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薬剤師 吉田節子が教える!アロマテラピー

第63回 香りのメモリー 17.クラリセージ

ラベンダーと同じく、シソ科の草本・クラリセージ。いかにもハーブらしいその姿と香りに魅了される方も多いはず。ラテン語で「明晰な」という意味の語を語源としており、西洋では古くからハーブ療法として目の病に使用していたと言われています。

クラリセージと言えば、まず頭に浮かんでくるのが、女性のホルモンバランスの乱れに使うということですよね。これはクラリセージに含まれるスクラレオールという特徴成分の作用によるもので、女性ホルモン様作用があるからです。
なぜ女性ホルモン様作用があるのか―それは、スクラレオールの分子構造式を見れば一目瞭然! ジテルペン骨格に水酸基という、まさに女性ホルモンと非常に似た構造をしているからなのです。そのため、同じ女性が嗅いだ場合でも、自身のホルモンバランスや月経周期などにより、「好ましい香り」と感じるときと「あまり嗅ぎたくない香り」と感じる時期があるようで、理論的に見ても、また実際に嗅いだときの感覚的な意見からも、なるほどと納得できると思います。

女性ホルモン様作用と言うからには、その副反応として、人やコンディションによっては急な眠気や頭重感を感じる方もいらっしゃいます。これについては興味深いエピソードがあります。
それは実際に私がアロマテラピー検定試験を受験していたときのこと。試験のときに香り当て問題がありました。試験官は資格を持っている方がボランティアで担当されていたのですが、香りが配られた瞬間に、試験官の方が一斉に窓を開け始めました。おかしいなぁと思ってその様子を見ていたのですが、配られた香りテスターの蓋を開けてびっくりしました……クラリセージ精油の香りだったのです。これを深く嗅いでしまっては、人によっては集中力が低下してしまうだろうなと思い、私はすぐに蓋を閉めました。それにしても、ボランティアの試験官さんたちは、とても的確な判断をされたと感心したのを覚えています。

女性ホルモン様作用と眠気が起こるという観点から、妊娠中や生理中は医師の指示に従って使用しましょう。また、運転中やアルコール摂取後の高濃度の使用は避けた方が良いでしょう。

使用には注意が必要な香りではありますが、女性特有のホルモンバランスの崩れで悩んでいる方に低濃度でトリートメントすると、本当に癒される香りなのです。ハマる人はリピートし続けてしまう。そんな香りと言えます。また、更年期や月経周期の乱れによるメンタルのお悩みにも、よく奏功します。また、ミドルノートで他の香りとも調和しやすいため、使い方をマスターしてしまえば、非常に強力な味方になってくれる、そんな頼もしい香りなのです。

クラリセージ

【クラリセージ】
学名:Salvia sclarea
科名:シソ科
抽出方法:花、葉の水蒸気蒸留法
特徴成分:酢酸リナリル、リナロール、スクラレオール、酢酸ゲラニル