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スポーツファーマシスト活動報告

第4回 リオオリンピックに関するドーピング事情

2016年8月、リオデジャネイロオリンピックが開催されました。
日本は、メダル数合計41個と過去最高の成績でした。
オリンピックに出場する選手はとても努力をしています。そんな選手の姿をTV越しに見ても感動し、勇気をもらうことができます。しかし、そんな努力も感動も勇気もすべて崩してしまうのがドーピングなのです。

開催前から話題となり、開催中も、オリンピックの終わった現在も、普段以上に話題になり、問題となっているのがドーピングでした。発端となったのは、ロシアの国家ぐるみのドーピング違反です。2014年12月3日、ドイツ公共放送連盟は、ドキュメンタリー番組を放送し、ロシアは国ぐるみでドーピングをしていると告発しました。番組の中で、陸上・女子中距離の元ロシア代表、ユリア・ステパノワ選手が組織ぐるみでドーピングが行われていたことを、夫のロシアアンチ・ドーピング機構の元職員であるヴィターリー・ステパノフ氏と共に告発しました。これを受けてWADA(世界アンチ・ドーピング機構)はロシアを調査し始め、2016年5月にはロシアアンチ・ドーピング機構の元局長が多くの選手にドーピングを行っていたことを認めました。国際陸上連盟はロシア選手のほとんどをリオオリンピック出場禁止にしましたが、ロシア選手はスポーツ仲裁機関(CAS)に不服申し立てを行い、IOCはロシア選手の最終判断は各競技団体にゆだねられることになりました。陸上が発端ではありましたが、他の競技団体にも影響を与えました。国際水泳連盟は当初ロシア競泳選手の出場を認めないと発表しましたが、開会式直前に29名の選手の出場が認められ、リオオリンピックでメダルを獲得する選手もいました。私は、ころころと決定が変わってしまうことは、選手たちに少なからず影響を与えてしまうのではないかと感じました。

この一連の問題の影響かどうかは不明ですが、競泳で怪物と呼ばれている“マイケル・フェルプス”選手の体にカッピング療法の跡が残っていたことに対し、ロシアがドーピングをしていると批判をし、また、400m自由形の選手では過去にドーピング違反を犯してしまった選手に対し、「薬物違反者」と発言したことに対し謝罪を求められることもありました。

例えわざとではなくても違反をしてしまったら厳しい目で見られてしまいます。
私はオリンピックとは本当に選手たちの憧れの舞台であり、見ている観客も勇気をもらえる特別な大会であると思っています。選手には嫌な思いを残してほしくないですし、見ている人も気持ちよく選手たちを応援してほしいので、オリンピックを守るために薬剤師が専門家として薬やサプリメントなど選手の身体に入るものの管理をきちんとしていくべきだと考えます。