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スポーツファーマシスト活動報告

第18回 禁止表国際基準(S2:ペプチドホルモン、 成長因子、関連物質および模倣物質)~発見されにくいドーピング~

禁止表のS2のペプチドホルモン、 成長因子、関連物質および模倣物質は、一見どのような物質が当てはまるのか想像しにくいかともいますが、このセクションでの有名な違反物質として“エリスロポエチン”や“ヒト成長ホルモン”があります。これらの物質はもともと体内に存在しているため、外部から投与された物質との判断が難しいのです。そのため、検査技術が向上した数年後に発見されることもあります。

【禁止される理由】
1.エリスロポエチンおよび赤血球新生に影響を与える物質
赤血球の生成を促進し、酸素運搬能力が向上します。そのため、特に持久力を必要とする競技では、この物質での違反がみられます。

2.ペプチドホルモンおよびホルモン調節物質
2.1男性における絨毛性ゴナドトロピン(CG)および黄体形成 ホルモン(LH)およびそれらの放出因子
こちらの項目は、題にあるように男性のみに対しての禁止物質です。男性に投与すると、男性ホルモンの量が増加してしまうため禁止となります。

2.2 コルチコトロピン類(ACTH)
こちらの物質も男性ホルモンの量が増加させるため禁止されます。

2.3 成長ホルモン(GH)、その断片および放出因子
成長ホルモンは筋肉増強作用、骨強化などの作用があるため禁止です。

3.成長因子および成長因子調節物質
筋・腱・靭帯でのタンパク合成や分解、血管新生、エネルギー利用、再生能や筋繊維組成に影響を与える物質は禁止となります。

【過去の違反】
持久力を必要とする競技での持久能力向上や、パワー系競技においての筋力強化を目的として、特に海外の選手では毎年のようにこのセクションでの違反者が出ています。

2017年はアメリカにおいて重量挙げ、円盤投げの選手がヒト成長ホルモンの体内量を増加させる物質“イパモレリン”で4年間の出場停止処分になりました。

エリスロポエチンは血液検査を用いたドーピング検査が行われるようになり、発見される検体は多くなってきました。しかし、血液検査を用いたドーピング検査をかいくぐるために、自己血を利用した“血液ドーピング”が行われるようになりました。ドーピング違反を行う選手と、阻止しようとする検査側のイタチごっこは今も続いています。