油を入れて入浴し、大変な目にあったことがあります。肌が明らかにピリピリとしてきて、湯船からすぐに出たのですが、筋肉疲労を改善するどころか、真っ赤になり火傷のようになってしまいました。
後日談ですが、この失敗をした後に、アロマの師匠も若かりしときに同じ体験をしたことがあると聞き、誰もが通るアロマ道なのだろうかと思いました。皆さんは薬剤師・薬学生ですから、同じ轍を踏むことなく安全な使用法を身に着け、豊かなアロマライフをお過ごしくださいね。今となっては昔の私に希釈の大事さを教えてあげたいです(笑)

レモングラス

【レモングラス】
学名:Cymbopogon citratus
科名:イネ科
抽出部位:葉・地上部/水蒸気蒸留法
特徴成分:ネラール・ゲラニアール・シトロネロール・リモネン