元日の朝刊に、法務省が刑務作業を義務とする懲役刑を廃止し、再犯を防ぐための様々な教育的処遇を可能にする刑罰の創設を検討するという記事がありました。再犯防止のために教育刑への転換を図ろうとしているようです。今も再犯を防止するための教育的処遇は行われていますが、義務である刑務作業を優先しなければならず、十分な効果が期待できるほどの時間は確保できていません。教育的処遇というのは、心理カウンセリングや薬物離脱指導や就労に関する支援等々です。再犯を防止するには、出所後に社会で適応していくための教育が必要不可欠ですが、偏りすぎると被害者側から批判が出る可能性があるとしていました。
再犯の多くを占める高齢者には、わざわざ軽めの作業を用意しているような場合もあり、実際に私が見学をした刑務所でも、単純極まりない作業を黙々と続ける高齢者を多く見かけました。出所後に同じような仕事に就ける可能性はほとんどありませんし、もしあったとしても一日8時間の労働では、生活するだけの収入を得ることは難しいと思います。
【刑務作業】刑事施設内で被収容者が行う作業の総称。勤労意欲の昂進、職業的知識・技能の付与、規律ある生活による心身の健康維持、社会性の涵養を行うことを目的としており、生産作業、自営作業及び職業訓練の3種類に分けられる。
新年に相応しいおめでたいニュースとは言えませんが、受刑者の就労支援をしている私には「今年はもっと気合を入れて仕事に励め」という天のお告げのようでした(笑)
そして先日、受刑者就労支援組織が立ち上がって最初の採用者が決まりました。これまでもいろんな就職支援施設で就労支援をしてきましたが、今回の成果は独特の感があります。何よりも時間がかかったことです。塀の中と我々が暮らす社会とは物凄く距離があって、面接の日時を決めるだけでも考えられないような時間を要します。時には懲罰をくらって懲罰房から出してもらえないこともあり、せっかくの面接が受けられなくなることもあるそうです。
昨年の12月7日に、刑務所を出た人の再犯を防ぐための取り組みを国と自治体の責務と明記した議員立法「再犯防止推進法」が、参院本会議で全会一致で可決成立したこともあって、今後、受刑者の就労支援活動は広がっていきそうです。
正月早々、重い話題からスタートしたので最後に軽めの話題を。大晦日に半額で投げ売られていたしめ縄を飾り付けたところ、元日の早朝からやけに玄関が騒がしくなり、ドアを開けるとなんと雀の集団が…。しめ縄の中に米粒があったらしく、それを食べに来ていたようです。年末に掃除した玄関を糞だらけにされましたが、酉年に雀の集団が来てくれたのは縁起がいいような気がして、しめ縄の米粒が尽きるまで毎日玄関掃除をしてました。酉年じゃなかったら追い払っていたかも(笑)
酉年は新たな変化が起こる年で、空にはばたく意味もあるそうなので、私も少しは上に行けるようにぼちぼちと始めて行こうと思います。
今年もよろしくお願いします。