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スポーツファーマシスト活動報告

第20回 スポーツファーマシストの3つの課題

今回は禁止表をお休みして、スポーツファーマシストの活動についてお話します。

スポーツファーマシストという資格はご存知ですか?
以前は、薬剤師にすらあまり知られていない資格でした。しかし、2018年の今ではスポーツファーマシストに関する研修会は全国各地で開催され、県の薬剤師会とスポーツ協会(旧体育協会)が一緒になってアンチ・ドーピング活動を行っている県もあります。薬剤師がスポーツ選手をサポートする機会がここ数年で格段に増えました。とても喜ばしいことですが、課題もあります。

1つ目に、スポーツファーマシストの在籍人数が県によってばらつきがあることです。10人未満の県もあれば東京のように数百人も在籍している県もあります。少人数の件では、スポーツ協会の要望に応えるには人数が足りず、人数が多くても対応するスポーツファーマシストの質を一定以上にし、誤った対応がないように教育をしていく労力がかなり必要となります。責任のある業務であるために普段の業務とは別の知識が必要ですが、少しずつ業務も増え、スポーツファーマシストの価値も高まりつつあります。

2つ目に、職場の理解です。スポーツ大会は主に土日に開催されます。しかし、国体などの大きな大会では平日から何日も開催される大会もあります。そのため、職場の従業員との勤務時間の調整や有休の調整が難しく、対応できる日が限られてしまいます。スポーツファーマシストの資格はスポーツの現場で役に立つ仕事ですが、勤務先にはメリットがなく勤務時間にはカウントされない場合がほとんどです。そのため、スポーツファーマシストとして試合会場でのアウトリーチや、アンチ・ドーピング講習会に参加をするには自身の休みを使って活動しなければなりません。また、専門の資格ではあるもののボランティア活動が多く職場に対する貢献が少ないため、上司や同僚の理解を得るのが難しく資格の維持ができない方、転職をされる方もいらっしゃいます。スポーツファーマシストとして活動するための環境の整備が必要です。

3つ目に、大きなイベントの時のみスポーツファーマシストの活動が活発化し、終わってしまうと活動の維持ができないことです。例えば、国民体育大会の際は県を挙げて取り組むのですが、終わってしまうと協力してくれる薬剤師がいなくなってしまい、アンチ・ドーピング活動の維持が難しくなってしまうのです。

ラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピックを間近に控え、アンチ・ドーピング活動を行うスポーツファーマシストのための環境の整備が早急に必要です。現在、スポーツファーマシストの活動をしているが中々思うように活動ができない、薬剤師会に所属していなくて情報がない、そんなスポーツファーマシストの方がいらっしゃいましたら是非、ご連絡ください。スポーツファーマシスト全員で盛り上げるべく協力していきましょう。

あなたもスポーツファーマシストの活動を知ってもらう取り組みや、スポーツをする方の健康相談に参加してみませんか?ご興味・ご関心があり詳細について知りたい方、活動にご協力頂ける方は是非下記メールアドレスへお問い合わせ下さい!

ファーネットマガジン編集部
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