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薬剤師 吉田節子が教える!アロマテラピー

第64回 香りのメモリー 18. ペパーミント

「この季節になぜミント?」と疑問をお持ちになる方もいらっしゃると思いますが、ペパーミントには多くの作用があります。今回はペパーミントのさまざまな作用・使用法のご紹介と、ミント類の種類についてもお伝えしたいと思います。

★ペパーミント精油の作用と使用法

① 体感温度を下げる作用
含有成分であるℓ-メントールのおかげでスーッと涼しく感じますよね。これは、体温を感じ取る細胞に刺激を与えて冷感を感じやすくする作用があると言われています。暑い日にペパーミント精油で香りづけした冷たいおしぼりがあると、生き返る思いがします。

② 昆虫忌避作用
夏前の梅雨時に、ペパーミント精油の売れ行きが好調になる時期があるそうです。これはキッチンに潜むゴキブリが退散する作用があると言われているため、ホウ酸団子に滴下する方法が広まったためではないかと言われています。確かに、強烈なメントール臭に、ゴキブリも逃げたくなる気持ちが、少しわかる気がします。

③ 消化器官調整作用
吐き気・消化不良といった症状があるときに、ペパーミントの精油が役立ちます。消化器の運動を促進させるため、食欲を改善させたり、駆風を促してくれたります。また、東洋医学では、ハッカは気の流れを改善してくれますので、乗り物酔いなどのときのために、ペパーミント精油の小瓶を車やバス内に持ち込めば、乗り物の中でも香りを嗅いで気持ち共々リフレッシュしてくれることでしょう。

★ミント類の種類

・ペパーミント(Mentha Piperita)
西洋ではアロマの世界に限ると一番ポピュラーな植物。丸い葉が特徴。メントールの含有率は50~60%であり、「メントール一辺倒」というよりも、どちらかというと甘さを感じる香り。

・スペアミント(Mentha Spicata)
古くから西洋でハーブ・食用として用いられてきたミントはこちら。繁殖力が強く、他のハーブを駆逐してしまうほど。葉が槍(spear)の先のような形をしている。主成分はメントールではなく、ℓ-カルボンである。

・和種ハッカ(Mentha Canadensis)
メントール含有量が最も多く(65~85%)、スッとする清涼感はダントツ。葉も細長いものが主流。生育しやすくするため、以前は苗を海外の温暖な地域で育てることが多かったが、香りの質を重視するために生育から採取まで、全て北海道で行った精油も販売されている。

ペパーミント