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薬剤師 吉田節子が教える!アロマテラピー

第62回 香りのメモリー 16.パルマローザ

一気に夏を感じる季節になりましたね。湿度・温度ともに、私などは参ってしまう気候ですが、植物たちにとってみれば、大きく成長する季節となりました。

今回は少し前にご紹介したレモングラスと同じイネ科の近縁種です。見た感じは細長いイネ科の草で一見すると区別がつかないほど似ているのに、香りや作用が大きく違う、パルマローザについてお話したいと思います。

パルマローザという名前からも分かるように、この精油はバラのような芳しい花の香りがします。バラとレモンを足したような、優しく明るいイメージの香りです。
これが稲のような葉から採れるなんて、ちょっと想像しにくい感じがしますが、特徴成分を見てみるとすぐにわかります。ゲラニオール、リナロール、酢酸ゲラニルと、人が良い香りと感じるアルコール類やエステル類が豊富に含まれています。抗菌作用もあるため、自然派志向のスキンケア商材には頻繁に使用されています。ニキビ肌、脂性肌、乾燥肌など、どんな肌質にも使用することができ、肌のバリア機能を高めます。比較的安価であり、香りや効能からいっても、手作り化粧水には使いやすい精油と言えると思います。

また、特筆すべきは免疫賦活作用です。ゲラニオールを80%も含む良質なパルマローザ精油を使用した実験では、ゼラニウム精油とともに、免疫力をアップさせるという作用が確認されています。
肌にも優しく、抗菌作用もあり、免疫力も高めてくれるのですから、アイデア次第で使い方も広がります。アルコール消毒スプレーに数滴垂らして持ち歩いたり、薄めてリネン水のように使用して布製品を清潔に保つことにも向いています。また、スイートアーモンドオイルなどの基材に1%以内の濃度になるように希釈しておくと、ちょっとクーラーで冷えすぎたときに手足をトリートメントするのに最適です。無理せず普段使いで使える、優しい精油なのです。

パルマローザ

【パルマローザ】
学名:Cymbopogon martini
科名:イネ科
抽出部位:葉・地上部/水蒸気蒸留法
特徴成分:ゲラニオール・酢酸ゲラニル・リナロール