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スポーツファーマシスト活動報告

第30回 ドーピングはなぜ禁止されているのか?

今回のアンチ・ドーピングのコラムは、そもそも『なぜドーピングがスポーツにおいて禁止されているのか?』を、初心に戻って読んでいただけたらと思います。

意図的にドーピングをする選手は、日本ではほとんどいません。しかし、サプリメントへの禁止物質の混入や、知らずに禁止物質の含まれる薬を使用してしまったという例は、数多くあります。

「サプリメントへの禁止物質の混入は、選手の責任ではないので違反になることはおかしい」
「意図的ではないドーピングは、ドーピングと言えないのではないか」

もちろん、サプリメントへの禁止物質の混入は選手の責任ではないですが、JADAもアンチ・ドーピング教育において、サプリメントは禁止物質の混入があるかもしれないので注意が必要であると何年もアナウンスされています。それでも使用し、違反になるのであればそのリスクを承知で使用しているとみなされます。

ドーピングとは、競技能力を高めるために薬物などを使用したり、その使用を隠蔽したりすることです。なぜここまでスポーツにおいて、ドーピングが厳しく罰せられるのか。ドーピングは以下の理由で禁止されています。

【スポーツの価値を損なう】
スポーツには自身の肉体・精神を高めること、仲間との信頼関係の構築、トップアスリートへの憧れなど、多くの素晴らしい点があるにも関わらず、ドーピングがそれらすべてを壊してしまいます。
【フェアプレーの精神に反する】
自分だけが強ければいい・勝てばいい、ではなくスポーツマンシップにのっとって正々堂々戦うからこそ、スポーツは楽しいのです。
【競技者の健康を害する】
ドーピングによって死亡する例や、性別に影響を与えてしまうことがあります。
【反社会的行為である】
麻薬の使用、ズルをすること、ドーピングをしようとする考えが社会に対しマイナスな影響を与えてしまいます。
ドーピングは“ずるい”行為ですし、身体に“危険な”行為なので、これを認めていたらスポーツ観戦していても感動することはないでしょう。パフォーマンス向上だけを目指すのではなく、スポーツを楽しむために、価値を守るためにも、一緒に人間性の向上を目指すことが大切です。

アンチ・ドーピングに関する情報を、私のブログやFacebook、Instagramにも投稿しています。先日は、産経新聞にもスポーツファーマシストについて掲載していただきました。読んでいただけると嬉しいです。

産経新聞/2021年4月3日(土)発行

また、日本スポーツ栄養コンディショニング協会にも、アンチ・ドーピング講座セミナーの動画販売をしています。
毎年変わるアンチ・ドーピングの内容ですので、今年の内容をおさらいしたい方にはお勧めです。

今後とも、よろしくお願いいたします。