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スポーツファーマシスト活動報告

第11回 WADA禁止表の解説〜PART2〜

今回は前回からの引き続きで、禁止表につて述べます。
禁止表のセクション2のペプチドホルモン、成長因子および関連物質についての解説です。

S2.ペプチドホルモン、成長因子および関連物質

1.赤血球新生刺激物質
この物質の例として、腎性貧血に用いられる、ネスプ注射液(成分名:ダルベポエチン)や透析施行中の腎性貧血や未熟児の貧血時に使用されるエスポー注射液(成分名:エリスロポエチン)が挙げられます。これらの物質は、赤血球生成促進因子であるため、酸素運搬能力が向上します。特に持久力を必要とする競技では、この物質での違反が見られます。ドラッグストアや調剤薬局の薬剤師さんは馴染みの少ない薬だと思います。

2.低酸素誘導因子(HIF)安定薬
こちらは日本では、腎性貧血の経口治療薬として現在開発段階です。今後、発売されるようになったら注意が必要な項目といえます。

3.絨毛性ゴナドトロピン(CG)、黄体形成ホルモン(LH)
こちらの項目は、男性のみが禁止に当たります。黄体形成ホルモン(LH)や絨毛性ゴナドトロピン(CG)は男性の不妊症や、下垂体性性腺機能不全症の治療薬に用いられています。LHは、男性ホルモンの分泌に関与する物質です。男性に投与すると、男性ホルモンの量が増加してしまうため禁止となります。また、絨毛性ゴナドトロピン(CG)は、LHと構造が類似しているため禁止とされています。私の周りにはホルモン薬の苦手な薬剤師さんも多くいらっしゃいます。スプレキュア、ヒプクライン、リュープリンなどが医薬品として挙げられますが、女性の場合は大丈夫です。女性に対して、ドーピングになりますと誤って答えないように注意してください。

4.コルチコトロピン類(ACTH)
日本では、副腎皮質機能検査に用いられる、コートロシン注射用薬などがあります。
この物質は、副腎皮質を刺激して、血中の糖質コルチコイド、鉱質コルチコイドを上昇させ、結果、男性ホルモンの量が増加するため禁止されています。

5.成長ホルモン(GH)およびその放出因子成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)およびその類似物質
ジェノトロピンゴークイック注用に代表される成長ホルモンの医薬品ですが、成長ホルモンは筋肉増強目的で乱用をして使用することは、アレルギー症状や糖尿病を誘発し、大量投与で末端肥大症など重大な有害作用が発現します。ドーピングは女性の男性化などの副作用がよく知られているかと思いますが、それ以外の副作用もある一例です。

次回はS3.β2作用薬から解説します。