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スポーツファーマシスト学習記録

第2回 「基礎講習について」

こんにちは。新米薬剤師のシトロンです。今年も大変暑い夏となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
私はこの間、久しぶりにテニスをしました。身体が暑さに慣れていなかったせいか夜になっても火照りが止まらず、たくさん水分を摂り冷房をかけて寝ました。日頃からこの状況の中で練習をしているアスリートはどこまでタフなのだろうと、彼らの凄さを改めて実感した出来事でした。

さて、前回の記事では私の自己紹介とスポーツファーマシスト資格を取得するに至った経緯について書かせていただきました。2回目である今回は、前回予告させていただいた「基礎講習」をテーマに進めていきます。

その前に、そもそも「基礎講習」とは? と思う方もいらっしゃるかもしれないので、簡単にスポーツファーマシスト資格を取得するまでの過程を説明します。
スポーツファーマシストになるためには、時期の異なる2種類の講習会を受講後、冬に行われる知識到達度確認試験を受験し合格する必要があります。そのうち、最初に行われる講習がこの「基礎講習」です。基礎講習の時期は基本的に夏ですが、年度によって開催要項が異なります(ちなみに2019年度までは東京ビックサイトの会場で集合型の講習が行われていたそうです。)
今年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、7/1~7/16の期間中に8項目の動画と3つの確認テストをオンラインで受講する形となりました。内容としては、スポーツファーマシストとは? という概要から実際に禁止されている医薬品の具体例までと、幅広い内容で構成されています。

講習を受けて私が一番印象に残ったのは、アスリートに対する漢方薬服用についての対応です。
私は高校生の頃から漢方薬に興味があり、大学では山梔子さんししや甘草などの生薬について研究していました。漢方薬は動植物・鉱物由来の生薬2種類以上で構成されており、各々の生薬の有効成分が組み合わさって効く薬です。ただ、まだまだエビデンスが少なく、漢方薬に含まれる全ての含有成分が明らかになっているわけではありません。

2021年現在、世界アンチドーピング規程禁止表国際基準に掲載されている物質が含まれる生薬はマオウ・ホミカ・ハンゲ・カイクジン・ジャコウの5種類です。しかしこれらの生薬が含まれていない漢方薬でも、確実に禁止物質が含まれていないことを確認することはできません。そのため、もしアスリートからスポーツファーマシストへ禁止物質を含まない漢方薬の問い合わせがあった場合、推奨される回答は「禁止物質を含まないという確認はできない」となります。

最初この回答例を講習で聞いた際、私は正直納得できませんでした。せっかくアスリートがスポーツファーマシストを頼って聞いてくれたのに、その気持ちに応えてあげられていないもどかしさを感じたからです。
しかしその講習をもう一度見返したとき、この回答例になる理由を少しずつ理解することができました。もしスポーツファーマシストが使用可能と判断した漢方薬から予期せぬ禁止物質が検出されてしまったら……その責任は判断したスポーツファーマシストが負うのではなく、摂取したアスリートの自己責任ということになります。状況によっても異なりますが、違反が認められれば選手資格の停止という選手にとってつらい制裁を受けることにつながります。
スポーツファーマシストとして発する一言は、自分が予想していた以上に重いのだと実感しました。それと同時に、なぜそのような回答になるのかきちんとアスリートへ説明することで、互いの相互理解を深めるきっかけを作れるのではないかと思いました。

ここまで読んでいただくと、「もしかしたらスポーツファーマシストって自分には荷が重いのではないか?」と考える方もいらっしゃると思います。私も少しそう思いました。知識だけでなく経験も必要だし、実際に資格を有していても自信がなく対応できない方もいると伺ったことがあります。けれど、全て一人で回答する必要はないということも知りました。

私は「ドーピング0会」というコミュニティに参加させていただいております。この団体は、薬剤師だけでなくさまざまな職種の方が所属しており、それぞれの専門分野からスポーツ界でのドーピングをゼロにするため活動しています。私は資格取得前なのでまだまだですが、参加されている方の情報や意見などを拝読して、自分なりに勉強させてもらっています。TwitterやInstagramもあるので、ご興味ありましたら是非チェックしてみてください。

『ドーピング0会』
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本当はまだまだお伝えしたいことがあるのですが、長くなってしまいそうなので一旦次回に持ち越しとします。
次回は、スポーツファーマシストにとって必須である禁止表についてお伝えします。個人用に勉強ノートなども作成しているので、そちらもご紹介できたらと思っています。

気温だけでなく、いろいろな面で健康に留意しなければいけない状況になってきています。皆様くれぐれもお身体を大切にお過ごしください。
では、これからもよろしくお願いします。