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カウンセライダー日並のこみコミ通信

第15回 刑務所見学その2

今回の見学は男子収容施設です。ここで合同企業面接会が開催されることになり見学をさせていただきました。このような試みは珍しいそうです。刑務所の中で複数の企業が、複数の受刑者と面接を行う機会を設るのは画期的だと思います。

最寄駅までマイクロバスで迎えに来てくださいました。しばらく走って国道を折れるとそこは住宅地です。一戸建ての家が整然と立ち並ぶ一番奥にその施設はありました。収容できる人数が最大1800人ほどの施設なのでかなりの規模です。正面に見える建物は学校に近い雰囲気なので周囲の風景との違和感はそれほど感じませんでした。車寄せのある玄関の前に着き、建物内に入ると吹き抜けのエントランス、凄いデザインの時計が飾ってありました。写真をお見せできないのが残念です。階段を3階まで上がり空調の効いた大きな部屋に通されました。ここで今日のスケジュールと施設説明を受けて見学のスタートです。2列に並んで刑務官の案内に従って進みます。建物や設備の古さもありますが、至る所に一時代前の“昭和”を感じました。敷地は広くグランドがあり、大きな工場が何棟も並んでいます。工場の隣に居住区があり建物が通路で繋がっているので、部屋からは雨でも濡れずに出勤できるようになってました。

最初に見せていただいたのは今日の献立でした。彩や盛り付けは“おいしそ~”とは思えませんでしたが、栄養バランスは整っており、労働の重さや体の大きさに合わせて量は調整するそうです。その後は風呂場に入らせてもらいました。まるで古い市民プールです(笑)清潔感はあるしシャワーも数多く設置されてました。一度に何人浸かるかで、気分は極楽にも修行にもなりそうです。

工場内の見学で最初に感じたことは年配の受刑者が多いことでした。作業によっては若い受刑者も居ますが、受刑者全体の平均年齢は40代となっていました。主に見せていただいたのは印刷工場で、印刷機械の前で作業をする人、印刷が仕上がった物を手折加工する人、校正室というところでPCを使って作業をする人など、一般の印刷工場と何ら変わりありません。印刷機は小型で高性能ではないため、印刷サンプルとされていたのは一色刷りの帳票や薬袋が主でした。
隣は自動車整備工場です。一般の車検も受けることが出来るそうで、お客さんが預けた車両とおぼしきものが何台かありました。板金塗装をするところもあり、本格的な設備にちょっと驚きました。

工場に隣接して、建設用の小型車両の免許を取るための練習場所が整備されていました。ちょうど敷地の端なので、塀の高さと青空が印象的でした。同じ青空なのに、『ここは塀の中なんだな』と思うと不思議な感じがします。

居室は前に見学させていただいた女子収容施設よりも殺伐感がありました。最大の理由は衝立があるものの、便器がむき出しになっているからだと思います。部屋の奥には窓があり、便器と小さな洗面台があって手前に畳が敷いてあり、テレビも設置されています。ここでもやはり個室を希望する受刑者が多いそうです。人との関わりを極力避けようとするのは社会全体の傾向なんですね。