■子宮頸がんとは
子宮頸がんは子宮の入り口にできるがんで、性交渉によるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因で発症します。
HPVは性交渉の経験がある女性の約5~8割が感染しているといわれており、誰でも感染するリスクがあります。HPVに感染してもその多くは自然消滅しますが、持続的に感染している状態が続くことなどで前がん病変になり、その一部ががんになります。
子宮頸がんは自覚症状がほとんどないため、検診などで早期発見できた場合は子宮温存が可能です。しかし、子宮温存ができたとしてもその後の妊娠における流産や早産のリスクが高まります。
また、子宮頸がんは進行すると、茶色いおりものが増えたり、月経でないときに出血したり、下腹部に痛みを感じたりといった症状が現れてくることがありますが、進行している場合は子宮を摘出する必要があります。
子宮頸がんは20代から40代といった若い世代の女性に多く発症するため、将来の妊娠・出産に大きく影響してしまうことと、小さな子供を残したまま亡くなる母親も多いため「マザーキラー」とも言われています。
なお、子宮頸がんは日本では毎年約1万人が新たに子宮頸がんと診断され、約3千人が亡くなられており、日本では特に若い世代で増加傾向にあります。
■子宮頸がんの予防
子宮頸がんにならないためには、HPVの感染を予防することが大切です。
HPVは性交渉によって感染するものなので、性交渉を経験する前にHPVワクチンの予防接種を受けることが理想的です。
しかし、HPVワクチンはすべての子宮頸がんを予防することはできませんので、HPVワクチン接種による一次予防に加え、子宮がん検診を受けることで、前がん病変を早期に発見し重症化を防ぐ二次予防が大切です。
日本では子宮がん検診の受診率が低いことが問題となっていますが、子宮がん検診は20歳になったら必ず受けることが大切です。
■HPVワクチンについて
HPVにはさまざまな型がありますが、HPVのなかでも16型と18型が子宮頸がんの主な原因であり、現在日本で承認を得ているHPVワクチンはいずれも16型と18型をカバーしていますのでこれらによる前がん病変の発生を予防できることが分かっています。
なお、海外のデータでは、10歳~30歳までを対象に調べたところ、ワクチン接種により発癌リスクを0.37倍に減少させ、17歳までにワクチン接種した場合では発癌リスクを0.12倍に減少させたことが報告されています。
海外ではこのようなエビデンスを基にHPVワクチンが広く普及しており、子宮頸がん患者及びHPV感染者が減少していることが報告されています。
なお、日本では小学校6年生から高校1年生相当の女子は無料でワクチン接種が可能となっています。
<婦人科検索>一般社団法人日本女性医学学会 専門医
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NPO法人女性の健康とメノポーズ協会 医療機関のご案内
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