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スポーツファーマシスト活動報告

第26回 女性アスリートとドーピング

「女性アスリートの三主徴」という言葉をご存知でしょうか?
「低エナジー・アベイラビリティー」、「無月経」、「骨粗鬆症」のことを指します。体重を増やさないようにするため、体型の維持を行うため、活動量に見合ったエネルギーを摂取していない選手が多いのが現状です。現在は、女性アスリート支援団体が多く存在し、相談できる専門窓口もあります。早稲田大学では「女性アスリートのコンディショニングと栄養」というサイトを開設し、支援の様子、女性アスリート特有の諸問題を紹介しています。
http://www.waseda.jp/prj-female-ath/

「低用量ピルの使用」
薬局での相談が多いのはやはり生理痛でしょう。生理痛は約85%のアスリートにパフォーマンスの影響を及ぼします。対策として痛み止めの服用、低用量ピルの処方が挙げられます。痛み止めは、OTC、処方薬ともにドーピングになる薬はありません。安心して勧めてください。また、月経困難症などに対し保険適応となっているOCはLEP(low dose estrogen progestin:超低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)と呼ばれます。
OC・LEPは月経痛が強い場合やPMSなどの治療、月経周期の調節(月経を移動すること)に用いられます。アスリートでは月経周期の中でコンディションが良い時期に試合が来るように月経時期を移動します。始める時期については、一時的に吐き気、頭痛、不正出血などの副作用が出る場合がありますので、目標とする試合の少なくとも2~3ヵ月前までには使用を開始することが望ましく、早めに婦人科を受診するよう勧めてください。
薬剤師の中には低用量ピルがドーピングになると思っている方も多くいらっしゃいます。
しかし、実際はドーピングにはならず、体調管理や大事な試合のためにピルを服用する選手は増えてきています。

<低用量ピル(保険適応の一例)>
ヤーズ、ヤーズフレックス、ルナベルLD、ルナベルULD、フリウェルLD(ルナベルLDのジェネリック)、フリウェルULD(ルナベルULDのジェネリック)
※ジェネリックは先発と同様違反にはなりません。
日本水泳連盟でも女性アスリートおよび関係者の皆様へ、資料を作成し配布をしています。
http://www.swim.or.jp/about/anti_d.php

「ホルモン薬とドーピング」
低用量ピルはドーピング違反にはなりませんが、どのようなホルモン薬がドーピングになるのでしょうか。

① アロマターゼ阻害薬
アナストロゾール、レトロゾールなど
② 選択的エストロゲン受容体調整薬
ラロキシフェン、タモキシフェン、トレミフェンなど
③ その他
クロミフェン、シクロフェニル、フルベストラントなど

2012年に、ハンドボール選手がクロミフェン(排卵誘発剤)使用でドーピング検査陽性反応を示し、3か月の出場停止処分を下されています。

「大切なこと」
選手のコンディションが第一優先です。ドーピングにならない方法でコンディションを整えていく手伝いを薬剤師も担ってほしいと思います。