三菱総研は、人工知能技術が普及すると国内総生産(GDP)は2030年に50兆円増えるが、雇用者数は240万人減るという試算をまとめた。データを活用する新たな産業が原動力になり、経済成長率を年率0.6%押し上げると予想している。という新聞記事がありました。
人工知能が我々の仕事にどんな影響を与えるかはわかりませんが、今までの仕事観だけではついていけなくなると思いますし、就職支援を生業とする身としてはとても気になるところです。
就職相談は支援機関によって相談者の層に違いがあります。お店によってお客さんの層が違うのと同じです。私はここ十数年、いくつかの支援機関で相談業務をしていますが、明らかに違いを感じます。
その中で、現職中の人が大半を占めるところがあります。そこは19:00~21:00の間に相談枠を設定していて、案内も「仕事に関することで、相談したいことがハッキリしている人」としています。一人あたりの相談時間は20分ですので、先にそう伝えておく必要もあります。
相談の多くは、次の仕事を考える時に何を優先すべきか、何を基準にするかということですが、社会の大きな変化をちゃんと感じているんだな~と思います。だからこそ今の選択に慎重になり一人で決めきれない状態になっているようです。言葉で上手く表現できてないことが多いですが、今のままの働き方や働く環境では、将来困る時が来ることを敏感に感じ取っているようです。つい先日も、プライベートな時間を確保できる環境を選ぶか、しんどくても今は我慢して自分に力をつける環境を選ぶかという決断を迷っている人が居ました。気持ちとしては前者を選びたいが、現実は後者を選択すべきだとわかっていましたし、当然私もそう助言しました。
理論立てて説明はできないけれど、何となく肌で感じることができるのは若者の特徴であり能力だと思います。経験が少ないから言葉で表現しにくいだけで、結構真実に近いことを察知していると思います。
上場会社や公務員ならずっと安心という社会ではなくなりました。本当に安定している状態というのは、社会が変化しても慌てない強い自分であり続けることです。それに気づいている若者は少なくないと思います。
新聞に人工知能のことが載っていない日はありません。研究どころかすでに実用化され導入されつつある記事が目立ちます。予測するのが難しいこれからの社会は、経験の延長戦で考えるよりも、若者のような感性が必要だと思います。